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Lab values · Published

尿素窒素

Urea nitrogen

別名
BUN血中尿素窒素
臓器系
腎・泌尿器肝胆膵全身
科目
AnesthesiologyInternal Medicine
トピック
麻酔科学 B-01:ICUにおける急性腎障害内科学 G-05:消化管出血内科学 G-06:急性肝不全患者の管理
関連疾患
急性肝不全急性腎障害脱水糖尿病性ケトアシドーシス・高血糖高浸透圧症候群慢性腎臓病
スコア
BISAPスコアCURB-65Glasgow-BlatchfordスコアSCORTEN肺炎重症度指数

🧠 全体像は、蛋白・アミノ酸から生じた窒素を肝臓で尿素へ変換し、腎臓から排泄する流れの中間値である。したがって高値はGFR低下だけでなく脱水・消化管出血・でも、低値は・希釈でも起こる。腎機能の単独指標にも、透析開始の固定閾値にもならない。

何を測っているか

アミノ酸ので生じるアンモニアは毒性が高いため、主に肝臓ので尿素へ変換される。尿素は体液中へ分布し、糸球体で濾過された後、一部が尿細管で再吸収されて尿中へ排泄される。

flowchart TD
    A["食事蛋白・組織蛋白の分解"] --> B["アミノ酸からアンモニア生成"]
    B --> C["肝<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urea cycle'>尿素回路</span>で尿素を合成"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood urea nitrogen (BUN)'>血中尿素窒素</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glomerular filtration'>糸球体濾過</span>"]
    E --> F["尿細管で一部再吸収"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary excretion'>尿中排泄</span>"]
    H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='body fluid volume'>体液量</span>低下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased urinary flow (stream)'>尿流低下</span>"] --> F
    I["GFR低下"] --> D

BUNは尿素分子全体ではなく、その中の窒素量を報告する。国・施設によっては「尿素」をmmol/Lで報告するため、項目名と単位を確認する。

基準値と単位

成人のは概ね7〜24 mg/dL前後だが、測定法、年齢、性別、蛋白摂取で異なる。施設基準を優先し、乳児、小児、妊娠、高齢者では成人の固定範囲を当てはめない。

表記 換算・注意
BUN(mg/dL) 尿素中の窒素量
尿素(mg/dL) BUN × 約2.14
尿素(mmol/L) BUN × 約0.357
BUN/Cr比 両方をmg/dLで表したときの慣用比。単位が違えば比較不能

高値の意味

高値は、尿素産生の増加、の低下、の増加に分けると整理しやすい。

機序 代表例 併せて見る所見
・再吸収増加 脱水、出血、心拍出量低下 体重、血圧、尿量、Na、クレアチニン
腎性・GFR低下 過去値、eGFR、K、酸塩基、尿沈渣
尿路閉塞 排尿、膀胱、
産生増加 、発熱、ステロイド、 食事・、炎症、体重推移
血液の消化吸収 、循環、Hb、内視鏡評価

では、血液蛋白の消化吸収と低下がBUNを上げ得る。しかし腎機能、食事、状態が同じ方向に影響するため、BUNや比率だけで出血部位を決めない。

低値の意味

機序 代表例 注意点
尿素合成低下 重い肝機能不全、 アンモニア、INR、血糖、意識と統合
窒素基質の低下 単独値でを確定しない
希釈 妊娠、 、Na、体重を確認
増加 妊娠などのGFR増加 生理的変化を考慮

では尿素合成低下によりBUNが低くなり得る一方、、消化管出血、循環不全、が重なると高値にもなる。したがって「肝不全なら低い」と一方向に決めない。

BUN/クレアチニン比

比が20超なら病態やを示唆する、というがある。しかしこの比はではなく、分子と分母の両方が腎外因子に動く。

比を上げる要因 比を下げる・解釈を崩す要因
脱水、低灌流、、高蛋白、、ステロイド 、低蛋白、によるCr増加
に伴う尿素再吸収増加 の極端な多寡、Cr分泌阻害薬
高齢者の低下 急性変化中で定常状態にないCr

⚠️ 利尿薬、敗血症、AKIでは典型比から外れる。比だけで「」と決めて輸液すると、心不全・を悪化させ得る。

評価の進め方

flowchart TD
    A["BUN高値または上昇"] --> B["過去値・Cr・尿量・体液状態を確認"]
    B --> C{"脱水・低灌流・うっ血はあるか"}
    C -->|"あり"| D["原因別に体液・循環を治療し再評価"]
    C -->|"不明"| E["尿検査、薬剤、閉塞、腎<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parenchymal injury'>実質障害</span>を評価"]
    B --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='melena'>黒色便</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hematemesis'>吐血</span>・Hb低下はあるか"}
    F -->|"あり"| G["消化管出血として蘇生・内視鏡評価"]
    F -->|"なし"| H["食事、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='catabolism'>異化</span>、肝機能、希釈を確認"]
    D --> I["BUN・Cr・尿量・電解質の推移で判断"]
    E --> I

浸透圧と尿毒症

の推算ではBUN/2.8を加えるが、尿素は細胞膜を比較的自由に通るため、には通常含めない。DKA・HHSでは、神経症状と水移動の評価はNaと血糖から求めるを重視する。

は、腎不全に伴う多種類の毒素・体液・電解質・酸塩基異常によるであり、BUN単独の病名ではない。・脳症、難治性高K血症・アシドーシス・肺水腫などがあれば、BUNの固定値を待たずを評価する。

測定上の注意

  • 単回値より、食事・輸液・出血・薬剤と同じ時間軸に置いた推移を見る。
  • BUN/Cr比を使うときは両項目の単位を確認し、eGFRや尿量の代用にしない。
  • 採血前の高蛋白食、ステロイド、発熱、消化管出血は腎機能が不変でも上げ得る。
  • ではクレアチニンが低く比だけが高く見えるため、高齢・で注意する。

まとめ

  • BUNは、肝尿素合成、、腎濾過・再吸収を合わせた値である。
  • 高値をGFR低下と同一視せず、脱水、出血、、閉塞を調べる。
  • 低値も肝機能不全、低蛋白、希釈の手掛かりにすぎず、単独診断に使わない。
  • BUN/Cr比は補助的なであり、混合病態やで崩れる。
  • 透析開始はBUNの固定値ではなく、症状と体液・電解質・酸塩基異常から判断する。