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JSTH2017年版DIC診断基準

JSTH DIC diagnostic criteria (2017)

別名
日本血栓止血学会DIC診断基準
臓器系
血液
科目
Internal MedicineIntensive Therapy and Anesthesiology
トピック
内科学 H-14:播種性血管内凝固麻酔科学 B-09:致死的凝固異常とDIC
構成:検査値
Dダイマーフィブリノゲン血小板数プロトロンビン時間アンチトロンビン
適用疾患
播種性血管内凝固

🧠 全体像:JSTH(日本血栓止血学会)2017年版は、「同じでも基礎疾患によって意味が違う」という臨床の実感を、採点そのものに組み込んだ基準である。白血病など元々血小板が低い病態(型)では血小板を採点から外し、でフィブリノゲンが下がりにくい感染症(感染症型)ではフィブリノゲンを外す。外した項目の分だけ満点が下がるため、型4点以上・感染症型5点以上・基本型6点以上と、型ごとにも変わる。さらに活性・(TAT・可溶性フィブリン・F1+2)という凝固活性化の指標を新たに採点に加え、早期のを捉えようとする点が、進行した「」を確定するためのISTHスコアと性格が異なる。

目的と適用場面

内容
目的 基礎疾患ごとにの意味が変わることを踏まえ、日本の臨床現場でを診断する
対象 を起こしうる基礎疾患(・感染症・その他)を持つ患者。産科・新生児領域には適用しない
使う場面 基礎疾患のカテゴリーを先に判定したうえで、対応する型の採点表を適用する場面
評価しないもの 基礎疾患の特定そのもの、産科(別の専用基準がある)

構成要素と配点

まず基礎疾患から基本型・型・感染症型のどの型を使うか決める。(血小板そのものが低下する疾患)があれば型、それが無く感染症があれば感染症型、いずれでもなければ基本型を用いる。基礎疾患が複数ある場合や特定できない場合も基本型を使う1。

項目 基本型 型 感染症型
(万/μL) 12超0点/8超12以下1点/5超8以下2点/5以下3点 採点しない 12超0点/8超12以下1点/5超8以下2点/5以下3点
血小板の24時間以内の変化 30%以上減少で+1点(血小板5万超の場合のみ。血小板の最高点は3点) — 30%以上減少で+1点(同条件)
(μg/mL) 10未満0点/10以上20未満1点/20以上40未満2点/40以上3点 同左 同左
フィブリノゲン(mg/dL) 150超0点/100超150以下1点/100以下2点 同左 採点しない
比 1.25未満0点/1.25以上1.67未満1点/1.67以上2点 同左 同左
活性 70%超0点/70%以下1点 同左 同左
(TAT・可溶性フィブリン・F1+2のいずれか) 上限の2倍未満0点/2倍以上1点 同左 同左
肝不全(後述) あり−3点 あり−3点 あり−3点
診断の 6点以上 4点以上 5点以上

⭐ 型では血小板を、感染症型ではフィブリノゲンを採点から除く。 これは「その項目が基礎疾患のせいで元々異常値を取りやすく、の指標として使えない」という判断による。項目を1つ減らせば満点も下がるため、も基本型より低く設定されている12。

⚠️ 肝不全(または)があれば、どの型でも一律3点減じる。 は「発症8週以内に活性40%以下または 1.5以上」、は「肝硬変の分類BまたはC(7点以上)」と定義される。肝不全では肝臓での凝固因子産生低下だけで類似の異常が生じるため、とのを避ける目的でこの減点が設けられている1。

解釈とカットオフ

型 感度 特異度
基本型 6点以上 98.4% 94.8%
型 4点以上 97.2% 96.0%
感染症型 5点以上 93.7% 97.8%

2017年の正式改訂で、感染症型のは暫定案(2014年)の6点以上から5点以上へ引き下げられた2。

💡 型ごとにが違うのは、基準が緩い/厳しいからではない。外した項目の分だけ満点そのものが下がるため、同じ「重症度」を表すのに必要な点数も型によって変わる、という理屈である。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 産科・新生児領域には適用しない。 これらの領域は生理的なの変化が大きく、専用の基準が別に存在する1。

⚠️ どの型を使うか(アルゴリズムでの基礎疾患判定)を誤ると、採点そのものが成立しない。 例えばのある患者に基本型を当てはめると、血小板低下を過大評価してを過剰診断しうる。

⚠️ 手術直後はの有無に関わらず、TAT・可溶性フィブリン・・の上昇やの低下といった類似のマーカー変動が生じる。 周術期の判定は慎重に行う1。

⚠️ (TAT・可溶性フィブリン)は採血困難例やルート採血でを示すことがあるため、・の上昇度と比べて著しく高い場合は再検する。

⚠️ 単独の1回のスコアで判断せず、な変化と基礎疾患の文脈を合わせて評価する。基準を満たさなくてもが強く疑われる場合、の判断によるは妨げられない。

⚠️ 救急・領域ではJAAM基準が使われることもある。 JAAM基準は・血小板・比(測定値/対照値)・を組み合わせ、敗血症・外傷などの急性期病態をより早期・高感度に捉える目的で4点以上を陽性とする、JSTH基準とはの異なる基準である3。どちらの基準が使われているかを確認せずに点数だけを比較しない。

まとめ

  • JSTH2017年版基準は、基礎疾患によって基本型・型・感染症型の3型を使い分け、型では血小板を、感染症型ではフィブリノゲンを採点から除く。
  • 採点項目(血小板・・フィブリノゲン・比)に加え、活性・(TAT・可溶性フィブリン・F1+2)を新たに採点し、早期のを捉えようとする。
  • は基本型6点以上・型4点以上・感染症型5点以上で型ごとに異なり、これは外した項目の分だけ満点が下がるためである。
  • 肝不全があれば一律3点減じ、とのを防ぐ。産科・新生児領域には適用しない。

出典

  1. 1.日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(Diagnostic criteria for disseminated intravascular coagulation by the Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis —tentative criteria—)(日本血栓止血学会DIC診断基準作成委員会 / 日本血栓止血学会誌・2014)基礎疾患のアルゴリズムに従い基本型・造血障害型・感染症型のいずれかを選び、血小板数(12万/μL超で0点、8万超12万以下で1点、5万超8万以下で2点、5万以下で3点。24時間以内に30%以上減少すれば血小板5万超の場合のみさらに1点加点し血小板の最高点は3点までとする)・FDP(10未満0点、10以上20未満1点、20以上40未満2点、40以上3点。FDP未測定でDダイマーのみの施設はDダイマーが基準値上限の2倍以上で暫定的に1点)・フィブリノゲン(150mg/dL超0点、100超150以下1点、100以下2点)・プロトロンビン時間比(1.25未満0点、1.25以上1.67未満1点、1.67以上2点)・アンチトロンビン活性(70%超0点、70%以下1点)・分子マーカー(TAT・可溶性フィブリン・F1+2のいずれかが基準範囲上限の2倍以上で1点)で採点し、造血障害型では血小板数を、感染症型ではフィブリノゲンをスコアリング項目から除外すること、肝不全(急性肝不全または慢性肝不全=Child-Pugh分類BまたはC)があれば3点減じること、この暫定案の時点では基本型・感染症型が6点以上・造血障害型が4点以上でDICと診断される案であったこと(2017年の正式改訂で感染症型の閾値は5点以上に変更された)を確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.The approval of revised diagnostic criteria for DIC from the Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis(日本血栓止血学会(JSTH)・2017)2017年に正式承認された改訂版で、基本型6点以上(感度98.4%・特異度94.8%)・造血障害型4点以上(感度97.2%・特異度96.0%)・感染症型5点以上(感度93.7%・特異度97.8%)とカットオフが型ごとに設定されたこと、感染症型の閾値が暫定案の6点から5点へ変更されたこと、肝不全(急性肝不全または慢性肝不全=Child-Pugh分類BまたはC)があれば3点減じることを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.A multicenter, prospective validation of disseminated intravascular coagulation diagnostic criteria for critically ill patients: comparing current criteria(Japanese Association for Acute Medicine (JAAM) DIC Study Group / Critical Care Medicine・2006)JAAM基準がSIRS・血小板・プロトロンビン時間比(測定値/対照値)・FDPを組み合わせ、敗血症・外傷などの急性期をより早期・高感度に捉える目的で4点以上を陽性とする基準であることを確認した閲覧 2026-09-05