組織学

組織学 · 14.3

男性生殖:付属腺と陰茎

Male reproductive system — Accessory glands & penis

応用トピック
前立腺癌の頻度・症状・診断尿道・外性器損傷とその早期・晩期合併症泌尿器科救急疾患男性性機能障害

🧠 精液は「精子(少量)+3つの付属腺の分泌物(大部分)」という配合、と覚える——が精液量の大部分(を含みエネルギー源)、前立腺が液状化を助ける酵素、が前の潤を提供する。 3腺それぞれの分泌物の役割(栄養・液状化・潤滑)を対応づければ、なぜ精液がこの3腺の混合物なのかが機能的に理解できる。

精嚢

高度にした1本の管からなる腺で、粘膜は複雑なヒダを形成しに覆われる。分泌物はを豊富に含む粘稠な淡黄色の液で、精子のエネルギー源となり、精液量の大部分(約70%)を占める。テストステロン依存性に分泌が調節される。

前立腺

前立腺は多数のが線維筋性の間質(平滑筋を含む結合組織)に埋め込まれた構造をもつ。

  • 分泌物:を含む薄いの液で、精液の液状化を助ける

⭐ 「が固め、前立腺が溶かす」——液状化は2腺の役割分担で説明できる。 直後に精液がいったんゲル化するのは、だけが発現する52 kDaのタンパク「I」が凝固塊の主要として働くため(もこの枠組みに取り込まれる)。前立腺が出すの様プロテアーゼ=がこのを速やかに切断・することで、数分〜数十分かけて液状化が進む12。I自体が精子の運動でもあるため、その分解は同時に運動性精子の遊離を意味する——「凝固塊で一度動きを止め、前立腺の酵素で解き放つ」という順序で覚えるとよい。

  • 内にしばしばというの好酸性構造物がみられる(加齢とともに増加、臨床的意義は乏しい)

⭐ は加齢に伴う正常範囲の所見で病的意義に乏しいが、の(13-4-pineal-gland)と同様に「加齢により分泌物が凝集・石灰化しての構造を作る」という現象が複数の腺で共通してみられる点は面白い対比として覚えておける。

尿道球腺

尿道の球部近くに位置する小さな複合胞状腺で、〜からなる。性的興奮時に透明な粘液を分泌し、尿道の潤滑と(残留する酸性の尿を中和する)役割を果たす——に先立って分泌される点が・前立腺との時間的な違い。

精液の構成:3腺の配合

flowchart TD
  A["精巣・精巣上体:精子(少量)"]
  B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='seminal vesicle'>精嚢</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fructose'>果糖</span>を含む液(精液量の大部分、エネルギー源)"]
  C["前立腺:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prostate-specific antigen'>PSA</span>を含む液(精液の液状化)"]
  D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Bulbourethral glands, Cowper glands'>尿道球腺</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejaculation'>射精</span>前の潤<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synovial fluid'>滑液</span>"]
  A --> E["精液"]
  B --> E
  C --> E
  D --> E

陰茎:勃起組織

陰茎は3本のの円柱からなる。

構造 位置 特徴
背側に対をなす 勃起の主体、豊富な血洞と平滑筋
腹側正中、尿道を包む 尿道を圧迫から保護するため勃起時も比較的軟らかい、遠位で亀頭を形成

勃起は副交感神経刺激による血洞への動脈血流入の増加と、静脈還流の相対的な減少によって生じる。

まとめ

  • はを含む液を分泌し精液量の大部分を占め、精液ゲルのIも供給する。前立腺はを含む液を出し、がIを切断して精液の液状化と運動性精子の遊離を起こす。
  • はに先立ち尿道潤滑のための粘液を分泌する。
  • は加齢に伴う正常範囲の構造物である。
  • 陰茎は対をなす(勃起の主体)と尿道を包むからなる。

出典

  1. 1.Seminal vesicle-secreted proteins and their reactions during gelation and liquefaction of human semen(Journal of Clinical Investigation・1987)射精直後に形成される精液ゲルの主要構造タンパクは精嚢由来のセメノゲリンで、前立腺由来のカリクレイン様プロテアーゼ(前立腺特異抗原)がこれとフィブロネクチンを断片化・可溶化して液状化を起こす閲覧 2026-08-24
  2. 2.Semenogelin I: a coagulum forming, multifunctional seminal vesicle protein(Cellular and Molecular Life Sciences・1999)セメノゲリンIは精嚢でのみ発現する52 kDaのタンパクで精液凝固塊の主成分かつ精子運動抑制因子であり、射精後にキモトリプシン様の前立腺プロテアーゼである前立腺特異抗原が速やかに切断することで液状化と運動性精子の遊離が進む閲覧 2026-08-24