Biochemistry

Biochemistry · 7/2

アミノ基転移の生物学的意義;トランスアミナーゼ活性の測定

The biological significance of transamination; measurement of transaminase activity — P II

🧠 は「多数のアミノ酸のをグルタミン酸1か所に集約する」として読む。 (PLP、ビタミンB6由来)がSchiff塩基を介してを運ぶ。この反応のが血清測定——のマーカーとして、AST/ALT比が肝疾患と心疾患を鑑別する。

アミノ基転移反応の意義

は、あるアミノ酸のα-をα-ケト酸に転移する反応を触媒する。

アミノ酸+α-ketoglutarateα-keto acid+グルタミン酸\text{アミノ酸} + \alpha\text{-ketoglutarate} \rightleftharpoons \alpha\text{-keto acid} + \text{グルタミン酸}
  • 多くのアミノ酸(Asp, Ala, Ile, Leu, Val, Tyrなど、およびAsn・Gln・Arg・Lys・Met・Cysの分解中間体)が、この反応でをα-に集約し、グルタミン酸を生成する。
  • 対応するα-ケト酸(、ピルビン酸など)がそのアミノ酸のの行き先になる。

💡 」がすべてのの入口。 多数のアミノ酸由来の窒素がグルタミン酸1分子種に集約されることで、その後の処理(への受け渡し)を一本化できる。

反応機構:ピリドキサールリン酸とSchiff塩基

ピリドキサール-5’-リン酸(PLP、ビタミンB6由来)。基質アミノ酸のとPLPのSchiff塩基を形成し、を酵素側へ一時的に受け渡す(PLP⇄の往復)中間体を経る。

診断で最重要な2つのトランスアミナーゼ

酵素 別名 反応 主な
GOT(グルタミン酸 L-+α-+L-グルタミン酸 全臓器に分布。肝・心で特に高濃度
GPT(グルタミン酸ピルビン酸 L-+α- ⇄ ピルビン酸+L-グルタミン酸 肝・腎・心・骨格筋に分布。肝で特に高活性
  • ALT活性の約50–85%は細胞質、残りはミトコンドリアに存在する。

測定原理:共役酵素反応でNADH消費を追う

いずれも生成したケト酸を次の脱水素酵素反応に共役させ、NADHの消費(340 nm低下)として測定する。

AST(ASAT)測定

flowchart TD
  A["L-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aspartate'>アスパラギン酸</span> + α-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alpha-ketoglutarate (α-KG)'>ケトグルタル酸</span>"]
  A --> B["ASAT → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxaloacetate'>オキサロ酢酸</span> + L-グルタミン酸"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxaloacetate'>オキサロ酢酸</span> + NADH<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malate dehydrogenase (MDH)'>リンゴ酸脱水素酵素</span> MDH)"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malate'>リンゴ酸</span> + NAD⁺"]
  D --> E["340 nmでNADH減少を測定"]

ALT(ALAT)測定

flowchart TD
  A["L-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alanine'>アラニン</span> + α-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alpha-ketoglutarate (α-KG)'>ケトグルタル酸</span>"]
  A --> B["ALAT → ピルビン酸 + L-グルタミン酸"]
  B --> C["ピルビン酸 + NADH<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lactate dehydrogenase, LDH'>乳酸脱水素酵素</span> LDH)"]
  C --> D["乳酸 + NAD⁺"]
  D --> E["340 nmでNADH減少を測定"]
  • 酵素単位(U)=1分間に1 µmolの基質をする酵素量として定義。
  • 変化ΔA/minから、NADHの(340 nm:6.22 cm²/µmol)・・反応液量・添加血清量を用いて活性(IU/L)を算出する。
  • ΔA/minが0.150を超える場合は、血清をで5〜10倍希釈し再測定、結果を希釈倍率で補正する(線形性の確保)。

臨床的意義:AST/ALT比で肝疾患と心疾患を鑑別

正常では血漿活性は低い。細胞死の亢進(ウイルス感染・壊死)で可溶性酵素が血中に流出する。

病態 AST(GOT) ALT(GPT) AST/ALT比
心筋梗塞 著明上昇 軽度上昇 高い(>1.3)
上昇 より高く上昇 低い(<1.3)

AST/ALT比<1.3なら、心筋梗塞ではこの比が高くなる。 両酵素を同時に測定することが肝疾患・心疾患のに重要。

AST(GOT)上昇の原因

心筋梗塞、、心臓手術後10日以内、心後、心マッサージ後、の最初の48時間、急性肝

ALT(GPT)上昇の原因

肝硬変

基準値

酵素 37°C(U/L)男性 37°C(U/L)女性
AST(GOT) 35 40
ALT(GPT) 35 40

まとめ

  • はPLP(ビタミンB6由来、Schiff塩基機構)をとし、多くのアミノ酸のをグルタミン酸に集約する。
  • AST(Asp⇄OAA)・ALT(Ala⇄ピルビン酸)が診断で最重要。ALTは肝特異性が高い。
  • 測定はMDH(AST)・LDH(ALT)との共役反応でNADH消費を340 nmで追う。
  • AST/ALT比<1.3はを、高い比は心筋梗塞を示唆する。両酵素の同時測定がの鍵。