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Lab values · Published

抗平滑筋抗体

Anti-smooth muscle antibody

別名
SMA
臓器系
肝胆膵免疫・膠原病
科目
ImmunologyInternal Medicine
トピック
免疫学 8.3:自己抗体のスクリーニング法内科学 S-33:自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎

🧠 全体像は、平滑筋を含むのアクチン・など複数の細胞骨格成分に反応する抗体群の総称であり、単一の抗原に対する抗体ではない。臨床的な意味の大半は1型(AIH)の診断マーカーとしての役割にあり、ANAと並んでIAIHG簡易スコアの自己項目を構成する。ただしの陽性は健常者やでも珍しくなく、「SMA陽性=AIH」と短絡しないために、力価・染色パターン・他の自己抗体・所見をそろえて読む。

何を測っているか

SMAは、平滑筋を含む組織(げっ歯類の腎臓・胃・肝臓切片など)を基質とする(IIF)で、血管壁・糸球体・尿細管を染める抗体を指す。染色部位によりV(血管)・G(糸球体)・T(尿細管)パターンに分類され、VG・VGTパターンはV単独より1型AIHへの特異性が高い。この染色は、培養線維芽細胞を基質にしたときの「ケーブル状」パターンに対応し、アクチンの(F-アクチン)に対する反応を反映することが多い1

flowchart TD
    A["原因不明の肝障害でAIHを疑う"] --> B["ANAとあわせてSMAを測定"]
    B --> C["力価とIIF染色パターンを確認"]
    C --> D{"VG/VGTパターンかつ高力価か"}
    D -->|"はい"| E["1型AIHを支持する所見"]
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-potency'>低力価</span>・V単独・非特異パターン"| F["健常者・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='viral hepatitis'>ウイルス性肝炎</span>・他疾患を考慮"]
    E --> G["IgG・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liver biopsy'>肝生検</span>・IAIHGスコアと統合"]
    F --> G
    G --> H["診断確定または他原因の除外を継続"]

ASMAという呼び方が示す通り、この検査は「アクチン特異的」ではなくアクチン・への反応をまとめて拾う非特異的な検査である。より特異的に評価したい場合は、抗F-アクチン抗体(ELISAなど)を別に測定する1

はANA・SMA・抗LKM1を同時に検出でき、1型AIHはANAの有無を問わずSMAの存在で特徴づけられる2

基準値と単位

SMAにも全施設共通のはない。報告書の測定法(IIF力価か、F-アクチン抗体のELISA index値か)と施設基準を優先する。

集団・用途 の目安 注意点
成人の一般的な陽性判定 力価1:40以上 検査室・基質ロットで変動しうる
小児の一般的な陽性判定 力価1:20以上(ANAと共通) 抗LKM1は1:10以上
IAIHG簡易スコアでの加点 1:40以上で1点、1:80以上で2点(ANAとの合算) 抗LKM11:40以上抗SLA陽性でも同じ2点区分に入る3

⚠️ IIFの希釈力価と、抗F-アクチン抗体ELISAのindex値(U)は測定原理が異なる。数値をそのまま換算せず、報告された測定法ごとに解釈する。

高値の意味

背景 解釈
1型 ANAとともに主要マーカー。VG/VGTパターンや高力価(1型AIHの平均は1:320程度)ほど特異性が上がる1
C型など 陽性になり得るが、平均力価は1:40程度とAIHより明らかに低いことが多い1
陽性となる例はあるが、PBCの主要な自己抗体はであり、SMAはそれを補う非特異的所見にとどまる
健常者 であれば珍しくなく、報告によっては最大43%程度に及ぶとされる1

高力価かつVG/VGTパターンほど1型AIHの可能性が上がるが、力価の絶対値だけで疾患活動性や重症度を推定しない。

測定上の注意

⚠️ 非特異的なASMA(アクチン・をまとめて拾う)と、より特異的な抗F-アクチン抗体は別物である。抗F-アクチン抗体は1型AIHに対する特異度・感度がおよそ80%・90%とASMA単独より高いとされ、この差を意識せずに「SMA陰性だからAIHを否定できる」とは判断しない1

経時変化とモニタリング

ANA・SMAの力価は病期を通じて変動し、副腎皮質ステロイド治療で消失することがある。診断時の力価も、その後の力価の変動も、治療反応や転帰を予測しない1。したがって、寛解導入後のモニタリングにはSMA力価の反復測定ではなく、AST/ALT・IgGなどに沿った指標を用いる。

再検が意味を持つのは、初診時にSMAが陰性で臨床像が強くAIHを示唆する、あるいは他の自己免疫性肝疾患との重複が疑われるなど、結果が次の診療判断を変えうる場面である。

まとめ

  • SMAはアクチン・などに反応する抗体群の総称で、単一抗原への抗体ではない。
  • IIFでのV/G/Tパターンのうち、VG・VGTパターンや高力価(1型AIHの平均は1:320程度)ほど1型AIHへの特異性が高い。
  • IAIHG簡易スコアでは、ANAまたはSMAの力価1:40以上で1点、1:80以上で2点として加点される。
  • が多い)、PBC、健常者(で最大43%程度)でも陽性になり得るため、単独では診断・除外に使わない。
  • より特異的に評価したいときは抗F-アクチン抗体を別に測定する。
  • 力価は病期・治療で変動するが転帰を予測せず、モニタリングにはAST/ALT・IgGなど他の指標を用いる。

出典

  1. 1.Autoantibodies and liver disease: Uses and abuses(Canadian Journal of Gastroenterology・2010)抗平滑筋抗体(ASMA)がアクチン・チューブリン・中間径フィラメントなど複数の標的を含む抗体群であること、げっ歯類腎切片でのV(血管)・G(糸球体)・T(尿細管)パターンと1型AIHでの特異性の関係、成人の陽性カットオフが力価1:40以上、小児のANA/ASMAカットオフが1:40未満(1:20以上)・抗LKM1が1:10以上とされること、抗F-アクチン抗体の特異度・感度がおよそ80%・90%であること、C型慢性肝炎でもASMAが陽性になり得るが平均力価は1:40程度と1型AIHの1:320より明らかに低いこと、健常者でも報告により最大43%程度が陽性になり得ること(AMAは1%未満)、ANA/ASMAの力価は病期を通じて変動し副腎皮質ステロイド治療で消失することがあり、診断時の力価もその後の変動も転帰を予測しないことを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Autoimmune Hepatitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)間接蛍光抗体法でANA・SMA・抗LKM1が検出されること、1型自己免疫性肝炎はANAの有無を問わず抗平滑筋抗体(ASMA)の存在で特徴づけられることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Accuracy of the 2008 Simplified Criteria for the Diagnosis of Autoimmune Hepatitis in Children(Pediatric Gastroenterology, Hepatology & Nutrition・2018)IAIHG簡易スコアの自己抗体価項目が、ANAまたはSMAの抗体価1:40以上で1点、1:80以上で2点(あるいは抗LKM1が1:40以上、あるいは抗SLAが陽性で2点)という配点であることを確認した閲覧 2026-08-10