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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬 · 必修

ビチオノール

bithionol

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬
科目
Pharmacology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugs
標的微生物
Fasciola hepatica
副作用
悪心光線過敏症

🧠 全体像治療の「先代」にあたる薬である。が実用化される以前は治療に広く用いられていたが、を2週間前後続ける長い治療期間・の課題・治癒率のばらつきから、現在はが使えない・効かない場合の代替薬という位置づけに退いた1でもかつての主力だったが、こちらはに置き換わっている2。作用機序もとは異なり、虫体のそのものを止める点が特徴。

⚠️ この薬には米国添付文書(FDA承認ラベル)が存在しない。 米国では未承認で商業流通もなく、必要な場合はCDC Drug Serviceへ請求して入手する薬剤である21。そのための有無を添付文書で確認することができず、以下の用量・副作用の記載はすべて臨床報告・総説に由来する——添付文書ベースの他の薬剤ノートと同じ確度では読めない点に注意する。

薬効群の中での位置づけ

分類 薬剤 標的・機序 位置づけ
破壊) 虫体の破壊・ の第一選択
ハロゲン化誘導体 のロドの働きをに阻害し、虫体のを止める 代替薬不応・・入手不可例)3
吸虫症の標準治療薬 虫体膜のCa²⁺透過性変化 には無効。ただしではに取って代わった2

肢は→(不応・入手不可なら)という一直線の序列で覚える。が「ではに勝ち、ではに負けた」という非対称も、この2剤の守備範囲を対で覚えるときの手がかりになる2

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bithionol'>ビチオノール</span>(ハロゲン化<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phenol'>フェノール</span>誘導体)が<br>虫体組織に取り込まれる"]
    A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='electron transport chain'>電子伝達系</span>のロド<span class='jp-term jp-term-diagram' title='quinone'>キノン</span>の働きを<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に阻害する"]
    B --> C["寄生虫特有の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anaerobic'>嫌気的</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='electron transport'>電子伝達</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fumarate'>フマル酸</span>還元系)が回らなくなる"]
    C --> D["ATP産生が破綻する"]
    D --> E["虫体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Energy Metabolism'>エネルギー代謝</span>が停止し死滅"]

💡 宿主のミトコンドリアが酸素を最終電子受容体にするのに対し、寄生虫は低酸素環境でロドを使うに依存する——この違いがの土台になる。を壊す」と「を止める」は狙う場所が違うため、不応例でもが選択肢になりうる。⚠️ ただしが違うことは有効性を保証しない——での治癒率は報告によりばらつきが大きく、が無いという理論的期待と、実際に効くかどうかは別問題である1

適応

領域 使いどころ
感染症科・消化器 Fasciola hepaticaによる——が不応・・入手不可の場合の代替薬3
呼吸器(歴史的) ——かつての主力だが現在はに置き換わった2

用法・用量

添付文書が存在しないため、標準用量は報告ごとに幅がある。 では50mg/kgを隔日で15日間投与する方法が用いられてきた2。急性の臨床報告では25mg/kg/日を10日間連日投与し全例が治癒した(一部は追加投与を要した)4。いずれにせよの単回〜2回投与と比べて治療期間が桁違いに長いことが実務上の最大の違いになる。実際の用量は入手経路(CDC Drug Service等)の指示に従う。

禁忌・注意

  • 米国では未承認・商業流通なし。 添付文書が存在しないため、禁忌・な一覧そのものが無い。入手はCDC Drug Serviceへの請求による2
  • 治療期間が2週間前後と長く、途中脱落・低下のリスクがある1
  • 治癒率が報告によりばらつくため、治療後の虫卵検査・画像・血清学的フォローで治癒を確認する1

副作用

添付文書が無いため頻度の集計は存在せず、以下は臨床報告・総説に基づく。副作用の多くは軽度・一過性とされるが、の課題がへ交代した理由の一つである1

頻度 内容
よくみられる 悪心、下痢、頭痛、めまい
注意 皮膚発疹・蕁麻疹、

急性期の臨床報告では重大な副作用は認められなかったとされ、自体は概ね許容範囲とされる4

まとめ

  • はハロゲン化誘導体で、のロドの働きをに阻害して虫体のを止める、とは異なる機序を持つ治療薬3
  • 現在はが第一選択、は不応・・入手不可例の代替薬という序列にある31
  • ⚠️ 米国では未承認で商業流通もなく、添付文書が存在しない——の有無をに確認できる資料が無い薬であり、用量・副作用の記載はすべて臨床報告・総説由来である。入手はCDC Drug Serviceへの請求による21
  • 用法は50mg/kg隔日×15日間()、25mg/kg/日×10日間(急性の報告)など幅があり、いずれも(1〜2回投与)より治療期間が桁違いに長い42
  • でもかつての主力だったが、現在はに置き換わった——ではに勝ち、では負けたという非対称で覚える2
  • 主な副作用は消化器症状・皮膚発疹・で、重大な副作用は乏しいとされるが、の課題が交代の一因になった1

出典

  1. 1.Successful treatment of acute fascioliasis with bithionol(Hepatology(PubMedアブストラクト)・1991)急性肝蛭症の入院患者にビチオノール25mg/kg/日を10日間経口投与したところ全例が治癒し(一部は追加投与を要した)、重大な副作用は認めなかったとする臨床報告を確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Antiparasitic Drugs(StatPearls Publishing)ビチオノールが電子伝達系におけるロドキノンの働きを競合的に阻害し、寄生虫の嫌気的エネルギー代謝を止めると考えられていること、その用途が肝蛭症におけるトリクラベンダゾールの代替薬であることを確認した。あわせてトリクラベンダゾールがベンズイミダゾール系であり微小管形成を阻害して蛋白合成と運動性を阻害すると考えられていることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Triclabendazole in the treatment of human fascioliasis: a review(Transactions of the Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene(Gandhi P, et al.)・2019)トリクラベンダゾール登場以前はビチオノールが肝蛭症治療に広く用いられていたこと、ビチオノールが長い治療期間を要し治癒率にばらつきがあり忍容性の課題を抱えていること、現在は商業的に流通していないことを確認した閲覧 2026-08-10
  4. 4.Paragonimiasis Acquired in the United States: Native and Nonnative Species(Clinical Microbiology Reviews(Diaz JH)・2013)肺吸虫症に対して経口ビチオノール50mg/kgを隔日で15日間投与する方法が用いられてきたが、現在は経口プラジカンテルに置き換わっていること、米国ではCDC Drug Serviceへの請求により入手する薬剤であることを確認した閲覧 2026-08-10