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国際自己免疫性肝炎グループ簡易スコア

IAIHG simplified score

別名
IAIHG簡易スコア
臓器系
肝胆膵免疫・膠原病
科目
Internal MedicineMedical Genetics and Immunology (Immunology)
トピック
内科学 S-33:自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎免疫学 8.3:自己抗体のスクリーニング法
構成:検査値
抗核抗体(ANA)抗体価

🧠 全体像:(IAIHG)簡易スコアは、①、②血清IgG、③の組織所見、④の除外という日常診療で得やすい4項目だけで(AIH)の診断確度を採点する基準である。各項目0〜2点、合計最大8点で、6点以上をprobable AIH、7点以上をdefinite AIHと判定する1。1999年改訂版が肝疾患の既往・飲酒歴・薬剤歴・型など13項目を要したのに対し、簡易スコアは4項目に絞り込むことで外来でも即座に計算できるようにした点が核心である2。

目的と適用場面

内容
目的 の診断確度を層別化する(重症度・予後を評価するものではない)
対象 原因不明の/優位の肝障害があり、ウイルス性・薬剤性・アルコール性・代謝性肝疾患の除外を進めている患者
使う場面 自己抗体・IgG・所見がそろった時点で、非典型例や重複症候群疑いの診断確度を確認する場面
評価しないもの 治療反応性、リスク、

構成要素と配点

⭐ 4項目の合計で最大8点。項目ごとに1点・2点の段階があり(の除外のみ2点の単一段階)、自己抗体は複数が陽性でも全種を合算して最大2点である。組織所見の点は、肝炎の所見があることが前提になる1。

(・・抗LKM1・抗SLA)

💡 抗SLA抗体だけは力価ではなく陽性/陰性で判定され、陽性なら単独で2点が入る。AIHに対する特異度が高いとされる自己抗体だからである。

血清IgG

1点 2点
施設基準値上限()を超える 施設基準値上限の1.1倍を超える

の組織所見

1点 2点
AIHに矛盾しない像(compatible with AIH。typicalの3所見をすべては満たさない) を越えて実質へ進展する・emperipolesis・rosette形成の3所見をすべて満たす(typical of AIH)3

の除外

点 基準
2点 の(IgM型A型肝炎抗体、HBs抗原、IgM型HBコア抗体、C型肝炎抗体/-など)がすべて陰性

解釈とカットオフ

合計点 判定 精度(成人コホート)
6点以上 probable AIH 感度91%・特異度94%2
7点以上 definite AIH 感度75.5%・特異度100%2
6点未満 AIHを支持する所見に乏しい —

💡 小児212例の検証では、6点の感度72.0%・特異度96.4%、94.7%・79.4%で、7点では感度45.0%・特異度100%だった4。上の表の成人の値(6点以上で感度91%)より感度が低い。年齢層によって性能が変わりうる点は使用時に踏まえる。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 他の肝疾患を除外したうえで使う。 陰性という項目自体が前提とする通り、このスコアはウイルス性・薬剤性・アルコール性・代謝性肝疾患の除外を進める診療の後半で使うものであり、除外を飛ばして単独で確定診断に用いない。

⚠️ rosette形成・emperipolesisは判定者間でばらつきやすい。 typical AIHの判定に必須なこの2所見は標準化された判定基準を欠き技術的評価が難しいため、単独では感度・特異度が低い(rosette陽性はAIHの68%に見られる一方、でも23%、でも3%に見られる。emperipolesisはAIHの59%、の11%に見られる)。2022年に提案された改訂組織学的基準はこれらより高い性能を示すとされる3。

⚠️ (PSC)が疑われる場合は、スコアより所見・胆道画像を優先する。 小児の検証ではPSC 5例中2例が簡易スコアでAIHと誤分類され、著者らは、PSCが疑われるときはスコアでなく生検結果で判断し、PSCと自己免疫性硬化性胆管炎を除外するため胆管造影(など)を行うべきだとしている4。胆道画像でPSCを除外しないまま、スコアだけで判断しない。

⚠️ 自己抗体陰性のAIH(seronegative AIH)では自己抗体項目の点数が入らず、合計点が低く出うる。 自己抗体陰性だけでAIHを除外しないという臨床判断は、スコアの点数だけでは担保できない。

まとめ

  • IAIHG簡易スコアは・IgG・組織所見・陰性の4項目、各0〜2点で最大8点のスコアである。
  • 合計6点以上でprobable AIH、7点以上でdefinite AIHと判定し、成人コホートでの感度・特異度はそれぞれ91%/94%、75.5%/100%である。
  • typical AIHの判定にはのを越える進展・emperipolesis・rosette形成の3所見が必要だが、rosette・emperipolesisは判定者間でばらつきやすく単独では特異度が低い。
  • ウイルス性・薬剤性・アルコール性・代謝性肝疾患を除外した後に使うものであり、PSCでは所見・胆道画像を優先する。
  • 自己抗体陰性のAIHでは合計点が低く出うるため、点数だけでAIHを除外しない。

出典

  1. 1.Pathology of autoimmune hepatitis(Pathologica・2021)全文(PMC8299324)の Table I(Hennesらの原著を改変した転記。本文テキストの表)で確認した。ANAまたはSMA 1:40以上で1点・1:80以上で2点、抗LKM 1:40以上・抗SLA陽性も2点で、自己抗体の点は全種を合算して最大2点。IgGは基準上限超で1点・基準上限の1.10倍超で2点。組織は「AIHに矛盾しない」1点・「典型的」2点(肝炎の所見があることが前提)。ウイルス性肝炎の除外で2点。合計6点以上でprobable、7点以上でdefinite閲覧 2026-09-24
  2. 2.Autoimmune Hepatitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)1999年改訂版のあとに日常診療で使いやすい簡易スコアが導入されたこと、その簡易スコアによるprobable AIHの感度91%・特異度94%、definite AIHの感度75.5%・特異度100%であることを確認した。本文献は簡易スコアの項目・配点・カットオフ点そのものは記載していない閲覧 2026-08-10
  3. 3.Evaluation of Histological Criteria and Immunoserological Testing of Simplified Criteria for the Diagnosis of Autoimmune Hepatitis(The Turkish Journal of Gastroenterology・2025)組織所見「typical」の判定に必要な3所見(門脈域を越えて実質へ進展するインターフェース肝炎、emperipolesis、rosette形成)の定義と、rosette・emperipolesisの評価が技術的に難しく標準化された判定基準を欠くため感度・特異度が低いこと(rosette陽性はAIHの68%に見られる一方、薬剤性肝障害でも23%、原発性胆汁性胆管炎でも3%に見られる。emperipolesisはAIHの59%・薬剤性肝障害の11%に見られる)、2022年提案の改訂組織学的基準がより高い性能を示すことを確認した閲覧 2026-08-10
  4. 4.Accuracy of the 2008 Simplified Criteria for the Diagnosis of Autoimmune Hepatitis in Children(Pediatric Gastroenterology, Hepatology & Nutrition・2018)PMCの全文HTMLで本文を確認した(Table 1 の配点表は画像で本文テキストに無いため、配点の確認には使っていない)。スペインの小児212例で、6点カットオフの感度72.0%・特異度96.4%・陽性的中率94.7%・陰性的中率79.4%、7点カットオフでは感度45.0%・特異度100%。PSC 5例中2例が簡易スコアで AIH と誤分類され、著者らは PSC が疑われるときはスコアでなく生検結果で判断し、PSC と自己免疫性硬化性胆管炎を除外するため胆管造影を行うべきだとした閲覧 2026-08-10