ENT

ENT · 62

中咽頭悪性腫瘍におけるヒトパピローマウイルスの役割

The role of human papillomavirus in oropharyngeal malignancies

前提:病態
ウイルス・微生物による発がん(腫瘍形成)パピローマウイルスとポリオーマウイルス(BK・JC)
疾患
HPV感染症(疣贅・尖圭コンジローマ・子宮頸部異形成)頭頸部癌

🧠 全体像:ヒトパピローマウイルス関連は、扁桃・舌根のリンパ上皮から発生し、が小さくても嚢胞性頸部リンパ節転移で発見されることがある。(p16)/ヒトパピローマウイルス状態はと予後に関わるが、両者は完全には一致せず、治療の安易な縮小を意味しない。1

ヒトパピローマウイルス型と病変

ヒトパピローマウイルス型 主な関連病変
1、4など 尋常性・
6、11
16を中心とする 子宮頸、肛門、陰茎、外陰・腟、など

ではヒトパピローマウイルス16型が最も重要で、ヒトパピローマウイルス18などは少数である。ヒトパピローマウイルス関連性は・舌根扁桃を含むで特に確立しているが、でもヒトパピローマウイルスが検出される例はあり、同じ(p16)の解釈をそのまま適用しない。23

発癌機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HPV'>高リスクヒトパピローマウイルス</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tonsillar crypt epithelium'>扁桃陰窩上皮</span>へ感染"] --> B["ウイルス蛋白E6・E7発現"]
    B --> C["E6が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='p53 pathway'>p53経路</span>を抑制"]
    B --> D["E7が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinoblastoma pathway'>Rb経路</span>を抑制"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='p16 protein'>p16タンパク</span>(p16)<span class='jp-term jp-term-diagram' title='overexpression'>過剰発現</span>"]
    C --> F["細胞周期制御・DNA損傷応答の破綻"]
    E --> F
    F --> G["扁平上皮癌"]

臨床像

  • 、舌根が好発部位である。
  • 頸部リンパ節腫瘤、片側扁桃腫大、咽頭違和感、を呈する。
  • 若年・非喫煙者にも生じるが、年齢や喫煙歴だけでヒトパピローマウイルス状態を推定しない。
  • 小さなに比して大きな、しばしば嚢胞性の頸部リンパ節転移を伴う。

診断

  1. 口腔・・喉頭を含む内視鏡診察と頸部触診。
  2. 頸部リンパ節は/は生検で扁平上皮癌を確認する。
  3. 造影コンピュータ断層撮影(CT)/、必要に応じ/コンピュータ断層撮影で・リンパ節・遠隔転移を評価する。
  4. では(p16)免疫染色をサロゲートとして評価し、状況によりヒトパピローマウイルス DNA/RNA(DNA/RNA)検査を追加する。

(p16)陽性はヒトパピローマウイルス駆動性を強く示唆するが完全に同義ではなく、不一致例では予後の解釈も異なる。治療縮小を検討するなど、正確な原因判定が必要な場面ではヒトパピローマウイルス DNA/RNA(DNA/RNA)検査を追加する。(p16)陽性扁平上皮癌はで別のを用いる。1

治療

早期は ± または放射線療法、局所進行は手術後の病理リスクに応じた、またはが選択肢となる。再発・転移では免疫療法を含むを検討する。

ヒトパピローマウイルス陽性は一般に良好な治療反応・予後と関連し、(p16)に基づくは主に予後層別化に用いる。標準治療の減量はや十分な根拠のあるプロトコル外で自動的に行わず、喫煙歴、、リンパ節、機能予測を多職種で統合する。1

予防

9価ヒトパピローマウイルスワクチンは6、11、16、18、31、33、45、52、58型を対象とし、原因型への感染を予防することでヒトパピローマウイルス関連を含む複数の癌を減らすことが期待される。が最も有効で、接種年齢・回数は地域の指針に従う。2

まとめ

  • ヒトパピローマウイルス関連の中心はヒトパピローマウイルス16型、好発部位は・舌根である。
  • E6→p53、E7→Rb抑制と(p16)を結び付ける。
  • (p16)陽性は病期・予後に重要だが、治療を自動的に弱める根拠にはしない。

出典

  1. 1.Prognostic implications of p16 and HPV discordance in oropharyngeal cancer (HNCIG-EPIC-OPC): a multicentre, multinational, individual patient data analysis(The Lancet Oncology・2023)中咽頭癌ではp16とヒトパピローマウイルス特異的検査が不一致となる症例があり、その不一致が予後解釈に影響すること閲覧 2026-08-09
  2. 2.US assessment of HPV types in cancers: implications for current and 9-valent HPV vaccines(Journal of the National Cancer Institute・2015)ヒトパピローマウイルスDNAは中咽頭癌で最も高頻度だが口腔・喉頭癌にも検出され、ワクチン対象型による癌予防可能性があること閲覧 2026-08-09
  3. 3.p16 overexpression identifies oncogenic high-risk HPV infection in non-oropharyngeal squamous cell carcinoma of the head and neck(Head & Neck・2024)p16は中咽頭癌で確立したサロゲートだが、口腔・喉頭など非中咽頭癌では解釈が異なりヒトパピローマウイルス特異的検査が重要であること閲覧 2026-08-09