組織病理学

組織病理学 · H1-103

心室中隔欠損症

Defectus septi ventriculi

描出疾患
先天性心疾患(非チアノーゼ性・チアノーゼ性)

🧠 全体像:は左間の交通で、出生後は通常、左室から右室への短絡を生じる。小欠損はしうるが、大欠損では肺過循環、左心、肺高血圧へ進展する。

主な型

型 特徴
周囲型 最も多く、大動脈弁・に近い
型 筋性中隔内。多発することもある
流入部型 近傍
流出路型 下。大動脈弁逸脱・逆流を伴いうる

💡 この4区分はICD-11に採用された国際分類とほぼ同じ枠組みである。 の分類は長く「位置で呼ぶ」流派と「欠損の辺縁を構成する構造で呼ぶ」流派に割れていた。国際小児・協会が9年かけて両者を橋渡しする体系をまとめ、これがに受け入れられてICD-11に入った。第一階層は中心周囲型・流入部型・肉柱型・流出路型という位置の区分で、流入部型と流出路型はさらに周囲・筋性・傍大血管という辺縁の記述子で細分される。位置で呼んでも辺縁で呼んでも等しく妥当とされ、両方を組み合わせた第二階層の言い方が推奨される1。上表の「流出路型」は、辺縁が大動脈弁・に接するものが傍大血管型にあたる。

形成と歴史的名称

筋性心室中隔は側から成長し、はや流出路中隔との接合によって完成する。この接合が不完全な場合、周囲型VSDを生じうる。

Roger病(maladie de Roger)は歴史的に、小さく制限性で大きなと強いを示すVSDを指す。欠損すべての同義語ではない。

血行動態

flowchart TD
    A["VSD"] --> B["収縮期に左室から右室へ短絡"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary blood flow'>肺血流</span>増加"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary vein'>肺静脈</span>還流増加"]
    D --> E["左房・左室<span class='jp-term jp-term-diagram' title='volume overload'>容量負荷</span>"]
    C --> F["肺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular remodeling'>血管リモデリング</span>"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary vascular resistance'>肺血管抵抗</span>上昇"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='right-to-left shunt'>右左短絡</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Eisenmenger syndrome'>Eisenmenger症候群</span>"]

単純VSDの初期負荷を「右心の容量・だけ」と説明しない。肺から戻る血液が増えるため、左房・左室が重要である。

大きさによる違い

小欠損 大欠損
高速ジェット、左室・右室圧差が大きい 非制限性で左圧が近づく
症状が乏しくしうる 心不全、、肺高血圧
や大動脈弁障害に注意 早期の閉鎖評価が必要

治療は欠損径だけで決めず、症状、左心、、大動脈弁逆流などを評価する。

💡 率は型で大きく違う。 新生児6,750例に全例心エコーを行った前向き研究では、孤立性は113例(の62.8%)に見つかった。7年追跡での率は、型97.2%(70/72)に対し周囲型は51.4%(18/35)と大きく開く。閉鎖しない危険因子は周囲という部位と4mm以上という径で、周囲型では4mm以上が独立した予測因子だった。手術またはカテーテル閉鎖を要したのは18例である2。「小欠損はしうる」の実体は、大半が型のである。

⚠️ 「周囲型が最多」は、どの集団を見たかで変わる。 冒頭の型の表の順位は・手術例の系列に基づくものだが、同じ新生児全例スクリーニングでは型72例が周囲型35例より多かった2。型のほとんどが乳児期にして臨床の場に残らないため、外来や標本で出会う母集団では周囲型が優位になる。

まとめ

  • VSDは左→右短絡により肺過循環と左心を起こす。
  • 長期の大短絡は肺血管病変とにつながる。
  • 小欠損の高速ジェットでも心内膜障害や弁障害を起こしうる。

出典

  1. 1.Classification of Ventricular Septal Defects for the Eleventh Iteration of the International Classification of Diseases-Striving for Consensus: A Report From the International Society for Nomenclature of Paediatric and Congenital Heart Disease(International Society for Nomenclature of Paediatric and Congenital Heart Disease / The Annals of Thoracic Surgery・2018)心室中隔欠損の定義と分類は長く論争が続いてきた。国際小児・先天性心疾患命名協会が9年の年次会合を経てまとめた分類がWHOに受け入れられ、ICD-11に採用された。この体系は欠損の位置と辺縁を構成する構造の両方を用い、対立していた2つの分類流儀を橋渡しする。第一階層の用語は中心膜様部周囲型・流入部型・肉柱筋性部型・流出路型という位置に基づく区分で、流入部型と流出路型はさらに膜様部周囲・筋性・傍大血管という辺縁の記述子で細分される。位置で分類しても辺縁で分類しても等しく妥当とされ、両者を組み合わせた第二階層の用語が重視される。閲覧 2026-08-24
  2. 2.Spontaneous Closure Rates of Ventricular Septal Defects (6,750 Consecutive Neonates)(The American Journal of Cardiology・2019)新生児6,750例に全例心エコーを行った3施設前向き研究で、孤立性心室中隔欠損は113例に検出され、先天性心疾患の62.8%を占めた。内訳は膜様部周囲型35例、筋性部型72例、両大血管下(傍大血管)型6例。7年追跡での自然閉鎖率は膜様部周囲型51.4%(18/35)に対し筋性部型97.2%(70/72)。傍大血管型を除くと、膜様部周囲という部位と4mm以上という径が自然閉鎖しない危険因子で、膜様部周囲型では4mm以上が独立した予測因子だった。追跡期間中に手術またはカテーテル閉鎖を要したのは18例。閲覧 2026-08-24