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Disease Atlas · 神経 · 先天性疾患

脳眼顔面骨格症候群

Cerebro-oculo-facio-skeletal syndrome

別名
COFS症候群
臓器系
神経全身眼科運動器
科目
Pathology
トピック
病理学 B/10:DNA修復遺伝子(DNA修復機構)病理学 B/13:遺伝性腫瘍症候群(遺伝性がん症候群)
上位概念
コケイン症候群
続発疾患
白内障
症状
多発性関節拘縮難聴発達退行

🧠 全体像:()は、と同じ(TC-NER)関連遺伝子の異常が、より徹底的に機能を奪ったときに生じる最重症・胎児発症型である。はのERCC6だけでなく、の原因にもなるERCC1・ERCC2・ERCC5にも及び、「同じ遺伝子でも障害の程度と部位で表現型がXPから、まで連続的に変わる」という、NER異常症全体を理解するうえで象徴的な位置にある。

概要・位置づけ

は、のTC-NER異常症である。はERCC6(COFS1)・ERCC2(COFS2)・ERCC5(COFS3)・ERCC1(COFS4)の4つが知られ、いずれもやのと重なる。ののうち、から発症する最重症端として位置づけられ1、本ノートではをparentConceptとする。

💡 ERCC5(XPG)を例にとると、変異の位置・種類によって「状主体の(XP-G)」から「」「」、そして最重症の「COFS3」まで連続的に表現型が変わることが知られる。同じ遺伝子でも、どのがどの程度損なわれるかで、まったく違う病名の疾患に見えるという好例である。

病態(機序)

は、NERの中でどの段階を担うかで2つに分かれる。ERCC6(CSBタンパク、COFS1)はと同じく、TC-NERのだけを担う特異的因子で(GG-NER)には関与しない。一方、ERCC1(COFS4)・ERCC2(XPD、COFS2)・ERCC5(XPG、COFS3)は、の後にTFIIH複合体が動員されてから働くGG-NERとTC-NER双方に共通する下流因子(・)である。このためERCC1・ERCC2・ERCC5が高度に障害されると、TC-NERだけでなくGG-NERも損なわれうる——同じERCC5の変異でも、障害の程度・部位次第で状主体の(XP-G)にも、両経路が高度に障害されるCOFS3にもなりうるのはこのためである。いずれの遺伝子が原因でも、ではこの障害がより高度かつから及ぶため、中枢神経系・眼・関節など発生の過程そのものが強く損なわれる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='causative gene'>原因遺伝子</span>の変異"] --> B{"どの遺伝子か"}
    B -->|"ERCC6(COFS1)"| C["TC-NER特異的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='damage recognition'>損傷認識</span>因子の喪失"]
    C --> D["TC-NERのみが高度に障害される"]
    B -->|"ERCC1・ERCC2・ERCC5(COFS2〜4)"| E["GG-NER・TC-NER共通の下流因子(TFIIH・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endonuclease'>エンドヌクレアーゼ</span>)の喪失"]
    E --> F["両経路とも高度に障害されうる"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fetal period'>胎児期</span>から転写ストレスが持続"]
    F --> G
    G --> H["中枢神経系の発生そのものが障害される"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital microcephaly'>先天性小頭症</span>・重度の発達遅滞"]
    G --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>・眼球の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Developmental Disorders'>発生障害</span>"]
    J --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital cataract'>先天性白内障</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microphthalmia'>小眼球症</span>"]
    G --> L["関節周囲組織の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Developmental Disorders'>発生障害</span>"]
    L --> M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fetal period'>胎児期</span>からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arthrogryposis multiplex congenita'>多発性関節拘縮</span>"]

臨床像

系統 所見
神経 、、重度の・
眼 先天性、
関節・骨格 から明らかな、重度の
耳 感音性難聴
隆起した、上唇の突出などの特徴的な

⚠️ でとが同時に見つかったら、を鑑別に挙げる。 この組み合わせは他の胎児発症症候群でも見られるため、遺伝学的検査による確定が必要になる2。

診断

での・・・の組み合わせから疑い、ERCC1・ERCC2・ERCC5・ERCC6いずれかのの同定で確定する2。は・と重なるため、臨床像の重症度(発症か否か)と併せて総合的に判断する。

鑑別の中心は(本症候群が属するスペクトラムの本体)で、その他の発症性の多発候群も除外の対象になる。

治療・管理

根治療法はなく、対症的な支持療法が中心になる。予後がきわめて厳しく次子の再発リスクがあるため、遺伝カウンセリングと、次回妊娠における(・による)が重要になる2。

予後

はのスペクトラムの中でもっとも予後が厳しく、に至る例や、出生後も重度ののまま生後数か月〜数年で死亡する例が多い2。

まとめ

  • はERCC1・ERCC2・ERCC5・ERCC6いずれかのによるのTC-NER異常症で、ののうち発症・最重症端に位置づけられる。
  • は・と重なり、変異の位置・程度によって表現型が連続的に変わることを象徴する疾患である。
  • からの・重度の発育不全に加え、・・・感音難聴・特徴的なを呈する。
  • ERCC6はTC-NER特異的因子だが、ERCC1・ERCC2・ERCC5はGG-NER・TC-NER共通の下流因子であり、どちらが原因でも高度に障害されればCOFSの表現型になりうる。
  • 予後はきわめて厳しく、または出生後早期の死亡に至ることが多い。

出典

  1. 1.Cockayne Syndrome(GeneReviews(Laugel V)・2024)COFS症候群がコケイン症候群の表現型スペクトラムのうち胎児期発症・最重症端に位置づけられること(4型分類のうち最重症型として明記)を確認した(Classification節)。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Prenatal findings of cataract and arthrogryposis: recurrence of cerebro-oculo-facio-skeletal syndrome and review of differential diagnosis(BMC Medical Genomics・2021)COFS症候群が*ERCC6*(COFS1)・*ERCC2*(COFS2)・*ERCC5*(COFS3)・*ERCC1*(COFS4)のいずれかの両アレル病的バリアントで生じる遺伝的異質性をもつ常染色体劣性疾患であること、胎児期からの関節拘縮・重度の胎児発育不全に加え出生後は先天性小頭症・先天性白内障・小眼球症・体幹低緊張・感音難聴・特徴的な顔貌(隆起した鼻根・上唇の突出)を呈すること、子宮内胎児死亡や出生後早期(生後数か月〜数年)の死亡に至ることが多いこと、次子の遺伝的リスクを念頭に置いた出生前診断(今回の症例は同胞での再発例)を扱っていることを本文で確認した。閲覧 2026-08-20