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Symptoms · Published

鞍鼻

Saddle nose

別名
鞍鼻変形
臓器系
耳鼻咽喉科免疫・膠原病
科目
ENTMedical Microbiology
トピック
耳鼻咽喉科 27:外鼻の外傷、炎症性疾患、腫瘍微生物学 2/29:トレポネーマ属
関連疾患
ハンセン病再発性多発軟骨炎多発血管炎性肉芽腫症梅毒
起因薬
コカイン

🧠 全体像は「の高さが失われて陥凹する」という見た目そのものより、(軟骨・骨)のが何らかの理由で失われた結果という一点で捉えると原因が整理しやすい。原因は炎症性・感染性・外傷/医原性・薬剤性・先天性の5群に分かれ、それぞれ支持を失わせる経路が異なる。⚠️ 変形を見たら、を急ぐ前に基礎疾患(特になどの活動性炎症性疾患)を検索し治療する。 活動性の炎症を制御しないまま整容手術を行うと、移植軟骨も同じ機序で破壊され再発する1

病態:鼻中隔の支持が失われることで生じる

の高さは、というの骨・軟骨によって保たれている。このが炎症・感染・外傷・薬剤のいずれかによって破壊されると、が陥凹しを来す。原因を「何がを壊すか」で整理すると覚えやすい。

分類 代表疾患・原因 を壊す機序
炎症性 軟骨そのものへの自己免疫、または壊死性による破壊
感染性 病原体・反応による軟骨・骨の直接破壊
外傷・医原性 血腫の未治療、手術後 血腫による軟骨への血流遮断・壊死、術中の過度な軟骨切除による支持喪失
薬剤性 誘発性 血管収縮による
先天性 先天性の・中顔面形成異常 そのものの発生異常

炎症性:再発性多発軟骨炎と多発血管炎性肉芽腫症の鑑別

⚠️ 両疾患ともの破壊でを来すが、機序が異なる。 は軟骨そのものへの自己免疫による直接破壊であるのに対し、は壊死性を破壊する。GPAは上気道・肺・腎のELKパターンと陽性を特徴とし、温存)と気道軟・眼・内耳症状を特徴とする——という所見だけでは区別できず、随伴所見で鑑別する2

感染性:先天梅毒とハンセン病

梅毒によるでは、後期・感音難聴)に伴ってとともにがみられる。ではで鼻軟骨・鼻腔粘膜への菌の直接浸潤が進行し、の破壊を経てに至る。いずれも現在では治療可能な感染症であり、早期治療により進行を防げる1

外傷・医原性:鼻中隔血腫と鼻中隔手術後

血腫は鼻外傷後に両側性の柔らかい膨隆として現れ、放置すると血腫が軟骨への血流を遮断して軟・膿瘍を来すためを要する。後も、L字型支持(・尾側の軟骨支持)を保たずに軟骨を過度に切除すると、術後に・鼻尖がする医原性のを来しうる。

薬剤性:コカイン誘発性中隔穿孔

慢性の使用は、血管収縮によるを介してを来す。 に関する系統的レビューでは、対象127例のうちが126例(99.2%)と大半を占めた一方、変形そのものの記載は複数研究を合計しても5例にとどまり、穿孔が先行しはその進行後に生じる所見であることがうかがえる3

⚠️ CIMDLは臨床像がとしばしば鑑別困難である。 同レビューは、口蓋穿孔の有無がCIMDLとGPAを鑑別する手がかりになるとしている(CIMDLでは口蓋にも及ぶ破壊がGPAより示唆的)3。薬物使用歴の聴取とANCAの確認を併せて行う。

先天性

・中顔面の形成異常により出生時からが平坦・陥凹する先天性のもある。後天性の原因(炎症性・感染性・外傷・薬剤性)をすべて除外し、進行性の経過がないことを確認したうえで先天性と判断する。

まとめ

出典

  1. 1.Saddle-nose deformities in the rheumatology clinic(Ear, Nose & Throat Journal・2014)鞍鼻変形の原因として外傷、感染症(ハンセン病・梅毒)、炎症性疾患(多発血管炎性肉芽腫症〔旧称Wegener肉芽腫症〕・再発性多発軟骨炎)、特発性を挙げ、鞍鼻変形が基礎にある結合組織疾患の徴候でありうるため、外科的修復に先立ってそうした疾患を検出・治療することが重要であることをAbstractで確認した。閲覧 2026-08-12
  2. 2.Distribution of cocaine-induced midline destructive lesions: systematic review and classification(European Archives of Oto-Rhino-Laryngology・2022)コカイン誘発性正中破壊性病変(CIMDL)に関する1989〜2020年の17研究・127例の系統的レビューで、鼻中隔穿孔が126例(99.2%)と大半を占める一方、鞍鼻変形そのものの記載は複数研究を合計しても5例にとどまること(Table 4・5)、CIMDLの臨床像は多発血管炎性肉芽腫症としばしば鑑別困難であること(Introduction)、口蓋穿孔の有無がCIMDLと多発血管炎性肉芽腫症を鑑別する手がかりになること(Discussion)を確認した。閲覧 2026-08-12
  3. 3.Granulomatosis With Polyangiitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)GPAの臨床像がELK(上気道・肺・腎)のパターンで整理され、上気道病変として副鼻腔炎・鞍鼻変形・声門下狭窄などが含まれることをHistory and Physical節で確認した。閲覧 2026-08-12