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Lab values · Published

抗LKM1抗体

Anti-liver kidney microsomal type 1 antibody

別名
抗肝腎ミクロソーム1型抗体
臓器系
肝胆膵免疫・膠原病
科目
Internal MedicinePediatricsImmunology
トピック
内科学 S-33:自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎小児科 51:小児の肝炎免疫学 8.3:自己抗体のスクリーニング法

🧠 全体像:抗LKM1抗体()は、のうち2型を規定する自己抗体である。1型がANA・で特徴づけられるのに対し、2型はこれらを伴わないことが多く、代わりに抗LKM1(しばしば抗LC1を伴う)が陽性になる。2型は成人より小児・若年者に多く、急性・重症の経過をとりやすいという臨床像の違いが、自己抗体パターンの違いと対応している。もう一つのの軸はC型肝炎との鑑別で、抗LKM1は少数のC型肝炎患者でも陽性になりうるため、単独の陽性所見だけで2型AIHと確定しない。

何を測っているか

抗LKM1抗体の標的抗原は 2D6(CYP2D6)であり、に関わる肝細胞酵素である1。ANA・SMAと同様に、でこれらとあわせてスクリーニングされる2。同じ2型AIHでは、ホルミミノトランスフェラーゼ・シクロ)を標的とする抗LC1()が抗LKM1とあわせて陽性になることがある1

flowchart TD
    A["原因不明の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatocellular (injury) pattern'>肝細胞障害型</span>肝障害"] --> B["ANA・SMA・抗LKM1をあわせて測定"]
    B --> C{"抗LKM1陽性か"}
    C -->|"陽性"| D["HCV感染を除外<br>(HCV抗体・HCV RNA)"]
    D --> E{"HCVも陽性か"}
    E -->|"陰性:AIHのみ"| F["2型AIHとして評価<br>IgG・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liver biopsy'>肝生検</span>・IAIHGスコアへ"]
    E -->|"陽性:HCV合併"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-potency'>低力価</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cross-reactivity'>交差反応</span>か<br>真の2型AIH合併かを慎重に判断"]
    C -->|"陰性"| H["ANA・SMA陽性なら1型を検討<br>いずれも陰性ならseronegative AIHも考慮"]

基準値と単位

ANAや他の自己と同じく、抗LKM1にも測定法・施設を超えた統一のはない。報告書は1:201:40のようなで示され、開始希釈と陽性判定閾値は検査室ごとに異なる。

力価の目安 実務上の読み方
陰性〜 単独では2型AIHを支持しない。臨床像が強ければ他の所見で再評価する
1:40以上 IAIHG簡易スコアの自己項目で、ANA・SMAの1:80以上と同格の2点に該当する3

⭐ ANA・SMAでは1:80以上が2点相当なのに対し、抗LKM1は1:40以上で同じ2点になる。力価の絶対値をANA・SMAとそのまま比較しないこと。

高値の意味

背景 解釈
2型 抗LC1を伴うことが多く、小児・若年者に多い。IgG高値・所見とあわせて診断確度を評価する
C型肝炎ウイルス感染 少数の患者で抗LKM1が陽性になりうる。CYP2D6とHCV蛋白の間のが機序として提唱されている1
健常者 稀だが皆無ではなく、単独のだけで治療を急がない

高力価や強い陽性であっても、それ自体が疾患活動性や重症度を直接示すわけではない。診断は自己抗体単独ではなく、IgG高値、ウイルス性・の除外、所見を統合して行う。

測定上の注意

⚠️ C型肝炎との鑑別を先に済ませる。 抗LKM1陽性でもHCV抗体・HCV RNAが陽性なら、真の2型AIH合併か、HCV感染に伴うかを慎重に区別する必要がある1。HCV除外を飛ばして抗LKM1陽性だけで2型AIHと診断しない。

  • 小児例では、抗LKM1陽性かつANA・SMA陰性という組み合わせが1型より珍しくない。ANA・SMA陰性であることを理由にAIH全体を除外しない(抗SLA抗体が単独で陽性になる例もある)。
  • 2型AIHは特に若年の小児で急性・劇症の経過をとりやすく、診断を待つ間にも臨床的な重症度評価を並行して進める1
  • 抗LC1は抗LKM1と別に測定されることが多く、抗LKM1単独が陰性でも抗LC1で2型AIHが示唆される例がある。
  • IIFAの判定は基質・希釈・観察者で変わるため、経時比較は同じ検査室・同じ方法を優先する。

経時変化とモニタリング

抗LKM1のは、他の自己抗体と同様にと平行するとは限らない。寛解導入後の治療効果判定には、抗LKM1の反復測定ではなくAST・ALT・IgGの正常化を追う。抗LKM1が持続陽性のままでも、(AST/ALT・IgG正常化)が得られていれば治療反応と矛盾しない。

再検が役立つのは、臨床像が大きく変わった、HCV感染の判明・治療後に自己免疫性肝障害を再評価する、初回の自己抗体パターンと病像が合わないなど、結果が次の判断を変える場面に限られる。

まとめ

  • 抗LKM1抗体はCYP2D6を標的とし、2型を規定する自己抗体である。
  • 2型は1型と異なりANA・SMAを伴わないことが多く、小児・若年者に多く、急性・重症の経過をとりやすい。
  • 1:40以上はIAIHG簡易スコアでANA・SMAの1:80以上と同格の2点に該当する。
  • C型肝炎でも少数例で抗LKM1が陽性になりうるため、陽性ならHCV抗体・HCV RNAで除外・鑑別してから2型AIHと判断する。
  • 治療効果のモニタリングには抗LKM1の反復測定でなくAST・ALT・IgGの正常化を用いる。

出典

  1. 1.Autoimmune Hepatitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)抗LKM1抗体(anti-liver/anti-kidney microsome type 1)が2型自己免疫性肝炎で陽性となること、間接蛍光抗体法でANA・SMA・抗LKM1をあわせて検出すること、抗LKM1は2型自己免疫性肝炎に多く主に小児にみられることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Type 2 autoimmune hepatitis: Genetic susceptibility(Frontiers in Immunology・2022)2型自己免疫性肝炎の自己抗体が抗LKM1(標的抗原CYP2D6)および/または抗LC1(標的抗原FTCD)であること、2型の診断年齢が平均6.6歳と小児・若年者に多いこと、劇症肝炎として発症する例では平均年齢がさらに若く2〜3歳であること、C型肝炎患者での抗LKM1産生機序として分子相同性(molecular mimicry)が提唱されていることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Accuracy of the 2008 Simplified Criteria for the Diagnosis of Autoimmune Hepatitis in Children(Pediatric Gastroenterology, Hepatology & Nutrition・2018)IAIHG簡易スコアの自己抗体価項目で、抗LKM1抗体価1:40以上がANA・SMAの1:80以上と同格の2点に配点されることを確認した閲覧 2026-08-10