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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

マリバビル

maribavir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(EU)
Livtencity
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
標的微生物
Cytomegalovirus
副作用
味覚異常悪心下痢
相互作用
(バル)ガンシクロビル

🧠 全体像:はと同じCMV固有のを標的にするが、働き方が正反対である——はUL97に活性化されて初めてDNAポリメラーゼを阻害する的な薬だが、はそのものを直接阻害する。この機序の違いにより、はDNAポリメラーゼを直接狙う既存薬とは別の変異部位で耐性が生じるため、耐性CMVにも有効なとして、移植後の難治性CMV感染症治療の選択肢を広げた。代償として(dysgeusia)が非常に高頻度に出る。

薬効群の中での位置づけ

グループ 代表薬 標的 対象 特徴的な副作用
CMV系(UL97で活性化されるポリメラーゼ阻害薬) DNAポリメラーゼ(UL97が活性化を担う) 未治療〜通常のCMV感染症 骨髄抑制(好中球減少)
キナーゼ非依存型ポリメラーゼ阻害薬 ・ DNAポリメラーゼ直接阻害 UL97変異耐性CMVを含む 腎毒性・電解質異常
そのもの 既存薬(・・・)に抵抗性の移植後CMV (高頻度)

⭐ 「UL97が関わる」という共通点だけで一括りにしない。 はUL97に活性化される基質であり、UL97がリン酸化して初めて効く。はUL97そのものを阻害する薬である。この違いが、①とを併用しない理由(がUL97を止めるとが活性化されず互いに打ち消し合う)と、②の部位がとで異なる理由の両方を説明する1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maribavir'>マリバビル</span>を内服"] --> B["CMV固有のp<span class='jp-term jp-term-diagram' title='UL97 kinase'>UL97キナーゼ</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='protein phosphorylation activity'>タンパクリン酸化活性</span>を直接・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に阻害"]
    B --> C["UL97依存性のウイルス核内からの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='particle formation'>粒子形成</span>・放出過程が障害される"]
    C --> D["CMVの複製が抑制される"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ganciclovir'>ガンシクロビル</span>はUL97に活性化される基質"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maribavir'>マリバビル</span>がUL97を止めると<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ganciclovir'>ガンシクロビル</span>が活性化されない"| F["両剤を併用すると拮抗"]

💡 耐性の生じ方が既存薬と食い違う理由。 耐性CMVの多くはUL97自体の変異(活性化部位の変化)によるが、耐性はUL97の別の部位(F342Y・C480Fなど)に生じる変異でもたらされる。添付文書は、これらのの一部(F342Y・C480F)が/への感受性も下げることを示す一方、DNAポリメラーゼ(pUL54)変異で・・に耐性化した株はに感受性を保つことも確認している——標的の酵素がそもそも違う(キナーゼ vs ポリメラーゼ)ため、が一方向的に生じる1。

薬物動態

項目 値・特徴
経口。食事の有無を問わず内服可
用量 400 mg(200 mg錠2錠)を1日2回
対象年齢・体重 12歳以上かつ体重35 kg以上

適応・用法

適応 用法・用量
移植後CMV感染症/CMV病 ・・・のいずれかによる治療に抵抗性(遺伝的耐性の有無を問わない)の移植後CMV感染症/CMV病に、400 mgを1日2回1

SOLSTICE試験(phase 3、352例をとIATに2:1で)では、8週時点のCMV DNA確定クリアランス率が群55.7%、IAT群(/・・のいずれか)23.9%と、が有意に優れていた2。腎毒性の強い・しか選択肢がなかった耐性CMVの治療に、経口かつ腎毒性の少ない選択肢を加えた薬という位置づけで理解する。

禁忌・注意

  • 禁忌:None(添付文書は明示的な禁忌事項を挙げていない)1
  • ⚠️ ・との併用は推奨されない。 がの活性化に必要なを阻害するため、抗ウイルス活性が拮抗する1
  • 骨髄抑制は系に比べて軽度で、・のような腎毒性・電解質異常も来しにくい

副作用

頻度 内容
高頻度(10%以上) (46%)、悪心(21%)、下痢(19%)、嘔吐(14%)、疲労(12%)
注意 は継続使用でも高頻度に持続することがあり、の意欲に影響しうる

⭐ はこの薬の代名詞といえる副作用で、頻度46%と際立って高い。 骨髄抑制中心の系、腎毒性中心の・と対比すると、の主要なの課題は「味覚」であるという整理が覚えやすい。

まとめ

  • CMV固有のを直接阻害する。がUL97に活性化されるのとは逆方向の関わり方をする。
  • 既存の抗CMV薬(・・・)に抵抗性の移植後CMV感染症/CMV病が適応。
  • 標的がDNAポリメラーゼではなくキナーゼであるため、pUL54変異によるポリメラーゼ阻害薬耐性株にも感受性を保つ——が一方向的である点が最大のポイント。
  • ・とは併用しない(拮抗する)。
  • 骨髄抑制・腎毒性は既存薬より軽いが、(46%)という特徴的な副作用が高頻度に出る。
  • SOLSTICE試験でIAT(既存薬の中からの選択)に対するが示された2。

出典

  1. 1.LIVTENCITY (maribavir) tablets — Prescribing Information(Takeda Pharmaceuticals America, Inc. / DailyMed(米国FDA)・2025)現行SPL(印字された改訂表示は Revised: 11/2025)を開いて確認した。適応は逐語で "Treatment of adults and pediatric patients (12 years of age and older and weighing at least 35 kg) with post-transplant CMV infection/disease that is refractory to treatment (with or without genotypic resistance) with ganciclovir, valganciclovir, cidofovir or foscarnet."。機序は "Competitive inhibition of the protein kinase activity of human CMV enzyme pUL97"。耐性については、マリバビル耐性ウイルスはシドフォビル・フォスカルネットに感受性を保つこと、ガンシクロビル/バルガンシクロビル・シドフォビル・フォスカルネットへの耐性を与えるpUL54 DNAポリメラーゼ変異を持つ株はマリバビルへの感受性を保つこと、一方でpUL97の一部の変異(F342Y・C480Fなど)はバルガンシクロビル/ガンシクロビルへの感受性を下げることを確認。相互作用の節は "LIVTENCITY may antagonize the antiviral activity of ganciclovir and valganciclovir...Coadministration of LIVTENCITY with ganciclovir or valganciclovir is not recommended." と定める。臨床試験での高頻度副作用(10%以上)は味覚disturbance 46%・悪心21%・下痢19%・嘔吐14%・疲労12%で、禁忌の節は "None"。用量は400 mg(200 mg錠2錠)を1日2回、食事の有無を問わず内服。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Maribavir for Refractory Cytomegalovirus Infections With or Without Resistance Post-Transplant: Results From a Phase 3 Randomized Clinical Trial(Clinical Infectious Diseases・2022)移植後CMV感染症(既存の抗ウイルス薬に不応・耐性)352例をマリバビルと担当医選択治療(IAT:バルガンシクロビル/ガンシクロビル・フォスカルネット・シドフォビルのいずれか)に2:1で無作為化したSOLSTICE試験(phase 3)で、主要評価項目である8週時点のCMV DNA確定クリアランス率はマリバビル群55.7%(235例中131例)、IAT群23.9%(117例中28例)で、補正後の群間差は32.8ポイント(95%CI 22.80-42.74、P<.001)であったことを確認閲覧 2026-09-26