スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

SCORTEN

SCORTEN

臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-02:スティーヴンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症
構成:症状
頻脈表皮剥離
構成:検査値
尿素窒素血糖重炭酸
適用疾患
薬疹(SJS・TENを含む)

🧠 全体像は、SJS/TENと診断された患者のを7項目・各1点の加算で予測する予後スコアである。SJS・・TENというに占める割合で決まる病型区分)とは別物であり、病型が同じでもの点数は年齢やによって患者ごとに変わる。この2つを混同しないことが最初の注意点である。

目的と適用場面

内容
目的 SJS/TEN患者のを7項目から予測する
対象 SJS・・TENと診断された患者
使う場面 入院後24時間以内の初期評価。第3病日を目安に再評価する運用も報告されている1
評価しないもの SJS/TEN自体の病型区分(剥離によるSJS/オーバーラップ/TENの分類)、の決定

構成要素と配点

⭐ 7項目、各1点、合計0〜7点2

項目 基準
年齢 40歳超 1
悪性腫瘍の合併 あり 1
心拍数 120/分超 1
入院初日の面積 の10%超 1
10 mmol/L超 1
血糖 14 mmol/L超 1
20 mmol/L未満 1

💡 3項目(尿素・血糖・)は採血で機械的に決まるが、年齢・悪性腫瘍・心拍数・面積はと診察で決まる。面積は入院初日時点の値を使う——経過中に剥離が広がっても、初日の値を差し替えない。

解釈とカットオフ

合計点 予測
0〜1点 3.2%
2点 12.1%
3点 35.3%
4点 58.3%
5点以上 90%超

上表はMerck Manualが掲げる合計点ごとの予測率である3。点数が1点上がるごとに死亡のが約3.45倍になる、とする報告もある2。ただしこれは開発当時の治療環境での対応であり、支持療法が進んだ近年のコホートでは実際の死亡率がこの表より低くなり得る4

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 入院初日(24時間以内)の評価用に開発されたスコアである。 経過中に再計算すると性能が変わる。第3病日に再計算すると入院後5日間のどの日よりもわずかに予測性能が高いとする報告があるが1、これは開発時に想定された使い方とは異なる設定での検証結果であり、初日評価の代わりに位置づけるものではない。

⚠️ 近年のコホートでは死亡率を過大評価する傾向が報告されている。 支持療法やが標準化された環境では、が予測する死亡率が実際の死亡率を上回る例が示されている4。点数が高いほどとして受け止めてよいが、低〜中間点の予測死亡率をそのまま患者説明に使うと過大な悲観情報になり得る。

⚠️ 小児での検証は限られる。 成人データから作られたスコアであり、小児例でのは単施設の研究など限られた報告にとどまる5

⚠️ を決めるスコアではない。 点数が低くても、広範なや急速に進行する剥離があれば、相当の集中的な管理を要することがある。は予後の目安であり、中止や搬送・の判断を遅らせる、または点数だけで治療強度を下げる根拠にしない。

まとめ

  • はSJS/TENのを、年齢・悪性腫瘍・心拍数・入院初日の面積・・血糖・の7項目、合計0〜7点で予測する。剥離による病型分類(SJS/オーバーラップ/TEN)とは別物である。
  • 0〜1点3.2%から5点以上90%超まで、点数が上がるほど予測死亡率がする。
  • 入院初日評価用に開発されたスコアであり、第3病日再計算がよいとする報告はあるが開発時の設定とは異なる。
  • 近年のコホートでは死亡率を過大評価しやすく、小児での検証も限られる。
  • そのものを決めるスコアではなく、点数が低くても相当の管理を要する場合がある。

出典

  1. 1.SCORTEN: a severity-of-illness score for toxic epidermal necrolysis(Journal of Investigative Dermatology(PubMed抄録)・2000)SCORTENが年齢・悪性腫瘍・心拍数・初日の表皮剥離面積・血清尿素・血糖・重炭酸の7項目を各1点として開発された予後スコアであり、165例の開発コホートと75例の検証コホートで妥当性が確認されたこと閲覧 2026-08-04
  2. 2.Stevens-Johnson Syndrome (SJS) and Toxic Epidermal Necrolysis (TEN)(Merck Manual Professional Edition・2024)SCORTENの合計点ごとの予測院内死亡率(0〜1点:3.2%、2点:12.1%、3点:35.3%、4点:58.3%、5点以上:90%超)閲覧 2026-08-04
  3. 3.Performance of the SCORTEN during the first five days of hospitalization to predict the prognosis of epidermal necrolysis(Journal of Investigative Dermatology(PubMed抄録)・2006)入院後5日間はいずれの日でもSCORTENの予測性能は良好(ROC曲線下面積80%超)だが第3病日でやや優れており、著者らが第3病日での再計算を推奨していること閲覧 2026-08-04
  4. 4.Accuracy of SCORTEN in predicting mortality in toxic epidermal necrolysis(BMC Medical Informatics and Decision Making・2022)支持療法が標準化された近年のコホートではSCORTENが予測死亡率を実際の死亡率より高く見積もる傾向があること(報告例では予測41.9%に対し実際12.5%)閲覧 2026-08-04
  5. 5.Pediatric SCORTEN(Pediatric Dermatology(PubMed抄録)・2017)小児の表皮壊死症におけるSCORTENの検証は単施設後方視的研究など限られた報告にとどまること閲覧 2026-08-04