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Obstetrics · 14

胎児発育不全(IUGR、現在はFGR)

Intrauterine growth retardation (IUGR)

前提:正常
胎児期と胎盤:胎児の発育胎児期と胎盤:胎盤と胎膜
疾患
胎児発育不全

🧠 全体像は、胎児が本来の発育能を十分に発揮できていない病的状態である。単に小さい在胎週数不相当(small for gestational age:SGA)と同義ではなく、、発育経過、ドプラ、胎児健常性を組み合わせて診断・分娩時期を決める。

用語と定義

原題のは旧来の表現で、現在はを用いる。

用語 意味
SGA または出生体重が在胎週数の基準より小さい統計的分類。に小さい正常児を含む
FGR 胎盤機能不全、胎児疾患などにより発育能を発揮できない病的状態
超音波EFWまたはが10未満
重症FGR EFWが3未満。異常ドプラも高リスクを示す

💡 「10未満」は入口であり、FGRか体質性SGAかは発育速度、ドプラ、羊水、母体疾患を含めて判断する。

原因

分類 代表例 特徴
母体 高血圧、、腎疾患、、喫煙、薬物、 胎盤を介することが多い
胎盤・臍帯 胎盤梗塞・血栓、胎盤形成不全、臍帯付着異常 抵抗上昇を来し得る
胎児 染色体異常、、先天感染 早期発症や対称性を示すことがある
胎盤共有、胎児間輸血など 一児のみ、または両児に発症し得る

対称性と非対称性

  • 対称性はが全体に小さく、早期の遺伝・感染要因を示唆することがある。
  • 非対称性は低下が目立ち、頭部が相対的に保たれる頭部温存を示すことがある。
  • このは病態を理解する補助であり、原因や予後を確定しない。

胎盤機能不全型でみられる外観

  • 頭部が体幹に比べ相対的に大きく、腹部は陥凹して見える。
  • 大腿が細くが少ない、皮膚が乾燥する、爪が長いなど所見を示す。
  • 長期間の発育不全では縫合・泉門が広く見えることがある。

これらは出生後の観察所見であり、FGRのは超音波と胎児・胎盤機能評価で行う。

スクリーニングと診断

  • が週数より約3 cm以上小さい、または増加が停滞した場合は超音波を行う。ただし肥満、筋腫、で精度が落ちる。
  • 超音波ではからEFWを算出し、羊水、胎盤、形態を評価する。ACは胎盤機能不全の影響を捉えやすい。
  • 単回値だけでなく、適切な間隔での連続から発育速度をみる。
  • 32週未満の早期FGRでは詳細形態評価を行い、奇形、、原因不明の孤立性FGRではを含むを検討する。
  • リスクがなければTORCH一式を機械的に検査しない。を行う原因不明FGRでは状況に応じCMV PCRを検討する。

臍動脈ドプラと監視

flowchart TD
    A["EFWまたはACが10<span class='jp-term jp-term-diagram' title='percentile'>パーセンタイル</span>未満"] --> B["形態・羊水・母体疾患・発育経過を評価"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='umbilical arteries'>臍動脈</span>Doppler"]
    C --> D{"拡張期血流"}
    D -->|"正常"| E["週1回程度のCTG<br>Dopplerを1〜2週ごと"]
    D -->|"低下"| F["Dopplerを少なくとも毎週<br>分娩時期を前倒し"]
    D -->|"途絶 AEDV"| G["週2〜3回Doppler<br>厳密な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antenatal fetal surveillance'>胎児監視</span>"]
    D -->|"逆流 REDV"| H["入院、ステロイド<br>CTGを1日1〜2回以上"]

は胎盤抵抗の高度上昇を示す。を組み合わせる。

管理と分娩時期

状況 分娩時期の目安
EFW 3〜10ドプラ正常 38〜39週
EFW 3未満、または拡張期血流低下だがAEDV/REDVなし 37週
AEDV 33〜34週
REDV 30〜32週
CTG異常、BPP悪化、重症など 週数にかかわらず母児状況から早期分娩を検討
  • 早産が見込まれればを投与し、32週未満で分娩が迫ればMgSO4による胎児を行う。
  • FGRだけで帝王切開が必須とはならない。、ドプラ、胎児心拍、への反応で経腟分娩か帝王切開かを選ぶ。
  • AEDV/REDVではリスクが高く、全体像から帝王切開を考慮する。
  • 栄養不良と喫煙には介入するが、FGR治療としての安静、、FGR再発予防だけを目的とする低分子ヘパリンは推奨されない。

新生児の注意点

まとめ

  • FGRは病的な発育不全であり、統計的に小さいSGAと同義ではない。
  • EFWまたはAC 10未満を起点に、発育経過とドプラでする。
  • AEDV・REDVほど監視を強め、分娩時期を早める。
  • FGRは経腟分娩のではなく、母児状態から分娩方法を個別化する。