病理学

病理学 · C/78

乳腺の悪性腫瘍

Malignant tumors of the breast

応用トピック
乳癌乳癌の疫学・病因・組織型・病期・症状・診断悪性乳腺腫瘍(症状・診断・治療)乳癌の診断と治療
疾患
乳癌

🧠 全体像:乳癌は基底膜を貫通するかどうかで(・LCIS)と浸潤性に分かれ、この一線が予後を大きく左右する。は石灰化+、LCISは両側性・多巣性+喪失という別々の顔を持つが、浸潤への足がかり・将来の乳癌の目印である点は共通する。予後は「サイズ・リンパ節・遠隔転移・グレード・組織型・・」という多因子で決まり、単一の型だけでは決まらない。

概要

  • 乳癌 = 世界では女性の癌死の第1位(2024年推計で死亡約69万人、122か国で女性の癌死の首位)1。米国では肺癌に次ぐ第2位である2。
  • 症例の75%が50歳超の女性、40歳未満はわずか5%。

危険因子

  • 年齢:30歳以降にリスク増加。
  • 遺伝:
  • 良性乳腺疾患:、LCIS。
  • ()——を除くすべての製剤でリスクが上がり、使用期間が長いほど、またエストロゲン単独よりエストロゲン+併用のほうが上昇が大きい(現在使用者では使用1〜4年でも併用RR 1.60)3。
  • 地理的:北米+北欧で増加。
  • 年齢が高い、。
  • 肥満+。
  • 、。

発生機序

遺伝子変化

  • 最もよく特徴づけられる:/NEUの(EGF受容体ファミリー)。
  • p53+RB変異。
  • ERがプロモーターのにより不活化。

ホルモンの影響

  • エストロゲンが正常・癌細胞の産生を刺激 → ER+PRと相互作用 → の。
  • がエストロゲンを増加 → 閉経後女性の乳癌増加。

形態

  • 左乳房 > 右がわずかに多い。
  • 外上四分円が好発部位。
  • 基底膜貫通に基づきと浸潤性に分類。

A)非浸潤性(上皮内)癌

( / 導管内癌)

  • 腫瘍が導管に限局。
  • 片側性、閉経前後。
  • :切断面から状の壊死物質が滲出。
  • しばしば石灰化を伴う(で検出)。
  • 大導管の病変 → 乳頭分泌や。

  • 湿疹に似た乳頭のびらん(粗糙化、発赤、軽度)。
  • 背景のまたは浸潤癌と関連——90%超で背景に癌を伴い、は最大50%で陰性でありうるためが有用4。
  • 腫瘍細胞がに広がり破壊 → が表面へ滲出。

  • 腫瘍が腺房に限局。
  • 閉経前女性。
  • なし — 。
  • しばしば両側性+多巣性。
  • その後の乳癌発生は年約2%(なしの10年で約21%)、発生部位は同側が多いが対側にも生じる(同側63%・対側25%・両側12%)5。
  • の喪失(凝集性なし)6。

💡 LCISはと同じ「(上皮内)癌」という枠に並ぶが、扱いは異なる。 は基底膜を越えていないだけの浸潤癌の直接の前段階として外科的に完全切除するのに対し、LCISは非必須のであると同時に、将来の乳癌の高リスク指標でもある不均一な病変とされ、(リスク低減)で10年が21%から7%に下がった観察もあることから、密な経過観察とが選択肢になる5。(CDH1)の機能喪失という同じ分子基盤はにも共通する6。⭐ CDH1のは(HDGC)の原因でもあり、この症候群では胃癌に加え乳腺小葉癌がする7。

B)浸潤癌

1)(NOS)

  • 最も多い型、亜分類できない。
  • 通常はDCISを伴う。
  • を生じる → 硬いな腫瘤。
  • 組織像:高分化からまで様々。

2)

  • 2/3が隣接LCISを伴う。
  • 多中心性+両側性。
  • ほぼすべてが(ER/PR陽性)を発現。
  • 細胞は均一で、索・鎖状に配列(喪失により一列縦隊)。
  • 正常細胞を取り囲み標的パターンを作る。
  • 転移:髄液、、消化管、卵巣、子宮、骨髄(異常な部位)。

3)

  • 境界明瞭、しばしば大きく壊死を伴う。
  • 組織像:大型細胞+乏しい間質+。
  • 著明な+、なし(低分化)。
  • 攻撃性にもかかわらずIDCより予後良好 — による。

⚠️ 「」は現行の分類では独立した組織型ではない。 乳腺腫瘍分類第5版(2019)では、に富む浸潤癌(TILs-rich IBC-NST)という名称が導入され、典型的なはこの範疇の独立した形態学的亜型ではなく、TILsに富むNSTのスペクトラムの一端として位置づけられた。42例と所見を欠く180例の比較では、間質TILsの平均が78.10%対61.33%、5年が82.50%対54.49%、が85.00%対58.68%で、上の「予後良好」はTILsの量と構成に対応する所見として説明される8。旧分類の「」は実習・試験で問われうるので上の形態(境界明瞭、大型細胞のシンシチウム様増殖、乏しい間質、豊富な、予後良好)はそのまま覚えたうえで、現行では独立した型ではなくNSTのパターンとして扱う、という位置づけを併せて押さえる。

4)膠様(粘液)癌

  • 閉経後女性。
  • 境界明瞭、軟らかい・ゼラチン状。
  • 組織像:大量の粘液中の小胞巣+索、は少ない。
  • 予後良好。

5)

  • 高分化、細胞がに配列。
  • 小さく、硬く、不整な輪郭。
  • を伴う緻密な間質、ER/PR陽性。
  • 予後極めて良好、転移は稀。

浸潤癌の徴候

  • ・筋膜への癒着 → 固定。
  • 被覆皮膚への癒着 → 皮膚・乳頭の。
  • リンパ管病変 → → 。

⚠️ 急速に進行する+は「」と呼ばれるが、病態は感染や炎症ではない。 へのがを閉塞することで生じる皮膚所見であり、細菌感染に伴う真の炎症とは機序が異なる。臨床的なの所見を伴うは、所見を伴わない単独より予後が不良である(3年無病生存31%対61%、3年37%対87%)9。

乳癌の進展

リンパ行性

  • 外側+中央四分円 → 。
  • 内側四分円 → 。

血行性

  • ほぼあらゆる臓器への遠隔転移。
  • 好発:肺、骨格、肝、副腎、脳。

臨床像+予後因子

  • 通常:明瞭で単発、無痛性、可動性の腫瘤(2〜3 cm+転移)。
  • 検診が触知前の腫瘍を検出。米国(2024年)は平均リスクの40〜74歳に2年ごとのを推奨し(B推奨)、75歳以上とへの超音波・追加は根拠不十分としている2。日本のは40歳以上の女性に2年に1回、とで行い、は推奨しない10。

予後因子

  1. のサイズ(< 1 cm = 良好)。
  2. リンパ節転移+個数。
  3. 遠隔転移(あれば治癒は稀)。
  4. グレード(管形成+核グレード+、高分化 = 良好)——Nottingham(Elston-Ellis)法は腺管形成の割合・核の程度・規定視野あたりの核分裂数という3つの形態学的特徴を半定量的に評価し、点数の合計からを導く11。
  5. 組織型 — 特殊型(、、粘液)= 予後良好(このうちは現行の分類では特殊型ではなく、NSTのパターンとして扱う)。
  6. (ER+PR) = 予後良好(治療に反応)。
  7. = 予後不良。
  8. /NEU = 予後不良(ただしで治療可能)。

💡 「陰性」の中にも治療標的がある——低発現。 IHC 1+、またはIHC 2+かつISH陰性の腫瘍は従来のの対象外(陰性)だが、化学療法歴のある低発現の転移乳癌では、が選択の化学療法より・を延長した(DESTINY-Breast04)。⚠️ 同試験では薬剤関連の・が12.1%に生じ、0.8%が致死的だった12。その後、承認の対象は超低発現(IHC 0だが膜染色がみられるもの)にも広がり、米国・・日本のいずれでも、化学療法歴のある低発現に加えて、陽性の低発現・超低発現(米国・では転移例での後)が適応に含まれる131415。このため病理報告ではIHC 0と1+の区別に加え、IHC 0の中で膜染色が有るか無いかもに関わる。

💡 ER・PR・は個別の予後因子であると同時に、組み合わせて「分子(代理)分類」を作る。 IHCによるER・PR・の判定は、に基づく真の(ルミナルA型・ルミナルB型・型・様)の分類として国際的に承認されている——ルミナルA型(ER/PR陽性・陰性・低)は中心、ルミナルB型(ER/PR陽性でが高いか陽性を伴う)は+化学療法、型(ER/PR陰性・陽性)は+化学療法、様(多くが)は化学療法が主体となる16。

⚠️ 「」と「様」は完全には一致しない。 ER・PR・すべて陰性という臨床的定義()と、に基づく様の定義は同一ではない。乳癌4,046例で3マーカー(ER・PR・)による判定と5マーカー(同3項目+EGFR・5/6)による基底様判定を比較した研究では、陽性は17%(10年乳癌特異生存67%)、5マーカーによる基底様陽性は9%(同62%)で、の予後不良はほぼ基底マーカー陽性例に起因していた17。

TNM病期分類

病期 腫瘍 リンパ節 転移
T0/Tis 原発なし・in situのみ — —
T1 ≤ 2 cm N1 = 腋窩1〜3個 M0 = なし
T2 > 2 cm かつ ≤ 5 cm N2 = 腋窩4〜9個 M1 = 遠隔
T3 > 5 cm N3 = 下/上または腋窩10個以上
T4 任意サイズ+胸壁/皮膚進展

⚠️ 第8版(2017年)で乳癌のに生物学的因子が組み込まれた。 解剖学的な病期(上表)に加えて、グレード・ER/PR・発現・多遺伝子予後アッセイの結果を反映した「」が導入され、同じ解剖学的病期でも生物学的因子によってが変わりうる18。という解剖学的なに分子情報が組み込まれた代表例である。

💡 陽性・陰性・陰性乳癌では、多遺伝子アッセイが化学療法の要否判断に使われる。 Oncotype DX再発スコア11〜25の6,711例を対象としたTAILORx試験では、単独が化学に対し浸潤性無病生存でであった(9年時点83.3%対84.3%)が、50歳以下でスコア16〜25の一部には化学療法の利益が見られた19。

💡 ポイント: 女性の癌死は世界で第1位(米国では第2位)。遺伝性 = BRCA1/BRCA2(修復)。散発性 = /NEU。外上四分円+左 > 右。DCIS = 導管、石灰化、、→ (湿疹様乳頭病変)。LCIS = 両側性+多巣性、喪失、年約2%で乳癌が発生(同側に多い)。(NOS) = 第1位、の硬い腫瘤。 = 一列縦隊/標的、多中心性/両側性、ER陽性、異常な転移(卵巣、子宮、骨髄)。 = 、予後良好。+粘液 = 予後最良。 = 。進展:外側 → 腋窩、内側 → 内胸、血行性 → 肺/骨/肝/副腎/脳。予後:サイズ+リンパ節+転移+グレード+型+ER/PR陽性(良好)+(不良だが治療可能)。

まとめ

  • 乳癌は世界では女性の癌死の第1位(米国では肺癌に次ぐ第2位)で、症例の75%が50歳超に発症する。
  • 遺伝性(5〜10%)はBRCA1/BRCA2変異、散発性は/NEUが特徴的。
  • 癌は(石灰化、と関連)とLCIS(両側性・多巣性、喪失、その後の乳癌発生は年約2%で同側に多い)に分かれる。
  • (NOS)が最多、は一列縦隊配列・標的パターンで異常な部位(髄膜、消化管、卵巣)へ転移しうる。
  • ・膠様(粘液)癌・はいずれも予後良好な特殊型。ただし乳腺のは乳腺腫瘍分類第5版(2019)で独立した組織型ではなくなり、リンパ球(TILs)に富む浸潤癌(NST)のスペクトラムの一端として扱われる8。
  • は外側・中央四分円→、内側四分円→。
  • 予後因子はサイズ・リンパ節転移・遠隔転移・グレード・組織型・(ER/PR陽性は良好)・(不良だがで治療可能)。

出典

  1. 1.Global cancer statistics 2024: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 34 cancers in 186 countries(American Cancer Society / International Agency for Research on Cancer (IARC)・2026)全文(PMC13343830)で、2024年の女性乳癌は世界で推計240万例・死亡69.4万例、男女合わせた癌死亡では第4位(全死亡の7.1%)であり、女性に限ると罹患・死亡とも最多の癌で、死亡では122か国で首位(子宮頸癌が26か国、肺癌が26か国で首位)であることを確認した。閲覧 2026-09-24
  2. 2.Screening for Breast Cancer: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement(JAMA・2024)抄録で、米国女性では乳癌が2番目に多い癌かつ癌死亡の第2位であること、平均リスクの40〜74歳女性に2年ごとのマンモグラフィ検診を推奨(B推奨)し、75歳以上の検診と高濃度乳房に対する超音波・MRIの追加検診は利益と害の均衡を評価する根拠が不十分(I statement)としたことを確認した。閲覧 2026-09-24
  3. 3.Type and timing of menopausal hormone therapy and breast cancer risk: individual participant meta-analysis of the worldwide epidemiological evidence(The Lancet・2019)抄録で、前向き研究の個別患者データメタ解析(閉経後に乳癌を発症した108,647例)において、腟エストロゲンを除くすべての閉経期ホルモン療法が乳癌リスクの上昇と関連し、上昇は使用期間とともに着実に増え、エストロゲン単独よりエストロゲン+黄体ホルモン併用で大きかったこと(現在使用者の使用1〜4年で併用RR 1.60・単独RR 1.17、5〜14年で2.08・1.33)を確認した。閲覧 2026-09-24
  4. 4.Paget disease of the breast: mammographic, US, and MR imaging findings with pathologic correlation(RadioGraphics・2011)乳頭Paget病の90%超に背景の乳癌が併存すること、乳頭乳輪複合体の乳管内のDCISを伴うことが多いが乳頭乳輪複合体から2cm以上離れた部位のDCISや浸潤癌を伴うこともあること、マンモグラフィは最大50%の症例で陰性でありうるため乳頭乳輪複合体の評価と背景病変の同定にはMRIが有用であることを確認した。閲覧 2026-08-27
  5. 5.Lobular Carcinoma in Situ: A 29-Year Longitudinal Experience Evaluating Clinicopathologic Features and Breast Cancer Risk(Journal of Clinical Oncology・2015)抄録と全文(PMC4934644)で、同時性乳癌のないLCIS 1,060例(経過観察1,004例、うち化学予防173例)を中央値81か月追跡し150例に168の乳癌が発生したこと(同側63%・対側25%・両側12%、組織型はDCIS 35%・浸潤性乳管癌29%・浸潤性小葉癌27%)、乳癌の年間発生率は約2%、10年累積リスクは化学予防なし21%・あり7%(化学予防のハザード比0.27)であったこと、考察でLCISを「非必須の前駆病変であると同時に高リスクの指標(high-risk marker)でもある不均一な病変」と位置づけていることを確認した。閲覧 2026-08-27
  6. 6.E-cadherin is a tumour/invasion suppressor gene mutated in human lobular breast cancers(The EMBO Journal・1995)乳癌49例のE-cadherin遺伝子(CDH1)変異スクリーニングで、浸潤性乳管癌・髄様癌42例には関連するDNA変化を認めなかったのに対し、浸潤性小葉癌7例中4例に細胞外ドメインの蛋白切断型変異を認め、いずれも16q22.1のヘテロ接合性喪失と免疫染色でのE-カドヘリン発現消失を伴ったことを確認した。小葉癌に特徴的な非接着性の浸潤様式の分子的説明となる。閲覧 2026-08-27
  7. 7.Hereditary diffuse gastric cancer: updated clinical practice guidelines(The Lancet Oncology / International Gastric Cancer Linkage Consortium・2020)遺伝性びまん性胃癌は常染色体優性の症候群で、びまん型胃癌と乳腺小葉癌の高頻度を特徴とし、大半はCDH1の不活化生殖細胞系列バリアントによることを確認した。国際胃癌連鎖コンソーシアムの2020年改訂では、病的CDH1バリアント保因者のリスク管理として予防的胃全摘が引き続き推奨される。閲覧 2026-08-27
  8. 8.Clinicopathologic Features and Immune Cell Subtypes Analysis of Tumor-infiltrating Lymphocytes Rich Invasive Breast Carcinoma of No Special Type(Applied Immunohistochemistry & Molecular Morphology・2023)抄録で、WHO乳腺腫瘍分類第5版において「腫瘍浸潤リンパ球に富む非特殊型浸潤癌(TILs-rich IBC-NST)」が新たな名称として導入され、典型的髄様癌は同範疇の独立した形態学的亜型ではなくTILsに富むNSTのスペクトラムの一端として位置づけられたこと、髄様癌42例と髄様所見を欠く高悪性度トリプルネガティブ乳癌180例の比較で間質TILsの平均が78.10%対61.33%、5年無病生存率が82.50%対54.49%、5年全生存率が85.00%対58.68%であったこと、髄様癌はTNM病期・腫瘍径・リンパ節転移の点でも高悪性度トリプルネガティブ乳癌より軽度であったことを確認した閲覧 2026-08-24
  9. 9.Prognosis of dermal lymphatic invasion with or without clinical signs of inflammatory breast cancer(International Journal of Cancer・2004)真皮リンパ管への腫瘍塞栓(dermal lymphatic invasion:DLI)を有する乳癌42例(放射線治療例)の解析で、臨床的な炎症性乳癌の所見(inflammatory disease:ID)を伴うDLI群は伴わない群より有意に予後不良であった(3年無病生存31%対61%、P<0.03;3年全生存37%対87%、P=0.005)ことを確認した。臨床的炎症所見の有無が多変量解析で唯一有意な予後因子であった。閲覧 2026-08-27
  10. 10.がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(健発第0331058号 平成20年3月31日 厚生労働省健康局長通知別添、令和6年2月14日一部改正)(厚生労働省・2024)厚生労働省のPDF本文で、市町村の乳がん検診は40歳以上の女性を対象とし(受診を特に推奨する者は40歳以上69歳以下)、原則として同一人について2年に1回、質問(問診)と乳房エックス線検査(マンモグラフィ)で行い、視触診は推奨しない(実施する場合はマンモグラフィと併せて行う)ことを確認した。閲覧 2026-09-24
  11. 11.Pathological prognostic factors in breast cancer. I. The value of histological grade in breast cancer: experience from a large study with long-term follow-up(Histopathology(Elston CW, Ellis IO)・1991)Bloom-Richardson法を改良したNottingham法の組織学的グレードが、腺管形成の割合・核多形性の程度・規定視野面積での正確な分裂像数という3つの形態学的特徴を半定量的に評価し、それぞれの点数の合計から3段階の分化度を導く乳癌専用の方式であること、1973年以降に登録された原発手術可能乳癌2,200例超のうちグレード判定された1,831例でグレードIの患者はグレードII・IIIより有意に良好な生存を示したこと(P<0.0001)を確認した。閲覧 2026-08-27
  12. 12.Trastuzumab Deruxtecan in Previously Treated HER2-Low Advanced Breast Cancer(New England Journal of Medicine(DESTINY-Breast04)・2022)抄録で、HER2低発現をIHC 1+またはIHC 2+かつin situ hybridization陰性と定義し、化学療法歴1〜2レジメンのHER2低発現転移乳癌557例(ホルモン受容体陽性494例)を対象とした第3相試験で、トラスツズマブ デルクステカンが医師選択化学療法に比べ、ホルモン受容体陽性コホートの無増悪生存期間(中央値10.1か月対5.4か月、HR 0.51)と全生存期間(23.9か月対17.5か月、HR 0.64)を延長したこと、薬剤関連の間質性肺疾患・肺臓炎が12.1%(うちgrade 5が0.8%)に生じたことを確認した。閲覧 2026-09-24
  13. 13.ENHERTU (fam-trastuzumab deruxtecan-nxki) injection, powder, lyophilized, for solution(Daiichi Sankyo Inc.(DailyMed 米国添付文書)・2026)米国添付文書(SPL setid 7e67e73e…)のINDICATIONS AND USAGEで、転移乳癌の適応に、転移例で1つ以上の内分泌療法後に進行したホルモン受容体陽性のHER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH陰性)またはHER2超低発現(IHC 0で膜染色あり)の乳癌への単剤投与が含まれることを確認した閲覧 2026-09-24
  14. 14.Enhertu (trastuzumab deruxtecan) : EPAR - Product Information (Annex I: Summary of Product Characteristics)(European Medicines Agency・2026)EU製品情報の4.1で、HER2低発現・超低発現乳癌の適応が、転移例で1つ以上の内分泌療法を受け次治療として内分泌療法が適さないホルモン受容体陽性のHER2低発現または超低発現の乳癌と、転移例での化学療法歴(または術後化学療法中・終了後6か月以内の再発)があるHER2低発現乳癌の2つであることを確認した閲覧 2026-09-24
  15. 15.エンハーツ点滴静注用100mg 電子添文(第一三共株式会社(PMDA 電子添文)・2026)2026年9月改訂の電子添文の4. 効能又は効果に「ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳癌」と「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」が並んで記載されていることを確認した閲覧 2026-09-24
  16. 16.Personalizing the treatment of women with early breast cancer: highlights of the St Gallen International Expert Consensus on the Primary Therapy of Early Breast Cancer 2013(Annals of Oncology(St Gallen International Breast Cancer Conference Expert Panel)・2013)抄録で、パネルが従来の臨床病理学的因子(ER・PR・HER2・Ki-67)による分類(ルミナルA型・ルミナルB型・HER2型・基底細胞様)を遺伝子発現サブタイプの「代理(surrogate)」分類として承認したこと、HER2陽性群とトリプルネガティブ群への全身補助療法の推奨は本質的に変更されなかったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  17. 17.Basal-Like Breast Cancer Defined by Five Biomarkers Has Superior Prognostic Value than Triple-Negative Phenotype(Clinical Cancer Research・2008)追跡期間中央値12.5年の乳癌4,046例のティッシュマイクロアレイで、ER・PR・HER2の3マーカーによるトリプルネガティブ定義(陽性17%、10年乳癌特異生存67%)と、これにEGFR・サイトケラチン5/6を加えた5マーカーによる基底様定義(陽性9%、同62%)を比較し、5マーカー法の方が予後予測能が有意に高いこと、トリプルネガティブの予後不良は基底マーカー陽性の症例にほぼ起因することを確認した。閲覧 2026-08-27
  18. 18.Breast Cancer-Major changes in the American Joint Committee on Cancer eighth edition cancer staging manual(CA: A Cancer Journal for Clinicians(American Joint Committee on Cancer)・2017)AJCC第8版の乳癌TNM改訂に関わった多職種パネルの報告で、腫瘍グレード・増殖能・ER/PR発現・HER2発現・遺伝子発現に基づく予後アッセイ(Oncotype DXなど)という生物学的因子を病期分類へ組み込む必要性を認め、病期分類は引き続き解剖学的TNMを基盤としつつ、グレード・ホルモン受容体・HER2増幅の予後への影響を反映するため、市販の遺伝子アッセイの結果でOncotype DXスコアが低い症例では病期を修正しうる仕組みを導入したことを確認した。閲覧 2026-08-27
  19. 19.Adjuvant Chemotherapy Guided by a 21-Gene Expression Assay in Breast Cancer(The New England Journal of Medicine・2018)ホルモン受容体陽性・HER2陰性・腋窩リンパ節陰性乳癌でOncotype DX再発スコア11〜25の6,711例(TAILORx試験)を対象とした無作為化試験で、内分泌療法単独は化学内分泌療法に対し浸潤性無病生存で非劣性であった(9年時点83.3%対84.3%)ことを確認した。ただし50歳以下でスコア16〜25の一部には化学療法の上乗せ利益が見られた。閲覧 2026-08-27