Traumatology

Traumatology · 10

脊椎・脊髄損傷の診察と手術適応

Assessment of spinal injuries and surgical indications

前提:正常
背部・脊柱:脊髄と髄膜脊髄の運動機能。脊髄反射。脊髄離断と脊髄ショック。原始感覚の伝導路(前外側系)識別性感覚の伝導路(後索・内側毛帯系)
疾患
外傷性脊椎・脊髄損傷

🧠 全体像脊椎外傷では、まず生命を救いながら(spinal motion restriction:SMR)でを避ける。次に「骨・の不安定性」と「脊髄・」を別々に評価し、CTで骨傷、MRIで脊髄・を確認する。手術は画像所見だけでなく、、進行する麻痺、機械的不安定性、変形を統合して決める。

初期対応

脊椎損傷が疑われても、優先順位は外傷初期診療の cABCDE である。気道確保時は的に正へ保ち、低酸素・低血圧・大量出血を速やかに是正する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='causation'>受傷機転</span>または症状から脊椎損傷を疑う"] --> B["cABCDEと<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spinal motion restriction'>脊柱運動制限</span>"]
    B --> C["運動・感覚・会陰部・肛門所見を記録"]
    C --> D["成人の適応例ではCT"]
    D --> E["神経異常または軟部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue injury'>組織損傷</span>を疑う"]
    E --> F["CT後にMRI"]
    D --> G["骨折形態と不安定性を分類"]
    F --> H["圧迫・進行性麻痺・不安定性を統合"]
    G --> H
    H --> I["保存治療または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decompression'>除圧</span>・整復・固定"]

⚠️ 長い脊椎ボードは「固定具」ではなく主に救出・器具である。長時間載せたままにすると疼痛、を起こすため、病院到着後は訓練された人員で早期に適切な搬送面へ移す。「完全固定」ではなく不要な屈曲・伸展・回旋を減らすSMRと理解する。

病歴と身体診察

病歴

  • 高所、軸圧、、回旋、穿外傷などの
  • 、四肢の・筋力低下、、膀胱直腸障害
  • 意識障害、薬物・アルコール、強い損傷、既往の脊椎手術・性疾患

観察と触診

頭部からまで変形、、正中圧痛、を確認する。触診のために不必要なを行わず、時は頭頸部と体幹を一体として扱う。

神経学的評価

ASIA・ISCoSのに沿い、左右の主要筋、軽い触覚、針刺激、を記録し、運動・感覚・とAISを判定する。を評価する目的を明確にして行う。1

評価 意味
主要筋の筋力 と左右差を定量化する
触覚・針刺激 感覚と不完全損傷を判定する
会陰感覚・ の有無を確認する
反射 ISNCSCIの中核スコア項目ではないが、の解釈を助ける

不完全脊髄損傷の代表像

症候群 主な障害像
運動・痛覚・温度覚が強く障害され、後索機能が比較的保たれる
下肢より上肢、特に手の運動障害が強いことが多い
病変側の運動・低下と、反対側の痛覚・温度覚低下
会陰部感覚、、下肢の所見。圧迫は緊急を要し得る

画像診断

検査 主な役割
単純X線 CTが利用できない場面などに限定され、成人の急性損傷の除外には感度が不十分
CT 骨折、内骨片、アライメントを迅速に評価する第一選択
MRI 脊髄浮腫・出血、を評価する

成人で画像が必要ならCTを基本とし、単純X線だけで除外しない。2 異常がで説明できる場合は、CTが正常でもCT後にMRIを行う。新たな脊柱骨折が見つかったら性損傷を念頭に残りの脊柱も確認する。

手術適応

手術の目的は神経組織の、脊柱の整復と安定化、変形進行の防止、の促進である。

圧迫源に応じて切除、切除、除去などでし、ロッド・スクリュー・プレートによる前方、後方または前後方固定を組み合わせる。だけで不安定性を増やさないよう、損傷形態と再建計画を一体として考える。

強く考慮する状況

  • 圧迫病変を伴う進行性または重大な神経脱落
  • 骨折、多柱性損傷、破裂骨折などの機械的不安定性
  • による不安定性や進行する・椎体圧潰
  • 神経障害を伴う内骨片、圧迫
  • 開放損傷で、汚染除去・修復・・安定化が必要な場合

個別に判断する状況

難治性疼痛、保存治療で保持できない変形、偽関節、を妨げる不安定性では、全身状態・骨質・損傷分類・本人の機能目標を含めて手術を検討する。単一の画像所見だけで決めず、では、胸では胸損傷分類・重症度スコア(Thoracolumbar Injury Classification and Severity Score:TLICS)などを補助に用いる。とくに境界スコアでは、後方複合体の評価、を含めて個別に判断する。3

手術要素 代表的手技
切除、摘出、除去など。だけで不安定性を増やさないよう固定と組み合わせる
整復 ・転位と脊柱配列を安全に戻す
安定化 スクリュー、ロッド、プレート、、骨移植を用いた前方・後方または合併固定

まとめ

  • cABCDE とSMRを並行し、低酸素・低血圧による二次脊髄障害を防ぐ。
  • 初回からASIAに沿ったを記録し、を追う。
  • 成人の骨傷評価はCT、神経異常や・脊髄病変の評価はCT後のMRIが中心である。
  • 手術は、進行性麻痺、不安定性、変形を統合して判断する。

出典

  1. 1.Validity of computed tomography alone to exclude cervical spine injuries in patients with blunt trauma(The Journal of Trauma・2005)成人鈍的頸椎外傷の骨傷評価ではCTが単純X線より高感度であること閲覧 2026-08-09
  2. 2.International Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injury: Revised 2019(Spinal Cord・2019)脊髄損傷の神経学的分類は主要筋、感覚、仙髄温存から神経学的高位とAISを判定すること閲覧 2026-08-09
  3. 3.Reliability and Validity of the Thoracolumbar Injury Classification and Severity Score in Treatment Decision Making for Thoracolumbar Fractures(Clinical Spine Surgery・2024)TLICSは治療判断の補助分類であり、境界例を含め臨床的個別判断が必要であること閲覧 2026-08-09