Traumatology

Traumatology · 09

外傷性硬膜外・硬膜下・脳内血腫

Epidural, subdural and intracerebral hematoma; symptoms, diagnosis and treatment

前提:病態
頭蓋内圧亢進の病理(浮腫・ヘルニア・水頭症)血液凝固に作用する薬II:抗凝固薬
前提:正常
頭部:頭蓋腔と髄膜
疾患
外傷性脳損傷
画像所見
CT高吸収域

🧠 全体像頭蓋内血腫は、解剖学的位置により出血源、CT形態、進行速度、手術適応が異なる。し得て、急性は重い損傷を伴いやすく、は時間とともに増大し得る。どの型でもABCDE、低酸素・低血圧の回避、反復神経診察、緊急CTと連携が先行する。

3病型の比較

項目
血腫部位 頭蓋骨と硬膜の間 硬膜とくも膜の間
主な出血源 など。静脈洞由来もある 、皮質血管 部の小血管・血管
典型的機序 などの 加速・ 直達・
急性は 内の
境界 通常は縫合を越えにくい 縫合を越え得るがを越えにくい 解剖学的境界に沿わず、周囲浮腫を伴う

共通する緊急対応

flowchart TD
    A["意識低下・局在徴候・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traumatic brain injury, TBI'>頭部外傷</span>"] --> B["ABCDE+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical vertebra'>頸椎</span>保護"]
    B --> C["GCS・瞳孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Motor response, M'>運動反応</span>"]
    C --> D["頭部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='noncontrast CT'>単純CT</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coagulation assay'>凝固検査</span>"]
    D --> E["血腫量・厚さ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='midline shift'>正中偏位</span>・脳槽を評価"]
    E --> F["抗凝固薬を緊急中和"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurosurgery'>脳神経外科</span>へ即<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phase'>時相</span>談"]
    G --> H["手術適応あり:可及的早期に血腫除去"]
    G --> I["適応なし:集中観察+再CT"]

低酸素と低血圧を避け、切迫では頭部挙上、鎮痛鎮静、またはなどを一時的に用いながら確定手術へつなぐ。抗凝固薬は薬剤別に緊急中和する。出血ではを損なう一律の強力なを避け、全身出血とを統合して血圧を管理する。

硬膜外血腫

病態・症状

典型的にはが損傷する。短い後にを経て急速に悪化する経過は古典的だが、全例にはみられない。

  • 激しい頭痛、悪心・嘔吐、急速なGCS低下
  • 病変側のを来す
  • 高血圧、徐脈、不規則呼吸からなるは晩期所見

治療

2006年のBrain Trauma Foundation手術基準では、血腫量30 cm³超はGCSにかかわらず外科的除去の適応とされ、昏睡かつでは可及的が推奨される。1

同基準では、血腫量30 cm³未満、厚さ15 mm未満、5 mm未満、GCS 9以上で局在症状がないという条件をすべて満たす選択例は、施設で厳密な神経観察と連続CTのもと保存治療を検討できる。これらは代表的基準であり、単独で機械的に適用しない。1

💡 「GCS 9未満なら一律手術」という単独基準では不十分で、血腫量、厚さ、、瞳孔・局在徴候を統合する。

急性・慢性硬膜下血腫

急性硬膜下血腫

や皮質血管のによる。急速な意識障害、頭痛、嘔吐、、けいれんを呈し、重いを伴うことが多い。

2006年のBrain Trauma Foundation手術基準では、CTで血腫厚10 mm超または5 mm超なら、GCSにかかわらず可及的早期に外科的除去を行う。これ未満でもGCS 9未満で、受傷時から2点以上のGCS低下、・固定、ICP上昇があれば手術を行う。昏睡例ではICPモニタリングを検討する。これらも臨床経過と併せて用いる代表的基準である。2

慢性硬膜下血腫

数週〜数か月かけて、頭痛、認知・人格変化、傾眠、などが進行する。高齢、、抗凝固・は危険因子である。CTは低〜病変となるが、再出血で混合濃度を示すこともある。

症候性またはを伴う例では・ドレナージが中心である。再発し得るため臨床・画像フォローを行い、の再開時期は出血と血栓塞栓の危険を個別に比較する。

外傷性脳内血腫・脳実質内病変

診断

、失調、意識低下、けいれんなど、出血部位に応じた局在症状を生じる。頭部、周囲浮腫、脳室内、脳槽を評価し、神経悪化時は再CTする。

外傷歴だけでは説明しにくい部位・形態なら、高血圧性出血、、腫瘍、凝固異常などの原因を考え、やMRIを追加する。

治療

  • 酸素化・換気・循環を保ち、凝固異常を是正する。
  • ICP亢進では鎮痛鎮静、頭部挙上、、必要時ICPモニタリングを用いる。
  • 病変に対応する進行性神経悪化、内科治療抵抗性ICP亢進、CT上の明らかなは手術適応となる。
  • GCS 6〜8で病変が20 cm³超かつ5 mm以上または脳槽を伴う場合、あるいは病変50 cm³超は、を考慮する代表的画像基準である。ただし比較試験は限定的で、、病変進行、を統合する。3
  • 神経障害、ICP、が乏しい例は集中監視と連続画像で保存治療できる。

手術法は開除去に限定せず、病変の部位・と全身状態により、開頭術、低侵襲的吸引、を選択する。安定化後は運動、言語、嚥下、認知の神経リハビリテーションを行う。

まとめ

  • EDHは、SDHは、ICHはとしてCTで捉える。
  • は典型像だが、出現を待ってはならない。
  • EDH・急性SDHには代表的な画像閾値があるが、GCS、瞳孔、局在徴候、を統合する。
  • 保存治療を選ぶ場合も、施設での厳密な観察と連続CTが必要である。

出典

  1. 1.Surgical management of acute epidural hematomas(Neurosurgery・2006)急性硬膜外血腫の代表的な手術・保存治療基準閲覧 2026-08-09
  2. 2.Surgical management of acute subdural hematomas(Neurosurgery・2006)急性硬膜下血腫の代表的な手術基準閲覧 2026-08-09
  3. 3.Early surgery versus initial conservative treatment in patients with traumatic intracerebral hemorrhage (STITCH[Trauma]): the first randomized trial(Journal of Neurotrauma・2015)外傷性脳内血腫の早期手術に関する比較試験は限定的で、画像閾値だけでなく臨床像を統合する必要があること閲覧 2026-08-09