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Disease Atlas · 腫瘍 · 症候群

Carney三徴

Carney triad

別名
Carney三徴候
臓器系
腫瘍消化器
科目
Pathology (Histopathology)Pathology
トピック
組織病理 H2-030A:消化管間質腫瘍総論病理学 C/35:胃腫瘍
続発疾患
消化管間質腫瘍傍神経節腫
関連疾患
肺過誤腫

🧠 全体像:は胃GIST・・という一見な3腫瘍が、若年女性にに同一患者へ現れる症候群である。3つ揃うのは少数派で、2つでも診断してよい運用が現場的に重要。名前が似ていて機序がまったく異なる(+、SDH遺伝子のによる家族性)と混同しないことが、この項目の本体である。

Carney三徴とCarney-Stratakis症候群の対比

同じ「+SDH機能欠損」という土台の上に、遺伝性かかでまったく別の2疾患が乗っている。

構成腫瘍 胃・・(3徴候) ・(2徴候のみ)
遺伝形式 (散発性) 常染色体優性(SDH遺伝子の)
SDHC遺伝子のによるな不活化1 SDHB・SDHC・SDHDなどの
性差 若年女性に強く偏る 性差なし
発症年齢 若年(多くは10〜20歳代で発症) 家系内で様々
構成要素として出現しうる 出現しない

⚠️ 同じSDH欠損という機序を共有しながら、はな体細胞性の不活化、はという全く異なるであり、遺伝カウンセリングの要否(では原則不要、では家系検索が必要)が対照的になる2。

病態

flowchart TD
    A["SDHC遺伝子プロモーターの<br>体細胞性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypermethylation'>高メチル化</span>"] --> B["SDHCの発現低下"]
    B --> C["ミトコンドリアの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='succinate dehydrogenase'>コハク酸脱水素酵素</span>(SDH)複合体の機能欠損"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial cell of Cajal'>Cajal介在細胞</span>系での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumorigenesis'>腫瘍形成</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paraganglionic cell'>傍神経節細胞</span>での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumorigenesis'>腫瘍形成</span>"]
    D --> F["多発性・若年発症の胃<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrointestinal stromal tumor'>GIST</span>"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paraganglioma'>傍神経節腫</span>"]
    C --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary chondroma'>肺軟骨腫</span>(機序は他2病変ほど明確でない)"]

このSDHCは、の腫瘍組織および非腫瘍性の胃壁でも検出される一方、・家族性・KIT/PDGFRAの散発性では認められない、に特異的な所見である1。この分布パターンから、生殖細胞レベルではなく発生初期のがの生物学的背景として想定されている。

臨床像

  • 胃:GIST全体の中でもに分類され、若年女性・多発性・・という特徴をもつ。KIT/PDGFRAと異なりリンパ節転移をきたしうる点はGISTノートの「野生型」を参照。
  • :頭頸部や後腹膜に生じ、カテコールアミン過剰による症状を伴うこともあればのこともある。
  • :多くは無症候性で、胸部画像検査で偶発的に発見される。⚠️ 文献によってはこの病変をと記載する(StatPearls など)。呼称は割れているが同じ病変を指す。

⭐ 3徴候すべてが揃う患者はむしろ少数で、2徴候(多くは胃+、または+)の時点でとして管理するのが実地の運用である3。長期にわたり新規病変が出現し続けることがあるため、診断後も継続的な経過観察を要する。

治療上の要点 — SDH欠損型GISTはイマチニブが効きにくい

⚠️ の胃はKIT・PDGFRAともに野生型であり、これらを標的とするなどのに対する感受性が乏しい。 腫瘍はしたKIT/PDGFRAシグナルというそのものを欠くため、と同じ薬剤選択が通用しない。例では外科的切除が中心となり、はKIT/PDGFRAと異なりリンパ節転移をきたしうるため、リンパ節郭清の要否も個別に検討する。

予後

多発性・の経過をたどることが多く、通常ののような腫瘍径・核分裂数によるモデルはではそのまま当てはまらない。長期の生存は比較的良好とされるが、生涯にわたる新規病変の出現に備えた定期的な画像・内視鏡フォローが必要になる。

まとめ

  • は胃・・からなるの症候群で、若年女性に好発し、2徴候でも診断してよい。
  • はSDHC遺伝子のによるな不活化で、SDH遺伝子のによる家族性の(+の2徴候、常染色体優性、性差なし)とは・遺伝形式ともに異なる別疾患である。
  • 構成腫瘍のうちはに分類され、KIT/PDGFRAともに野生型のためなど既存のが効きにくく、リンパ節転移をきたしうる点で通常のとが異なる。

出典

  1. 1.Aberrant DNA hypermethylation of SDHC: a novel mechanism of tumor development in Carney triad(Endocrine-Related Cancer・2014)Carney三徴の腫瘍にみられるSDHCプロモーター高メチル化が、Carney-Stratakis症候群や家族性傍神経節腫、散発性GISTには認められないという分子的な鑑別点閲覧 2026-08-19
  2. 2.Familial paraganglioma and gastric stromal sarcoma: a new syndrome distinct from the Carney triad(American Journal of Medical Genetics・2002)GISTと傍神経節腫の2徴候が常染色体優性に家族内発症する一群を、非遺伝性のCarney三徴とは別個の症候群(Carney-Stratakis症候群)として提唱した原記載閲覧 2026-08-19
  3. 3.Carney Triad(Radiology - Cardiothoracic Imaging・2020)Carney三徴の3主徴(胃GIST・傍神経節腫・肺軟骨腫)、若年女性への好発、SDHCの高メチル化という非遺伝性の機序閲覧 2026-08-19