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Lab values · Published

有効浸透圧

Tonicity

別名
Effective osmolalityEffective serum osmolality張度有効血清浸透圧
臓器系
内分泌・代謝腎・泌尿器全身
科目
AnesthesiologyInternal Medicine
トピック
麻酔科学 A-01:ホメオスタシスとその障害麻酔科学 B-03:糖尿病性ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖状態内科学 L-24:高血糖緊急症の管理
関連疾患
糖尿病性ケトアシドーシス・高血糖高浸透圧症候群

🧠 全体像)は、細胞膜を自由に通過しにくい溶質が作る水移動の力で、細胞が膨らむか縮むかを決める。が全粒子を数えるのに対し、は通常、尿素を除いてNaと高濃度ブドウ糖から計算する。では血糖だけでなく、この値と安全な変化速度を追う。

浸透圧との違い

血清浸透圧は血清1 kg中の全などで実測する。は、そのうち細胞膜を横切りにくく、細胞内外の水移動を持続させるだけを数える概念である。

概念 含める主な溶質 何を表すか
Na塩、ブドウ糖、尿素、アルコールなど全粒子 検体中の総粒子濃度
Na、ブドウ糖、尿素 実測値との算出
Na、細胞外にとどまる高濃度ブドウ糖 を変える水移動

尿素はだが、多くの細胞膜を比較的自由に通過して細胞内外で平衡化するため、通常はから除外する。したがっては実測浸透圧を上げても、同じ程度に細胞を脱水させるとは限らない。

計算式と単位

Naとブドウ糖をmmol/Lで表す場合:

 (mOsm/kg)2×[Na+]+[ブドウ糖]\mathrm{\ (mOsm/kg)} \approx 2\times[Na^+] + [ブドウ糖]

ブドウ糖をmg/dLで表す場合:

 (mOsm/kg)2×[Na+]+ブドウ糖18\mathrm{\ (mOsm/kg)} \approx 2\times[Na^+] + \frac{ブドウ糖}{18}

ではさらに、BUN/2.8(BUNがmg/dL)または尿素(mmol/L)を加える。BUNと尿素を取り違えず、式と単位を報告に残す。

計算での注意 理由
Kを含める式と含めない式を混在させない 基準と閾値が変わる
BUNと尿素を区別する 換算係数が異なる
実測値と計算値を同じ名称で呼ばない の意味が失われる
へ尿素を加えない への持続的効果を過大評価する

は計算値で、分析装置が直接測る項目ではない。丸め誤差より、採血時刻と治療前後の整合性が重要である。

高値と低値の意味

方向 主な機序 代表的状況
高値 Naに対する水不足 高Na血症、水喪失、
高値 高濃度ブドウ糖が細胞外へ水を引く 、重い高血糖
低値 Naに対する 真の
見かけの低Naだが高張 高血糖などが細胞外へ水を移動 転位性低Na血症
Na低値だが正常 ・高蛋白血症による測定上の偽低Na 直接電極法Naや実測浸透圧で確認

神経症状は値だけでなく変化速度に左右される。急な高張化は、急な化は脳浮腫を起こし、後のも危険になる。

高血糖と補正Na

高血糖では細胞外ブドウ糖が水を引き出し、測定Naが低く見える。代表的な概算は、血糖が100 mg/dLを超える100 mg/dLごとにNaを約1.6 mmol/L加える。

補正Na実測Na+1.6×ブドウ糖100100\mathrm{} \approx \mathrm{実測Na} + 1.6\times\frac{ブドウ糖-100}{100}

補正係数は極端な高血糖や病態で変わり得るため、精密な真値ではなくと推移を考える補助値として使う。治療で血糖が100 mg/dL下がるとNaが約1.6 mmol/L上がるのは予想される変化であり、この上昇だけでへ切り替えない。

DKA・HHSでの使い方

2024年の国際コンセンサスでは、HHSの診断に血糖≥600 mg/dL>300 mOsm/kgまたは総浸透圧>320 mOsm/kg<3.0 mmol/Lまたは2+以下、pH≥7.3かつHCO₃⁻≥15 mmol/Lの4条件すべてを要する。DKAとHHSは重なることがあるため、意識、循環を含む全身状態も同時に評価する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperglycemic emergency'>高血糖緊急症</span>"] --> B["血糖・Na・K・尿素・ケトン・pHを測定"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tonicity (effective osmolality)'>有効浸透圧</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corrected sodium'>補正Na</span>を計算"]
    C --> D["循環を回復し原因治療"]
    D --> E["血糖・Na・浸透圧の変化速度を反復評価"]
    E --> F{"浸透圧が安全に低下しているか"}
    F -->|"はい"| G["段階的に治療継続"]
    F -->|"速すぎる・停滞"| H["輸液・インスリン・腎機能・入力値を再評価"]
HHS治療中の目安 安全上の意味
血糖低下は原則90〜120 mg/dL/時を超えない 急な浸透圧低下を避ける
低下は3〜8 mOsm/kg/時 脳浮腫などのを避ける
Na低下は24時間で10 mmol/Lを超えない 急な変化を避ける

⚠️ これらは成人HHSの安全上限の目安であり、小児、妊娠、腎不全、心不全では専用プロトコルと頻回監視が必要になる。DKAではケトン消失とが治療の中心で、血糖正常化だけを終了基準にしない。

測定・計算上の注意

  • 治療中は同じ時刻のNaとブドウ糖から計算し、別時点の値を組み合わせない。
  • ・高蛋白血症ではのNaがとなり得る。
  • 、造影剤、は実測浸透圧を上げるが、単純なNa・糖の式では捉えない。
  • エタノールや尿素はを上げても、への効果はNa・糖と同じではない。
  • 数値が臨床像と矛盾すれば、入力単位、検体時刻、実測浸透圧、直接法Naを確認する。

まとめ

  • を決めるの計算値である。
  • 実測浸透圧は尿素を含むが、では通常、尿素を除外する。
  • 国際単位系では2×Na+ブドウ糖、従来単位では2×Na+ブドウ糖/18を用いる。
  • 高血糖ではを追い、予想されるNa上昇を悪化と誤認しない。
  • HHSは血糖だけでなく、浸透圧とNaを安全な速度で下げる。