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歩行能力指数

Walking Ability Index

別名
WAI
臓器系
運動器
科目
Rehabilitation
トピック
リハビリテーション 02:リハビリテーションにおける機能評価:移動能力・筋力・標準化スケール

🧠 全体像(Walking Ability Index、)は、を装着したあと、10フィート(約3 m)の平坦な床を歩く様子を臨床医が観察するだけで、1()〜6()の6段階に格づけする指標である。距離や時間を測定するテストではなく、後3・6・9・12か月の節目でリハビリテーションの進み具合を追跡するために考案された。

目的と適用場面

内容
目的 後の歩行自立度を臨床観察だけで簡便に段階評価し、リハビリテーションの経過を追跡する
対象 などでを受け、の装着に至った患者。原著はを受けた動脈硬化性切断患者598例が対象
使う場面 後3・6・9・12か月の定期評価。術式や年齢群による回復速度の比較、経過の追跡・臨床監査
評価しないもの 歩行速度・距離・が担う)、歩行時の人的介助量(が担う)、ADL自立度(が担う)

💡 評価は10フィートという固定の短い距離を、転倒の危険なく・苦痛なく・自信を持って歩き通せるかどうかだけで判定し、所要時間には基準を設けない1

構成要素と配点

臨床医が単回の歩行観察だけで1〜6の6段階に判定する。・画像所見は一切用いない。

点数 段階 判定基準
1 補助具なしで10フィートを、転倒の危険なく適切なバランス感覚を保って自信を持って歩ける。苦痛を示さず、均等なでリズミカルに歩行できる
2 補助具なしで10フィートを歩けるが、明らかなや不規則で不揃いなを示す。呼吸苦・による不快感・などの苦痛所見はなく、転倒の恐れなく完歩する自信がある
3 杖・1本の使用 杖または1本を使えば、転倒の危険や苦痛なく自信を持って10フィートを歩ける。バランスが保てず、この程度の補助を要する
4 杖・2本の使用 10フィートを転倒の危険なく自信を持って歩くために、両側の杖または2本による支持を要する
5 歩行器のみでの歩行 歩行器を使って初めて10フィートを歩ける。一歩ごとに静止して歩行器を前方へ動かしてから次の一歩を踏み出す様式だが、転倒せず自信を持って完歩できる
6 1〜5のいずれの補助具を用いても10フィートを移動できない。を装着して作業台の前に立つ、ベッド〜トイレ間をする、に乗り降りするなど、数歩だけなら踏み出せる例はある

1と2の境界は補助具の有無ではなくの質で決まる。 どちらも補助具は使わないが、1は均等でリズミカルな、2はや不揃いなというの違いだけで区別する1

⚠️ どの段階も「転倒の危険なく、苦痛なく、自信を持って完歩できる」ことが条件であり、その場限りで何歩か歩けたかではなく、繰り返し使える安定した歩行様式かどうかで判定する。

解釈とカットオフ

は点数が低いほど歩行能力が良好であることを意味する(とは逆に、1が最良、6が最不良)。

点数帯 意味
1〜2 補助具なしで独歩できる(が正常か異常かの違いのみ)
3〜4 杖・による片側または両側の支持を要する
5 歩行器を要する
6 を要する

原著では、より装着後6か月以降のが有意に良好で、50〜59歳群は60歳以上の群よりが良好だった。・気管支炎の合併は、いずれも装着後12か月時点のを悪化させる独立因子として同定された1

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 距離や時間を測定する指標ではない。 10フィートという固定距離を歩けるかどうかだけを見る指標であり、実際の歩行速度・距離・を数値化したい場合はなど、時間・距離を直接測定するテストを用いる。

⚠️ Pohjolainenの分類(Class I〜VII)と取り違えない。 を1〜6で臨床評価するのに対し、Pohjolainenの分類はの実用的な使用状況をClass I〜VIIで表す別の指標であり、両者はしばしば混同される。

⚠️ 脳卒中患者の歩行評価には使わない。 後の回復を追跡するために考案された指標であり、脳卒中後などの患者の歩行評価にはなど別の指標を用いる。

⚠️ 原著自体の方法論的な質は、後年の系統的レビューで低いと評価されている。 後の歩行能力予測因子に関する系統的レビューは、Siriwardenaらの研究を対象研究の中で方法論的な質が低い部類に分類しており、採用された歩行評価尺度が研究間でのような検証済みの指標から使用の自己申告まで大きくばらついていたことを指摘している。自体についても、の形式的な検証は原著時点で行われていない2

⚠️ 原著の対象はによるに限られる。や小児など異なる背景を持つ集団への適用は検証されていない。

まとめ

  • 後の歩行能力を、10フィートの歩行観察だけで1()〜6()の6段階に判定する指標で、後3・6・9・12か月の経過追跡のために考案された。
  • 1・2は補助具なし(の正常・異常のみで区別)、3・4は杖・1本または2本、5は歩行器、6は)という段階構成で、点数が低いほど歩行能力が良好である。
  • 距離・時間を測定する指標ではなく、脳卒中患者の評価にも使わない。の実用的使用を評価するPohjolainenの分類(Class I〜VII)とは別の指標であり、取り違えないよう注意する。
  • 原著は動脈硬化性切断患者を対象にした古い研究で、後年の系統的レビューでは方法論的な質が低いと評価されており、自体のの形式的検証はない。

出典

  1. 1.Factors influencing rehabilitation of arteriosclerotic lower limb amputees(Journal of Rehabilitation Research and Development・1991)動脈硬化性下肢切断患者598例を対象に、義肢装着後3・6・9・12か月の時点で歩行を10フィート観察するだけで1〜6に格づけするWAIを考案。段階1〜6の詳細な判定基準、術式・年齢群・合併症がWAIに与える影響を報告した閲覧 2026-08-01
  2. 2.Predicting walking ability following lower limb amputation: a systematic review of the literature(Journal of Rehabilitation Medicine・2009)下肢切断後の歩行能力予測因子に関する系統的レビューで、Siriwardenaらの研究(WAIを用いた研究)を方法論的な質が低い部類に分類し、採用された歩行評価尺度がTUGのような妥当性検証済みの指標から義肢使用の自己申告まで大きくばらついていたと指摘した閲覧 2026-08-01