組織病理学

組織病理学 · H2-102B

DCISの微小石灰化パターンと核異型度

Microcalcification, DCIS (HE)

描出疾患
乳癌

🧠 全体像:壊死・の機序とのはのに整理済みのため、本項目では上の石灰化形態との・構築パターンとの対応に焦点を当てる。

核異型度による構築パターンの違い

主な構築パターン 壊死・石灰化
・微小 壊死はまれで、石灰化があっても穏やかな形態
中間異型度 ・が混在 壊死・石灰化の程度は多様
・型(comedo)が多い (壊死)を高頻度に伴い、石灰化が目立つ
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lactiferous ducts'>乳管</span>内腫瘍細胞の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear atypia'>核異型度</span>を評価"] --> B["構築パターン(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cribriform'>篩状</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='papillary'>乳頭状</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='solid'>充実性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comedone'>面皰</span>型)を確認"]
    B --> C["壊死・石灰化の有無と分布を確認"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mammography'>マンモグラフィ</span>の石灰化形態と対比"]
    D --> E["病理報告に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear atypia'>核異型度</span>・範囲を記載"]
    E --> F["切除範囲・放射線療法などの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatment strategy'>治療方針</span>に反映"]

マンモグラフィ石灰化形態との対応

石灰化形態 対応しやすい病理像
淡く不明瞭(amorphous) 低〜中間異型度、良性病変との重複あり
中間異型度が多い
を示唆する(検診の検討で69%が)1
壊死内の鋳型状石灰化を反映し、・広範囲病変を示唆する(同検討で84%が)1

石灰化の形態はを補助する情報であり、単独でのや範囲を確定するものではない。同じ検討で形態と分布は異型度をまたいで重なっており、形態だけでと非を分けることはできないとされている1。石灰化の化学組成(炭酸イオンの取り込み量)がのサブグレードと相関するという分光学的な所見はあるが2、日常ので使える指標ではない。線状分岐状などの高リスクパターンでは、の石灰化範囲が上の範囲と一致するかを術後に確認し、範囲の過小評価がないかを検討する。

・型で石灰化が広範囲に及ぶ病変は、同時に浸潤癌成分を伴っている可能性や術後再発リスクが相対的に高い傾向がある。でとされた7,350例のではの25.9%(95%CI 22.5〜29.5%)に浸潤癌が見つかり、過小評価が多い因子としてでの・画像上20mm超・ 4〜5・腫瘤形成・であることが挙がっている3。

⚠️ 異型度分類そのものが揺れる。 は検体のサンプリング不足とのため、病理側でも診断と異型度分類が難しい病変である。画像由来のは多数提案されているが、生検時点で潜在する浸潤成分を同定したり進展リスクを予測したりできるものは現時点で無い4。「石灰化の形=異型度」と一対一で覚えず、確率の偏りとして扱う。壊死の機序、との関係、全般の位置づけはの、との対比は()、組織型全般は乳腺の悪性腫瘍を参照する。

まとめ

  • のが高いほど型・構築とを伴いやすい。
  • の石灰化形態(特に線状分岐状)は・広範囲病変を示唆しうる(線状分岐状の84%、微小の69%が)1。
  • 石灰化の形態だけでや範囲を確定せず、病理標本と対比する。
  • ・広範囲病変では浸潤癌成分の併存や術後範囲評価に注意する(の25.9%がで浸潤癌)3。

出典

  1. 1.Mammographic morphology and distribution of calcifications in ductal carcinoma in situ diagnosed in organized screening(Acta Radiologica・2011)ノルウェーの検診で診断されたDCIS 217例のうち93%(202例)で石灰化を認め、Van Nuys核異型度3は74%(149/202)であった。微小多形性石灰化は38%(77/202)、線状・線状分岐状は31%(62/202)に見られ、そのうち高異型度だったのは微小多形性で69%(53/77)、線状・線状分岐状で84%(52/62)。ただし形態・分布は異型度をまたいで重なっており、形態だけで高異型度と非高異型度を分けることはできない閲覧 2026-08-24
  2. 2.New relationships between breast microcalcifications and cancer(British Journal of Cancer・2010)110例から得た乳腺石灰化236個(浸潤癌112、上皮内癌64、良性60)をFTIR分光で解析すると、ハイドロキシアパタイト格子への炭酸イオン取り込み量は良性から上皮内癌、浸潤癌へと有意に低下した(P<0.001)。炭酸含量は上皮内癌の異型度サブグレードとも相関した。石灰化の化学組成は周囲組織の病理学的状態を反映する。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Ductal carcinoma in situ at core-needle biopsy: meta-analysis of underestimation and predictors of invasive breast cancer(Radiology・2011)針生検でDCISと診断された7,350例(52研究)のメタ解析では、切除標本で浸潤癌が見つかった過小評価が1,736例、プール推定25.9%(95%CI 22.5〜29.5%)であった。過小評価が多い因子は14ゲージ自動針、針生検での高異型度、画像上20mm超、BI-RADS 4〜5、マンモグラフィで腫瘤を呈すること(石灰化のみとの比較)、触知可能であることであった。針生検で上皮内にとどまるという判定は暫定的である。閲覧 2026-08-24
  4. 4.Ductal Carcinoma in Situ: State-of-the-Art Review(Radiology・2022)DCISは浸潤癌の非必発的前駆病変で、病理側では検体のサンプリング不足と観察者間変動のため診断と異型度分類自体が難しい。画像由来のバイオマーカーが多数提案されているが、生検時点で潜在する浸潤成分を同定したり浸潤癌への進展リスクを正確に予測したりできるものは現時点で無く、低リスクDCISに対する非手術管理(積極的サーベイランス)の試験が進行中である閲覧 2026-08-24