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Lab values · Published

hCG負荷試験

hCG stimulation test

別名
hCG刺激試験ヒト絨毛性ゴナドトロピン負荷試験
臓器系
内分泌・代謝生殖・産婦人科小児
科目
Internal MedicineUrology
トピック
内科学 E-08:性腺機能異常泌尿器科学 U-03:尿道・男性外性器の発生異常
関連疾患
Kallmann症候群性分化疾患男性性腺機能低下症停留精巣

🧠 全体像:は、が受容体を共有することを利用して精巣のを外から刺激し、テストステロンを作れるかどうかを見るである。必要になる理由は年齢にある——生後6か月から思春期開始(9〜14歳)までは基礎の性ステロイドが以下にとどまり、基礎値を測っても精巣が働けるかどうかが分からない1。したがってこの検査が答えるのは「今テストステロンが低いか」ではなく「刺激すれば作れる精巣組織があるか」という問いである。⚠️ ただし投与量・回数・採血時期のプロトコルは標準化されておらず施設差が大きい1ため、数値だけを単独で暗記しても意味をなさない。

何を見ているか

は/受容体に結合してを刺激し、テストステロン産生を促す。負荷前後のテストステロンの差が、が「存在し、かつ機能している」ことの直接の証拠になる。同じ精巣でも、側のの状態はこの検査では分からない——は精巣ではが産生し、血中の量は機能するの量に見合うため、未熟なを映す別の軸の指標になる。とともに、思春期前の精巣組織が存在することを直接示すマーカーとして用いられる2。だけで精巣機能の全体像が分かるわけではない。

用途は3つに整理できる。

用途 何を決めるか
・外性器の異形の評価 アンドロゲン作用の途切れが精巣より上流か下流か
の評価 精巣組織が機能しているという前提が成り立つかどうか
と精巣不全の鑑別 「刺激が足りないだけ」か「刺激しても作れない」か

実施法と判定基準

⚠️ プロトコルが1つに定まっていないことを、最初に知っておく。 投与量・注射回数・採血の順序が異なる複数の方法が並存している1。

プロトコル 投与量・回数 採血
単回法 2歳未満1,500 IU、2歳以上5,000 IUを筋注1回1 投与前と72時間後1
3日法 6か月未満500 IU、6か月〜5歳1,000 IU、5〜10歳1,500 IU、10歳超2,000 IUを3日連続で筋注1 初回投与前と最終投与の24時間後1
3日法(別法) 1,000 IUを3日間筋注34 採血時期は出典に記載がない
隔日2週間法 1,500 IUを隔日で2週間投与34 採血時期は出典に記載がない

判定の閾値も、どのプロトコルを採るかで変わる。

判定基準 内容
単回法を用いた施設の基準 負荷後テストステロンが110 ng/dL超、または基礎値の5〜10倍以上で十分な反応1
の評価で挙げられる基準 負荷後テストステロンが300 ng/dL未満ならを示唆3

⚠️ この2つは同じ物差しではない。 閾値は測定系・プロトコル・対象年齢に紐づくので、自施設のプロトコルとセットでしか使えない。数値だけを切り離して覚えると、別の方法で出た結果を誤って判定する。

所見の意味(何が示唆されるか)

反応 読み方 次に確かめること
十分に上昇する 機能するが存在する。基礎値が低かったのは上流(視床下部・下垂体)の刺激不足による 他の系統の欠乏、頭部MRI
ほとんど上昇しない 精巣そのものが働いていない(精巣不全・)か、の欠損 、ステロイド

⭐ 思春期前男児では、正常なら基礎値からの上昇幅が非常に大きい。 103例の検討では、基礎テストステロンの中央値5.27 ng/dLに対し負荷後の中央値は167.26 ng/dL、症例ごとの上昇倍率は中央値23.65倍(P<0.001)で、81.5%が十分な反応を示した1。「わずかに上がった」は正常反応ではないという感覚を持っておく。

💡 反応不良を「刺激の当て方が足りなかっただけ」と片づけない。 単回法で反応不良だった19例に3日法を追加しても、十分な反応へ転じたのは3例にとどまり、16例は延長しても不十分なままだった1。プロトコルを延ばせば救えるのは一部であり、反応不良の多くは精巣側の問題を反映している。

小陰茎の評価のなかでの位置

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stretched penile length'>伸展陰茎長</span>が-2.5SD未満と確認"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal LH'>基礎LH</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>・テストステロンを測定"]
    B --> C{"基礎値だけで判断できるか"}
    C -->|"生後6か月〜思春期前:基礎値は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='limit of detection'>検出限界</span>以下"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human chorionic gonadotropin'>hCG</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='challenge test'>負荷試験</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Leydig cells'>ライディッヒ細胞</span>を刺激"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neonatal period'>新生児期</span>・思春期:基礎値が読める時期"| E["基礎値とゴナドトロピンの組合せで判断"]
    D --> F{"テストステロンが十分に上昇するか"}
    F -->|"上昇する"| G["精巣は機能している<br>上流の刺激不足=視床下部・下垂体性を疑う"]
    F -->|"上昇しない"| H["精巣不全・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadal dysgenesis'>性腺形成不全</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='steroidogenic enzyme'>ステロイド合成酵素</span>欠損を疑う"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='karyotyping'>核型検査</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonosome'>性染色体</span>構成を確認"]

の評価では、とを組み合わせるのが標準的な進め方である4。⭐ この2つは別のことを確かめている——負荷は精巣が働けるかどうかを、核型は染色体上の性が表現型と一致するかどうかを見る。どちらか一方ではの評価が完結しない。

⚠️ 測定上の注意

  • ⚠️ プロトコルが標準化されていないため、施設をまたいだ結果の比較ができない。 他院の「で反応不良」という記載は、どの方法・どの閾値によるかを確認しないと解釈できない1。
  • 子どもにとって負担の大きい検査である。 複数回の筋注と複数回の来院を要する。
  • ⚠️ 「精巣組織があるかどうか」を知りたいだけなら、現在の第一選択はこの検査ではない。 触知できない性腺の評価では、思春期前の精巣組織の存在を直接示すマーカー(AMH・)が第一選択となっており、負荷後テストステロンは機能そのものを評価したい特別な理由がある場合に限られる2。両側とも触知できないで「精巣が存在するか」を問うのか、「存在する精巣が働くか」を問うのかで、選ぶ検査が変わる。
  • 反応が出るまでに日単位の時間がかかるため、緊急の意思決定には使えない。の低血糖など急を要する病態の評価は、この検査の結果を待たずに並行して進める。

まとめ

  • はを外から刺激し、テストステロンを作れる精巣組織があるかを見る検査である。
  • 生後6か月〜思春期開始までは基礎性ステロイドが以下になるため、負荷しなければ性腺機能を評価できない。
  • ⚠️ 投与量・回数・採血時期のプロトコルは標準化されておらず、判定閾値(110 ng/dL超・基礎値の5〜10倍/300 ng/dL未満)もプロトコルに紐づく。数値を切り離して覚えない。
  • 十分に上昇すれば上流(視床下部・下垂体)の刺激不足、上昇しなければ精巣側の問題を示唆する。反応不良の大半はプロトコルを延長しても改善しない。
  • ⚠️ 「精巣組織が存在するか」を問うだけなら・が第一選択で、は機能そのものを見たいときの検査に位置づけが移っている。

出典

  1. 1.Evaluation of Leydig cell activity using single-dose hCG stimulation in prepubertal children suspected of hypogonadism: experience from a tertiary institution(Annals of Pediatric Endocrinology & Metabolism(Manohar RO, Nagarajappa VH, Narasimhegowda M, Relangi LD)・2026)生後6か月から思春期開始(9〜14歳)までは基礎性ステロイドが血漿中でしばしば検出限界以下であり、性腺機能はhCGでライディッヒ細胞を刺激しなければ評価できないこと、hCG負荷試験には投与量・注射回数・採血の順序が異なる複数のプロトコルが提唱されていること(Introduction節)、本施設の単回法が2歳未満1,500 IU・2歳以上5,000 IUを午前8時に筋注し投与前と72時間後に採血する方法、3日法が6か月未満500 IU・6か月〜5歳1,000 IU・5〜10歳1,500 IU・10歳超2,000 IUを3日連続で午前8時に筋注し初回投与前と最終投与24時間後に採血する方法であること、負荷後テストステロンが110 ng/dL超または基礎値の5〜10倍以上を「十分な反応」とし、110 ng/dL未満または基礎値の5倍未満(いずれか低い方)を反応不良と定義したこと(Methods節)、思春期前男児103例で基礎テストステロン中央値5.27 ng/dL(IQR 1.22〜14.35)に対し負荷後の中央値が167.26 ng/dL(IQR 62.30〜279.15)であり、これとは別の統計量として上昇倍率の中央値23.65倍(IQR 8.23〜89.84、P<0.001)が本文とTable 2に並記されていること、84例(81.5%)が十分な反応、19例(18.4%)が反応不良であったこと、単回法で反応不良だった19例に3日法を追加したところ十分な反応を示したのは3例のみで16例は3日法でも不十分にとどまったこと(Results節)を確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Anti-Müllerian hormone, testicular descent and cryptorchidism(Frontiers in Endocrinology(Rey RA, Grinspon RP)・2024)AMHタンパクの発現がセルトリ細胞の粗面小胞体とゴルジ装置に限られること(1.2.1節)、循環AMH値が機能するセルトリ細胞の量に見合い、AMHが精巣機能とりわけ未熟セルトリ細胞という細胞集団のバイオマーカーとして有用であること(3節)、触知できない性腺の評価において、思春期前の精巣組織が存在することを示す直接的なマーカー(AMH・インヒビンB)が第一選択となっていること、hCG負荷後のテストステロン測定は機能する精巣組織の存在を探す目的で過去に用いられてきたが、ライディッヒ細胞機能そのものを評価したい特別な理由がある場合を除き現在では選択肢とならないこと(4.1節)を確認した。閲覧 2026-08-20
  3. 3.Micropenis: Etiology, Diagnosis and Treatment Approaches(Journal of Clinical Research in Pediatric Endocrinology・2013)小陰茎の病因を低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(視床下部・下垂体性)・高ゴナドトロピン性性腺機能低下症(精巣性)・特発性に分類していること、hCG負荷試験のプロトコルとして1,000単位を3日間筋注する方法または1,500単位を隔日で2週間投与する方法を挙げ、負荷後テストステロンが300 ng/dL未満であれば性腺形成不全を示唆すると記載していることを確認した。閲覧 2026-08-20
  4. 4.Micropenis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)小陰茎の評価をLH・FSH・テストステロン・DHT・アンドロステンジオンの測定に、hCG負荷試験(1,000 IU/日を3日間、または1,500 IUを隔日で2週間)と核型検査(46,XYの確認)を組み合わせて行うと記載していることを確認した。閲覧 2026-08-20