Obstetrics

Obstetrics · 05

妊娠の徴候と症状

Signs and symptoms of pregnancy

前提:正常
妊娠・分娩・授乳の内分泌学静脈循環
症状
クモ状血管腫手掌紅斑

🧠 全体像:妊娠徴候は、本人が感じる、診察・検査で妊娠を示唆する、胎児を直接確認するに分ける。ただし、現在は症状や古典的身体徴候だけで確定せず、hCGと超音波で妊娠部位・生存性・週数を評価する。

妊娠徴候の分類

分類 代表所見 意味
無月経、悪心、乳房、頻尿、感、 本人がするが非特異的
子宮増大、頸部軟化、Chadwick徴候、hCG陽性 妊娠を強く示唆するが単独では確定しない
超音波による子宮内・胎児と心拍、診察者が確認する、胎児心拍 胎児の存在を直接確認

推定徴候

初期症状

  • 月経停止:最も早く気づかれやすいが、・内分泌疾患・授乳などでも起こる。
  • 悪心・嘔吐:通常は妊娠4〜7週頃に始まり、多くは20週までに改善する。
  • 乳房色素沈着、乳腺発達。
  • 妊娠後半には様のがみられることがある。
  • 頻尿:GFR増加、膀胱への圧迫、による。
  • 感、眠気、嗅覚・、食嗜好変化。

皮膚・粘膜

古典的な可能徴候

徴候 所見 おおよその時期
Goodell徴候 子宮頸部が軟化 4〜6週
Chadwick徴候 子宮頸部・腟粘膜の青紫色変化 約6週
Hegar徴候 子宮が軟化 6〜8週
Piskacek徴候 着床側の子宮角が非対称に膨隆 妊娠初期

これらは骨盤内うっ血や子宮変化を反映するが、診断精度はhCG・超音波より低い。

確定徴候と検出時期

  • では、妊娠週数が進めばと心活動を確認できる。見えない場合はLMP、hCG、装置・を含めて再評価する。
  • ドプラで胎児心拍を聴取できる時期は機器・体格・子宮位置により異なるが、通常10〜12週頃から可能になる。
  • は、で15〜17週頃、で18〜20週頃が目安である。
  • は通常110〜160/分である。

⚠️ 超音波でまだ心拍を確認できない早期に、時期だけを根拠としてと診断しない。十分な再検間隔と保守的な基準を用いる。

妊娠後半に多い症状

症状 主な機序 対応の要点
・便秘 弛緩、低下 、食後すぐ横にならない
呼吸困難感 増加 安静時・急性なら病的原因を除外
頻尿 膀胱圧迫 ・発熱があればUTI評価
静脈瘤・痔 骨盤静脈圧上昇 片脚腫脹はDVTを除外
下肢浮腫 静脈圧・上昇、低アルブミン 急な顔・手の浮腫や高血圧に注意
睡眠困難・ 体型・重心・弛緩の変化 体位・運動・支持具を個別化

仰臥位低血圧症候群

妊娠後半に仰臥位をとると、増大子宮が下大静脈を脊柱へ圧迫し、静脈還流が低下する。大動脈も圧迫されると子宮胎盤灌流が低下しうる。

flowchart TD
    A["妊娠後半に仰臥位"] --> B["子宮が下大静脈を圧迫"]
    B --> C["静脈還流・心拍出量低下"]
    C --> D["悪心・めまい・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cold sweat'>冷汗</span>・低血圧"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left lateral decubitus position'>左側臥位</span>または左方傾斜"]
    E --> F["大静脈圧迫が解除され改善"]

迫で圧より圧が低くなる現象はPoseiro効果と呼ばれ、子宮には胎児状態へ影響しうる。

妊娠中の体重増加

推奨増加量は妊娠前BMIで決める。

妊娠前BMI 区分 妊娠の推奨総増加量
18.5未満 12.5〜18 kg
18.5〜24.9 標準 11.5〜16 kg
25.0〜29.9 7〜11.5 kg
30.0以上 肥満 5〜9 kg

標準的な約12.5 kg増加の内訳は、胎児約3.4 kg、胎盤約0.7 kg、羊水約0.8 kg、子宮約1.0 kg、乳房約0.4 kg、血液約1.3 kg、約1.5〜4.5 kg、脂肪約3.5 kgである。

⚠️ 「15 kg未満なら一律に母児転帰が良い」という考え方は不適切である。少なすぎればSGA、多すぎればLGA・・帝王切開などのリスクが上がるため、妊娠前BMIと胎児発育で評価する。

妊娠ホルモンの時間経過

  • hCGは着床後に上昇し、8〜10週頃にピークを迎え、その後低下して高原となる。
  • プロゲステロンとエストロゲンは胎盤機能の発達とともに妊娠末期まで増える。
  • は胎盤量に応じて増え、妊娠後半のインスリン抵抗性に関与する。

すぐ評価すべき警告症状

  • 多量出血、強い腹痛、肩痛、失神
  • 持続する重い嘔吐、脱水、体重減少
  • 激しい頭痛、、右上腹部痛、急な顔・手の浮腫
  • 発熱、、腟からの液体流出
  • 急な呼吸困難、胸痛、片脚の腫脹・疼痛
  • 妊娠後半の減少

まとめ

  • 症状と古典的身体徴候は妊娠を示唆するが、hCGと超音波で確認する。
  • Chadwick、Goodell、Hegar、Piskacek徴候は妊娠初期の血流・子宮軟化を反映する。
  • 妊娠後半の仰臥位低血圧は・左傾斜で解除する。
  • 体重増加は一律ではなく妊娠前BMIに基づいて評価する。
  • 生理的な症状と、出血・・VTEなどの症状を区別する。