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国際Behçet病基準

International Criteria for Behçet's Disease

別名
ICBD
臓器系
免疫・膠原病
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 R-07:小血管炎
構成:症状
口腔アフタ外陰部潰瘍前部ぶどう膜炎皮疹
適用疾患
ベーチェット病

🧠 全体像)は、重症度や予後を予測するスコアではなく、の臨床研究対象を均質に選び出すための分類基準である。・皮膚病変・神経病変・血管病変・の7項目に配点し、合計4点以上に分類する。旧来のISG(国際研究グループ、1990年)基準がを必須項目としたのに対し、はこの必須項目を撤廃し、が無くても他項目の組合せだけで分類できる点で感度が高い。

目的と適用場面

内容
目的 臨床研究・治験のするための分類基準。診断そのものを行うツールではない
対象 反復性など、すでに臨床的にが疑われている患者
使う場面 研究登録の適格性判定、教育目的での疾患概念整理。日常臨床では診断の補助にとどめる
評価しないもの 重症度・活動性・予後。臓器障害の重症度は各臓器所見を個別に評価する

この位置づけはと同じ構造を持つ——臨床研究のするためのツールであり、個々の患者の確定診断はの総合判断で行う。

構成要素と配点

は全7項目に配点し、合計点で判定する。1

項目 点数 備考
2点 前部・後部・など(例:前部ぶどう膜炎
2点 反復性の
2点
皮膚病変 1点 皮疹など
神経病変 1点 など
血管病変 1点 静脈血栓、動脈瘤、動脈閉塞など
陽性 1点(任意加点) 施行した場合に限り加点する。未施行なら加点しない
合計 4点以上 に分類する

ISG基準(1990年)との違い

1990年に発表された旧来の基準は、反復性を必須項目とし、これに性器潰瘍・皮膚病変・陽性のうち2項目以上を組み合わせて分類する方式だった。2 はこの必須項目という設計を撤廃し、7項目のの合計だけで判定する方式に変えたため、を欠く非典型例でも他所見の組合せで分類できる。

ISG(1990年) (2014年)
必須項目 の反復が必須 必須項目なし(7項目の合計点のみで判定)
判定方法 +他4項目中2項目以上 7項目のの合計が4点以上
の扱い 4項目のうち1つとして数える(配点なし) 任意加点1点(施行時のみ)
検証コホートでの感度 85.0% 94.8%
検証コホートでの特異度 96.0% 90.5%

の原著論文が報告した同一の検証コホートでの比較では、の感度94.8%はISGの85.0%を上回る一方、特異度はの90.5%がISGの96.0%をやや下回る。1 を必須としない設計が、この感度の差に直結している。

解釈とカットオフ

合計点 判定
4点未満 上はに分類しない
4点以上 に分類する

4点未満でも、臨床的にを強く疑う所見(反復性が主体で他所見に乏しい早期例など)があれば、分類基準を満たさないことだけを根拠に否定しない。は任意加点のため、施行しない施設では残り6項目(最大9点)だけで判定することになり、境界域の症例ではの実施の有無そのものが分類を左右しうる。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 分類基準でありではない。 と同様、は臨床研究のするためのツールであり、個々の患者の確定診断はの総合判断で行う。4点未満だからといって診断を否定する根拠にはできない。

⚠️ 各項目の定義を明示しないまま採点すると点数がぶれる。」「神経病変」「血管病変」はいずれも単一の所見ではなく複数の病態を束ねた項目であり、何を「」とみなすかを評価者間で揃えないと、同じ患者でも点数が変わりうる。

⚠️ 地域差でスコアの意味が変わる。 はシルクロード沿いの高地域とそれ以外の低地域とで臨床像の頻度が異なり、同じ点数でもによって変わる。低地域での適用は慎重に判断する。

⚠️ は地域・人種で陽性率が大きく異なり、実施率自体も低下している。 日本・トルコ・東地中海地域では50〜88%と高い陽性率が報告される一方、英国・米国では20%未満にとどまる。3 陰性、または未実施であることをもってを否定する根拠にはできない。

まとめ

  • を予測・重症度評価するスコアではなく、臨床研究の対象をするための分類基準である。
  • 各2点、皮膚病変・神経病変・血管病変各1点、陽性の任意加点1点を合計し、4点以上でに分類する。
  • (1990年)はを必須項目としたが、はこれを撤廃して感度を高めた(検証コホートで94.8% vs 85.0%)一方、特異度はわずかに下がった(90.5% vs 96.0%)。
  • 分類基準であってではなく、項目定義の曖昧さ・地域差・の実施率低下を踏まえて解釈する必要がある。

出典

  1. 1.The International Criteria for Behçet's Disease (ICBD): a collaborative study of 27 countries on the sensitivity and specificity of the new criteria(International Team for the Revision of the International Criteria for Behçet's Disease・2014)ICBDは全7項目(眼病変・口腔アフタ・性器アフタ各2点、皮膚病変・神経病変・血管病変各1点、パセルギー陽性は任意加点1点)の合計4点以上でBehçet病に分類し、検証コホートでの感度94.8%・特異度90.5%が、同一コホートでのISG基準の感度85.0%・特異度96.0%を上回る/下回ることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Criteria for diagnosis of Behçet's disease(International Study Group for Behçet's Disease・1990)ISG1990年基準は反復性口腔アフタを必須項目とし、これに性器潰瘍・定型的眼病変・定型的皮膚病変・パセルギーテスト陽性のうち2項目以上を組み合わせて分類することを確認した(アブストラクトに感度・特異度の数値記載はなかった)。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Diagnostic Sensitivity of Different Applications of Pathergy Test for Behçet's Disease(Archives of Rheumatology・2020)パセルギーテストの陽性率は地域差が大きく、日本・トルコ・東地中海地域で50〜88%と高い一方、英国・米国では20%未満にとどまり、近年は陽性率自体が低下傾向にあることを確認した。閲覧 2026-08-04