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子宮頸癌の病因と前癌病変

Etiology and precancerous states of cervical cancer

前提:病態
パピローマウイルスとポリオーマウイルス(BK・JC)
前提:正常
女性生殖:子宮頸部・腟・外陰部
疾患
子宮頸癌

🧠 全体像:のは、における(high-risk human papillomavirus:)のである。感染の多くは消失するが、から、、浸潤癌へ進む経路を理解することが、ワクチン・検診・前を一本につなぐ。

子宮頸部の発生母地

  • 外子宮は扁平上皮、頸管側は腺上皮で覆われる。
  • 両者が接する周囲がである。
  • ではが活発で、子宮頸部・癌の大部分が発生する。
  • 主な組織型は扁平上皮癌で、腺癌が続く。

病因:hrHPV持続感染

感染そのものは一般的だが、発癌に重要なのはのである。 16・18が多くを占め、31、33、35、39、45、52、58などもを持つ。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-risk human papillomavirus'>hrHPV</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transformation zone (prostate: transition zone)'>移行帯</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal cells'>基底細胞</span>へ感染"] --> B["多くは免疫により自然排除"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='persistent infection'>持続感染</span>"]
    C --> D["ウイルス<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>の宿主ゲノムへの組込み"]
    D --> E["E6によるp53抑制・E7によるRb抑制"]
    E --> F["上皮成熟障害と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aberrant cell type'>異型細胞</span>増殖"]
    F --> G["HSIL"]
    G --> H["基底膜を越えて浸潤癌"]

進展を助ける因子

  • 喫煙
  • 免疫抑制、感染
  • 検診未受診
  • 若年からの性的曝露や複数パートナーは曝露機会と関連する
  • 、長期経口避妊薬使用などはを含む関連因子として報告される

💡 や性行動を患者の責任として扱わず、ワクチン、検診アクセス、禁煙、免疫状態の管理という介入可能な要素へ結びつける。

HPV感染の臨床的な見え方

感染は、学習上は次のように整理できる。

状態 検査・病変
潜伏感染 核酸を検出しても細胞診・に病変を認めない
肉眼では分かりにくいが、細胞診・で扁平上皮内病変を認める
、、癌、などの臨床病変を形成する

低リスクによる疣贅・呼吸器と、高リスクによる子宮頸部発癌を区別する。

子宮頸部上皮内病変

細胞診と組織診の対応

は上皮の下層から全層へ拡大し、基底膜を破ると浸潤癌になる。

細胞診 上皮内の広がり 主な意味
1 下層約1/3 産生性感染。が多い
2 下層約2/3 一枚岩ではなく、退縮しうる病変と真のが混在する
3 ほぼ全層、を含む 浸潤癌への進展リスクが高い
悪性細胞 浸潤癌 基底膜を越える 、を獲得

細胞診結果と組織診断は同義ではない。・は細胞診/扁平上皮内病変の用語、はの異型度である。

💡 2は「中間の重症度」ではなく、性質の違う病変の寄せ集めである。 ウイルス産生性で退縮しうる病変と、すでに進行したtransforming が同じ枠に入っている。生検のはこの2つを分けうる: E4陽性(産生性の指標)はの41%から 3の3%へ低下し、p16が上皮2/3以上に広がりE4陰性の生検では85%が標本でも以上、p16が限局しE4陽性では65%であった。1

ウイルス増殖と上皮像

  • では感染細胞が上皮表層へ成熟しながらを産生し、がみられる。
  • では高リスクのE6/E7発現が持続し、表層へ向かう正常成熟が失われる。
  • 基底膜より上に限局する間は上皮内病変で、基底膜を越えた時点で微小浸潤癌となる。

診断

  • 自体は通常無症状であり、検査・細胞診の異常から発見される。
  • でを観察し、最も疑わしい部位を生検する。
  • 細胞診、型、年齢、過去の検査歴、免疫状態を統合したリスクベース管理を行う。

⚠️ は「陰性なら安心」ではない。 IFCPC 2011用語でのの精度は閾値で入れ替わり、以上の検出では感度0.92・特異度0.51、以上では感度0.68・特異度0.93である2。細胞診の297例でを基準にすると、コルポ下生検の+検出は感度87.8%・特異度59.3%・32.7%にとどまり、生検陰性の49例のうち67.3%が標本で以上(浸潤癌4例を含む)であった。不一致は50歳以上で増える。細胞診に対して生検陰性を最終としない。3

治療原則

病変 原則
1/相当 多くはするため、直ちに治療せず経過観察を基本とする
2 年齢、妊孕性希望、病変の可視性、持続期間により監視または治療を個別化。 16/18陽性かつ細胞診は潜在 3+の危険度が高く治療側に寄せる4
3/ 原則として治療。ループ式電気切除(loop electrosurgical excision procedure:/LLETZ)やで病理評価を得る
診断的切除で浸潤と断端を評価し、妊孕性希望を踏まえて追加治療
  • 切除療法は組織が得られ、浸潤の除外と評価ができる。
  • レーザー・などのは、病変全体とが観察でき、浸潤・腺病変が疑われない選択例に限る。
  • 妊娠中は不要なを避け、浸潤癌を疑わない限り前を産後へ延期する。

💡 2の経過観察が成り立つのは若年に限られる。 2でも25〜40歳では標本の24.9%に 3+が潜在しており(微小浸潤癌1例を含む)、25歳未満の7.1%より有意に高い。 16/18かつ細胞診正常、あるいはその他のかつASC-US/であれば危険度は低く、が現実的な選択肢となる。4

⚠️ 「の少なくとも35%が10年以内に浸潤癌」という旧来の固定値は、・病理定義・治療の有無で大きく変わる。 3は未治療で長期進展リスクが高い一方、 1は退縮しやすいという方向性を押さえる。

まとめ

  • の一過性感染ではなく、におけるがの必要因子である。
  • 組込みとE6/E7によるの阻害が、上皮成熟障害から・浸潤癌へつながる。
  • / 1は監視、/ 3は治療が基本であり、細胞診・・患者背景を統合して管理する。
  • 2は退縮しうる病変との混合であり、年齢・型・細胞診で層別化する。コルポ下生検の陰性は浸潤の除外にならない。

出典

  1. 1.Expression of p16 and HPV E4 on biopsy samples and methylation of FAM19A4 and miR124-2 on cervical cytology samples in the classification of cervical squamous intraepithelial lesions(Cancer Medicine・2020)子宮頸部扁平上皮内病変には**ウイルス産生性で退縮しうる病変**と**進行したtransforming HSIL**が混在すること。HPV E4陽性(産生性病変の指標)はLSILの41%からCIN3の3%へ異型度とともに低下すること。p16が上皮の2/3以上に発現しE4陰性の生検では85%がLEEP標本でもHSIL以上であったのに対し、p16が限局しE4陽性では65%であったこと閲覧 2026-08-21
  2. 2.Colposcopic accuracy in diagnosing squamous intraepithelial lesions: a systematic review and meta-analysis of the International Federation of Cervical Pathology and Colposcopy 2011 terminology(BMC Cancer・2023)IFCPC 2011用語に基づくコルポスコピーの診断精度のシステマティックレビュー・メタ解析(15研究22,764例)で、**LSIL以上の検出では感度0.92・特異度0.51**、**HSIL以上の検出では感度0.68・特異度0.93**であったこと。閾値により拾い上げと特異度が入れ替わること閲覧 2026-08-21
  3. 3.Pathologic discrepancies between colposcopy-directed biopsy and loop electrosurgical excision procedure of the uterine cervix in women with cytologic high-grade squamous intraepithelial lesions(Journal of Gynecologic Oncology・2020)細胞診HSILの297例でコルポスコピー下生検とLEEPの病理が有意に乖離したこと。LEEPを基準としたコルポ下生検のHSIL+検出は感度87.8%・特異度59.3%・陰性的中率32.7%であったこと。**コルポ下生検でHSIL陰性だった49例のうち67.3%(33例)がLEEPでHSIL以上**であり、そのなかに浸潤癌4例が含まれたこと。50歳以上で不一致が増えること閲覧 2026-08-21
  4. 4.Risk stratification and conservative management of women aged 25-40 years with cervical intraepithelial neoplasia grade 2 (CIN2)(BMC Infectious Diseases・2025)パンチ生検でCIN2と診断された女性のうち25〜40歳では**LEEP標本で24.9%にCIN3+が潜在**しており、25歳未満の7.1%より有意に高いこと。**HPV16/18陽性かつHSIL細胞診**の症例では治療を考慮すべきこと。HPV16/18かつ細胞診正常、あるいはその他のhrHPVかつASC-US/LSILでは危険度が低く保存的管理が選択肢になること閲覧 2026-08-21