組織学

組織学 · 7.3

免疫・リンパ系:リンパ節

Lymphoid & immune system — Lymph node

応用トピック
リンパ節腫脹の評価ホジキンリンパ腫小児のリンパ節腫大

🧠 リンパ節は「の関所」と覚える——リンパ管(06-6-lymphatic-vessels)の途中に介在し、複数のから液が流れ込み、1本のからのみ流れ出る、という“多対1”の非対称な構造がフィルタリング機能を可能にしている。 皮質のB細胞()、のT細胞、髄質の形質細胞という配置は、が流れる順路上で段階的に免疫応答が組み立てられる様子を反映する。

リンパ節の基本構造

リンパ節は被膜に覆われた(07-1-cells-general)で、リンパ管の経路上に介在してをろ過する。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afferent lymphatic vessel'>輸入リンパ管</span>:複数、被膜を貫いて流入"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subcapsular sinus'>辺縁洞</span>"]
  B --> C["皮質:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoid follicles'>リンパ濾胞</span>(B細胞)"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paracortex'>傍皮質</span>:T細胞優位の領域"]
  D --> E["髄質:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medullary cords'>髄索</span>(形質細胞)・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medullary sinus'>髄洞</span>"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='efferent lymphatic vessel'>輸出リンパ管</span>:1本、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hilum'>門部</span>から流出"]
領域 主な細胞 特徴
皮質 B細胞 を形成、抗原刺激を受けた濾胞は中心に淡染するをもつ
T細胞 皮質と髄質の間、胸腺依存領域(thymus-dependent area)とも呼ばれる
髄質 形質細胞 のとその間のからなる

💡 を「胸腺依存領域」と呼ぶのは、胸腺が無いとこの領域だけが埋まらないから。 マウスのではのリンパ球の94%超がT細胞マーカー(酸性エステラーゼ)陽性なのに対し、皮質では7%未満にとどまる。無胸腺のヌードマウス(nu/nu)では、皮質とを合わせたT細胞が対照(nu/+)の約16分の1に減る1——濾胞(B細胞)は胸腺が無くても作られるが、はするという対比がこのの実体である。「皮質依存」ではなく「胸腺依存」。

⭐ は複数、は1本のみという非対称性が、がリンパ節内をゆっくり通過してろ過される時間を確保する構造的な仕組み——複数の入口から少しずつ流入し、洞(・)の中をマクロファージが監視しながら1つの出口へ集約されていく。

リンパ洞とマクロファージによるろ過

リンパ節内部には・という洞様構造があり、内皮とマクロファージが並ぶ。がこの洞をゆっくり通過する間に、マクロファージが病原体・異物粒子を貪食し、(など)が抗原をT細胞・B細胞に提示することでが始動する。

💡 洞のマクロファージは「掃除屋」であると同時に「取次ぎ役」でもある。 の床と髄質に並ぶ CD169 陽性マクロファージは、皮下に入った粒子(ウイルスなど)を数分で捕捉し、これを分解しきらずに洞の床を越えて運び、直下のを巡回するB細胞にそのまま提示する。このマクロファージを選択的に除去すると、局所でのウイルス保持が破綻してウイルス血症が悪化し、同時に局所のB細胞活性化も損なわれる2——貪食による除去と抗原提示は、この細胞ではせず一体になっている。

💡 皮質のにが出現しているかどうかは、そのリンパ節が「今まさに活発な抗体産生反応(B細胞の増殖・選択)を起こしているか」を示す組織学的——感染や炎症に反応しているリンパ節ではが発達し腫大する(反応性リンパ節腫大)。

まとめ

  • リンパ節は複数のと1本のをもち、をろ過する。
  • 皮質はB細胞の、はT細胞優位の領域、髄質は形質細胞を含むとからなる。
  • リンパ洞内のマクロファージ・がをろ過し、免疫応答を始動させる。の CD169 陽性マクロファージは粒子を捕捉すると同時に濾胞のB細胞へ提示する。
  • の出現は活発な抗体産生反応が進行していることを示す。

出典

  1. 1.Nonspecific acid esterase activity: a criterion for differentiation of T and B lymphocytes in mouse lymph nodes(European Journal of Immunology・1975)リンパ節の傍皮質はparacortical=thymus-dependent(胸腺依存)領域と呼ばれ、そこのリンパ球の94%超が酸性エステラーゼ陽性のT細胞である一方、濾胞性皮質では7%未満。無胸腺ヌードマウス(nu/nu)では濾胞性皮質と傍皮質を合わせたエステラーゼ陽性細胞が対照(nu/+)の約16分の1に減少する閲覧 2026-08-24
  2. 2.Subcapsular sinus macrophages in lymph nodes clear lymph-borne viruses and present them to antiviral B cells(Nature・2007)リンパ節の辺縁洞の床と髄質にいるCD11b+CD169+MHCII+マクロファージは皮下注射後数分でウイルス粒子を捕捉し、洞の床を越えて粒子を運び、直下の濾胞のB細胞に提示する。このマクロファージを選択的に除去すると局所でのウイルス保持が損なわれ、ウイルス血症が悪化し、局所のB細胞活性化が障害される閲覧 2026-08-24