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DLQI(皮膚疾患QOL指数)

DLQI

別名
Dermatology Life Quality Index皮膚科生活の質指数
臓器系
皮膚
科目
Clinical PharmacologyDermatology
トピック
臨床薬理学 02:乾癬の薬物療法皮膚科 3-20:乾癬の臨床型と治療
構成:症状
そう痒疼痛
適用疾患
尋常性乾癬

🧠 全体像:DLQIは、皮膚疾患が患者の日常生活や生活の質に与える影響を評価する10項目のである。1994年にFinlayらによって開発され、領域で世界的に最も広く用いられているである。が診察でに測定する病変面積や重症度(PASIやEASI)とは異なり、そう痒・疼痛・外見の羞恥心・・就労への支障といった「患者自身の負担」を0〜30点で定量化する。乾癬などの診療指針では、生物学的製剤をはじめとするの導入判断やの基準として広く組み込まれている。

目的と適用場面

項目 内容
目的 皮膚疾患が患者の日常生活・心理・社会生活に与える支障の定量化
対象 16歳以上の皮膚疾患患者全般(乾癬、、、、、など)
使う場面 初診時の重症度評価、(生物学的製剤など)の適応判定、治療効果判定・長期モニタリング
評価しないもの 皮疹の面積・性状そのもの、16歳未満の小児(小児にはCDLQIを用いる)

患者が過去1週間の生活を振り返り、自ら回答する。所要時間は通常2〜3分程度と短く、日常診療の外来待合室でも容易に運用できる1。

構成要素と配点

は10項目からなり、6つの生活領域を網羅する1。

各質問は以下の4段階で回答し、配点は0〜3点である。

  • まったくない:0点
  • 少しある:1点
  • かなりある:2点
  • 非常に大きい:3点
  • 該当しない:0点

※質問7(仕事や学校への影響)のみ、「皮膚病のために仕事や学校を休んだか」という追加分岐があり、休んだ場合は自動的に最高点の3点となる。

6つの生活領域と質問項目

領域 該当項目 質問の主眼 配点範囲
症状と感情 質問1・質問2 皮膚の痒み・痛み・、および外見に対する羞恥心・自意識 0〜6点
日常活動 質問3・質問4 買い物や家事・庭仕事への支障、衣服の選択や着用への影響 0〜6点
余暇 質問5・質問6 社交や余暇活動の制限、スポーツへの参加困難 0〜6点
仕事と学校 質問7 就業・就学への支障、病気による欠勤・欠席 0〜3点
質問8・質問9 パートナー・親族・友人との関係の悪化、性生活の困難 0〜6点
治療 質問10 皮膚の治療(外用薬塗布など)による手間・時間・生活への負担 0〜3点

合計点は0点(生活への影響なし)から30点(極めて甚大な障害)の範囲となる。未回答の項目が2項目以上ある場合、合計スコアはとして扱うのが原則である。

解釈とカットオフ

重症度バンド

合計点に応じて、生活の質に対する影響の大きさを5段階に分類する枠組みが確立している2。

合計点 生活への影響度 臨床的意義
0〜1点 影響なし 疾患による生活の制限が完全に消失している状態
2〜5点 小さな影響 軽微な支障にとどまる
6〜10点 中等度の影響 生活の複数場面で明瞭な支障が生じている
11〜20点 非常に大きな影響 日常生活や社会生活が著しく制限されている
21〜30点 極めて大きな影響 生活全般にわたる甚大な機能障害

臨床的重要差

治療介入によって得られたスコア変化が、患者にとって実感できる意味のある改善かを判断する指標として、MCIDが用いられる。炎症性皮膚疾患におけるDLQIのMCIDは4点と定義されている3。治療後に4点以上のスコア減少が達成されれば、臨床的に有意義な改善が得られたと判断できる。

診療ガイドラインでの活用

乾癬の決定において、DLQIは面積評価であるPASIとともに不可欠な判断基準となっている。

  • 中等症〜重症の判定:(BSA)10%超、またはPASI 10超、あるいはDLQI 10超のいずれかを満たす場合、単独では不十分な中等症から重症と位置づけられ、や生物学的製剤などのが推奨される。
  • :治療の成功基準としてPASI 75改善が挙げられるが、患者視点の望ましい最終目標としてはDLQI 0または1(生活への影響が完全に消失した状態)の達成が設定されている。
flowchart TD
    A["皮膚疾患の初診・定期評価"] --> B["DLQI<span class='jp-term jp-term-diagram' title='questionnaire'>質問票</span>(10項目・0〜30点)を患者が自己記入"]
    B --> C{"DLQIスコアの判定"}
    C -->|"0〜1点"| D["生活への影響なし<br>良好なコントロールを維持"]
    C -->|"2〜5点"| E["小さな影響<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='topical therapy'>外用療法</span>やスキンケアの継続"]
    C -->|"6〜10点"| F["中等度の影響<br>外用強化・治療法見直しの検討"]
    C -->|"11点以上"| G["非常に大きな影響<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic therapy'>全身療法</span>(生物学的製剤等)の適応を検討"]
    G --> H["治療介入後の再評価<br>4点以上の減少(MCID)で有効判定<br>0〜1点達成を目標とする"]

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 小児には使用できない。 16歳未満の小児では、質問内容(仕事やパートナー関係など)が生活実態に合わないため適応外である。小児には4〜16歳を対象に開発されたCDLQIを使用する。

⚠️ 「該当しない」回答による過小評価のリスクがある。 もともとスポーツや特定の社交活動を行わない高齢者などでは、病気によるではなくとして「該当しない」を選び、結果として0点に換算されて全体スコアが見かけ上低く算出される傾向がある。

⚠️ 皮疹面積と乖離しうる。 手掌・足底・顔面・などの特殊部位に限定された皮疹は、やPASIの点数としては極めて低く算出されるが、機能障害や精神的苦痛が甚大であるためDLQIは著明な高値を示す。逆に、広範囲に皮疹が広がっていても症状に乏しい患者ではDLQIが低くとどまることがある。皮疹面積との双方を相補的に用いる必要がある。

⚠️ 家族・の負担は反映されない。 重症皮膚疾患では外用塗布の手間やの清掃など同居家族への負担が大きいが、DLQIは患者本人のみの評価である。家族への影響を測る場合はFamily DLQIを別途用いる。

まとめ

  • DLQIは10項目(各0〜3点、合計0〜30点)からなる皮膚な自己記入式QOL尺度である。
  • 症状と感情・日常活動・余暇・仕事と学校・・治療の6領域を包括的に評価する。
  • 0〜1点は影響なし、11点以上は非常に大きな生活支障を示し、乾癬などでは導入の基準となる。
  • 臨床的に意味のある改善幅(MCIDは4点)を指標とし、としてはDLQI 0または1の達成が目指される。
  • 小児にはCDLQIを用い、特殊部位の病変では面積指標との乖離に留意して解釈する。

出典

  1. 1.Dermatology Life Quality Index (DLQI)--a simple practical measure for routine clinical use(Clinical and Experimental Dermatology・1994)120名の皮膚疾患患者の回答をもとに10項目からなるDLQIを開発し、200名の外来新患で検証したこと、アトピー性皮膚炎・乾癬・汎発性そう痒症がざ瘡や疣贅よりQOL障害が大きいこと、健常対照100名の平均が1.6%(スコア約0.5点)に対し皮膚科患者が24.2%(スコア約7.3点)と明瞭に区別されたこと、1週間のテスト・再テスト信頼性が0.99と高かったことを確認した。閲覧 2026-10-27
  2. 2.Translating the science of quality of life into practice: What do dermatology life quality index scores mean?(Journal of Investigative Dermatology・2005)1,993名の成人皮膚科外来患者の回答を解析し、全般質問(GQ)との対応からDLQIのスコアバンドを0〜1点(生活への影響なし)、2〜5点(小さな影響)、6〜10点(中等度の影響)、11〜20点(非常に大きな影響)、21〜30点(極めて大きな影響)と定義し、臨床判断のための解釈枠組みを確立したことを確認した。閲覧 2026-10-27
  3. 3.Determining the minimal clinically important difference and responsiveness of the Dermatology Life Quality Index (DLQI): further data(Dermatology・2015)炎症性皮膚疾患患者を対象とした縦断研究において、QOL変化の全般的評価(GRCQ)をアンカーとしてDLQIの最小臨床的重要差(MCID)を測定し、小さな変化を経験した患者の平均変化量が3.3であったこと、実臨床における炎症性皮膚疾患の推奨MCIDとして4点を提唱したことを確認した。閲覧 2026-10-27