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LRINECスコア

LRINEC score

別名
Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis
臓器系
感染症皮膚
科目
Surgery
トピック
外科学 G-04:軟部組織感染症と陰圧閉鎖療法
構成:検査値
CRP白血球数ヘモグロビン低ナトリウム血症(血清ナトリウム)クレアチニン血糖
適用疾患
壊死性軟部組織感染症

点数を計算する

0 / 6 項目を選択
CRP(mg/L)
白血球数(×10³/mm³)
ヘモグロビン(g/dL)
血清ナトリウム(mmol/L)
クレアチニン(mg/dL)
血糖(mg/dL)

合計

/ 13点

低スコアは壊死性軟部組織感染症を除外しない。臨床的に疑わしければスコアにかかわらず外科的評価へ進む。

🧠 全体像は、だけからを疑うために作られた採点システムである。原著は良好な判別性能を報告したが、その後の複数の前向き研究・で感度が低いことが繰り返し示されている。学ぶべき核心は配点そのものより、「低値だからではない」と判断してはならないという限界の方であり、臨床的に疑わしければスコアの値にかかわらず外科的評価・探索へ進む。

目的と適用場面

内容
目的 重症軟部組織感染症の患者で、を蜂窩織炎などの非からだけで層別化する
対象 発赤・腫脹・疼痛を伴う重症の軟部組織感染症患者
使う場面 救急外来・病棟で、だけではの判断に迷うとき
評価しないもの 疼痛の性状、、進行速度など診察でしか得られない所見。緊急手術の必要性そのもの

もとはを含む研究から2004年に導出された(開発コホート314例、検証コホート140例)1

構成要素と配点

CRP(mg/L)

0点 4点
150未満 150以上

(×10³/mm³)

0点 1点 2点
15未満 15〜25 25超

ヘモグロビン(g/dL)

0点 1点 2点
13.5超 11〜13.5 11未満

血清ナトリウム(mmol/L)

0点 2点
135以上 135未満

クレアチニン(mg/dL)

0点 2点
1.6以下 1.6超

血糖(mg/dL)

0点 1点
180以下 180超

合計0〜13点1。⭐ 6項目のうちCRPが最大4点で最も配点が重く、・ヘモグロビン・血清ナトリウム・クレアチニンがこれに続き、血糖の配点が最も軽い。

解釈とカットオフ

リスク区分 原著での成績
6点未満 低リスク
6点以上 中間〜高リスク 92.0%、96.0%(原著のコホートにおける値)1
8点以上 より高リスク でのプール特異度94.9%(ただし感度は40.8%まで低下)2

💡 原著のはいずれも単一のコホートでの値であり、後述のとおり前向き検証研究ではこれより明らかに劣る成績が繰り返し報告されている。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 最も重要な限界は感度の低さである。 23研究・5,982例を統合したでは、6点以上でもプールされた感度は68.2%にとどまり、より高い8点以上のでは感度40.8%まで低下した。著者らは「LRINECは感度が低く、の除外に用いるべきではない」と明記している2。四肢のを対象とした前向き検証研究でも、6点以上の感度はわずか43%であった(92%と一見高く見えるが、これはが低い集団特有の値であり、個々の患者の除外根拠にはならない)3

⚠️ 低スコアはを除外しない。 所見に不釣り合いな激痛、急速進行、など臨床的に疑わしい所見があれば、の値にかかわらず外科的評価・探索を優先する。画像検査と同様、を待つ/低いことを理由に緊急を遅らせてはならない

⚠️ 蜂窩織炎との鑑別に単独で使ってはいけない。もともと蜂窩織炎など他の軟部組織感染症との判別を目的に開発された指標だが、後年の検証では蜂窩織炎症例でも高スコアを示す例、逆に確定したで低スコアの例がいずれも報告されている。

原著は単一施設のコホートに基づく開発研究であり、前向き研究や他集団(特に糖尿病・免疫不全患者が多い集団)での再現性は限定的である。改訂・簡易版(modified LRINECなど)も提案されているが、いずれもの確定診断やの代替にはならない。

まとめ

  • はCRP・・ヘモグロビン・血清ナトリウム・クレアチニン・血糖の6項目、合計0〜13点でのリスクを層別化するスコアである。
  • は6点以上(中間〜高リスク)だが、原著が報告した良好な判別性能(92.0%・96.0%)はその後の前向き検証・では再現されず、感度は40〜70%程度にとどまる。
  • 最大の注意点は感度の低さであり、低スコアはを除外しない。 臨床的に疑わしければスコアにかかわらず外科的評価・へ進む。
  • 蜂窩織炎との鑑別に単独で用いず、あくまで診察・画像所見と併せた補助情報にとどめる。

出典

  1. 1.The LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score: a tool for distinguishing necrotizing fasciitis from other soft tissue infections(Critical Care Medicine(Wong CH, Khin LW, Heng KS, Tan KC, Low CO)・2004)開発コホート314例・検証コホート140例の後方視的観察研究で、CRP・白血球数・ヘモグロビン・血清ナトリウム・クレアチニン・血糖の6項目からLRINECスコアを構築したこと、6点以上をカットオフとすると陽性的中率92.0%・陰性的中率96.0%(ROC下面積は開発コホート0.980・検証コホート0.976)であったこと、「6点以上の患者は壊死性筋膜炎の存在を慎重に評価すべき」と結論づけたことを確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.Necrotizing Soft Tissue Infection: Diagnostic Accuracy of Physical Examination, Imaging, and LRINEC Score: A Systematic Review and Meta-Analysis(Annals of Surgery(Fernando SM, Tran A, Cheng Wら)・2019)23研究・5,982例を対象とした系統的レビュー・メタ解析で、LRINECスコア6点以上のプールされた感度は68.2%・特異度84.8%、8点以上では感度40.8%・特異度94.9%にとどまったこと、結論として「LRINECは感度が低く、壊死性軟部組織感染症の除外に用いるべきではない」と明記していることを結果・結論の節で確認した閲覧 2026-08-11
  3. 3.Prospective Validation of the Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis (LRINEC) Score for Necrotizing Fasciitis of the Extremities(PLoS One(Hsiao CT, Chang CP, Huang TY, Chen YC, Fann WC)・2020)四肢の壊死性筋膜炎106例・重症蜂窩織炎825例を対象とした前向き観察研究で、LRINEC6点以上の感度は43%(95%CI 34-53%)・特異度83%・陽性的中率25%・陰性的中率92%にとどまり、「LRINECスコアは壊死性筋膜炎のリスク層別化の正確なツールではない可能性があり、救急外来での日常的な診断ツールとしては慎重に用いるべき」と結論づけたことを確認した閲覧 2026-08-11