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MASCCスコア

MASCC risk index

別名
MASCC
臓器系
腫瘍感染症
科目
Internal MedicinePediatrics
トピック
内科学 L-64:血液・腫瘍救急:発熱性好中球減少症、腫瘍崩壊症候群、上大静脈症候群小児科 2-02:小児腫瘍救急
構成:症状
低血圧
適用疾患
血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)無顆粒球症

🧠 全体像は、骨髄抑制に伴うの患者のうち重篤な合併症のリスクが低い群を同定するためのスコアである。そのものを診断するではなく、すでに診断がついた患者を「入院・静注治療が要る集団」と「外来・経口治療を検討できる集団」にふるい分けることだけが目的になる。

目的と適用場面

内容
目的 の患者を、重篤な合併症の低リスク群と高リスク群に層別化する
対象 と診断された成人がん患者
使う場面 発熱を確認した時点での初期評価。外来・経口治療の候補を絞り込む材料の一つとして
評価しないもの の診断そのもの、の特定、菌血症の有無

構成要素と配点

⭐ 7項目・合計最大26点。うち1項目()は相互排他の3択で、該当する段階の点だけを採用する(加算しない)。

(症状の重症度)

なし〜軽度 中等度 高度・
5点 3点 0点

⚠️ この3段階は択一であり、合算しない。 「症状なし」で5点、さらに何かの症状で3点を足すという採点はできない。評価時点の症状の全体的な重症度をが1段階だけ選ぶ。

がんの種類

該当
固形腫瘍 4
血液腫瘍で、の既往なし 4
血液腫瘍で、の既往あり 0

その他の項目は、該当すれば加点される単純な二択である。

項目 基準
低血圧がない 90 mmHg超 5
がない 活動性の・肺気腫、FEV低下、・ステロイド・を要する状態がない 4
脱水がない 補液()を要する脱水がない 3
外来発症 発熱を発症した時点で入院中でなく外来通院中である 3
年齢60歳未満 2

💡 の採点項目に入らない。 ANC低値はと診断するための前提条件であって、リスクを層別化する7項目のどれにも含まれない。好中球減少の程度は別に評価する。

解釈とカットオフ

点数 リスク 対応の目安
21点以上 低リスク 良好な全身状態・肝腎機能の保持・好中球減少期間7日未満などの臨床基準も満たせば、による外来治療を検討できる1
21点未満 高リスク 入院のうえ経験的なを行う

💡 原著の検証コホートでは、21点以上を低リスクとしたときのは91%、特異度68%、感度71%であった2。この数値どおり、低リスク判定は「合併症が起きないことの保証」ではなく「起きにくい集団の絞り込み」にとどまる。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ (症状の重症度)はな項目であり、評価者間でばらつきやすい。 7項目のうち最も点数配分が大きい項目が診察医の印象評価であるため、同じ患者でも評価者によって点数が動きうる。

⚠️ スコアが低リスクでも、次のいずれかがあれば外来管理にしない。 臓器機能障害(肝機能・腎機能の低下)、後または中、重度の、信頼できる・24時間の連絡手段や通院手段といった条件が整わない場合である1。ガイドラインは中の患者にはそもそもを用いないことを明示している。

⚠️ とは対象患者・項目構成が異なる。 CISNEは臨床的に安定した固形腫瘍患者を対象に、全身状態・COPD・という別の項目立てで層別化するであり、MASCCと単純に置き換えられるものではない3

⚠️ 小児にはそのまま適用しない。 小児のがん・では、とは別に開発・検証された臨床予測ルールが複数存在し、成人向けのが標準として確立しているわけではない4。小児の層別化には小児向けに検証されたルールを用いる。

まとめ

  • の患者を低リスク・高リスクに層別化し、外来経口治療の候補を選ぶためのであり、診断のためのスコアではない。
  • 7項目・合計最大26点。(症状の重症度)は相互排他の3択で加算しない点が最も誤りやすい。ANCそのものは採点項目に含まれない。
  • 21点以上を低リスクとするが、外来管理には良好な全身状態・肝腎機能・好中球減少期間などの臨床基準も併せて満たす必要がある。
  • 項目に依存するため評価者間でばらつきやすく、臓器機能障害・後・重度条件が整わない患者は低リスクでも外来管理にしない。
  • とは対象患者・項目構成が異なり、小児には成人向けではなく小児向けに検証されたルールを用いる。

出典

  1. 1.The Multinational Association for Supportive Care in Cancer risk index: A multinational scoring system for identifying low-risk febrile neutropenic cancer patients(Multinational Association for Supportive Care in Cancer (MASCC) / Journal of Clinical Oncology・2000)MASCCスコアの原著が7項目(疾患負荷の3段階を含む)とその配点、合計最大26点、21点以上を低リスクとするカットオフ、および陽性的中率91%・特異度68%・感度71%という原典の検証結果を確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.ASCO/IDSA Clinical Practice Guideline Update for Outpatient Management of Fever and Neutropenia in Adults Treated for Malignancy(American Society of Clinical Oncology (ASCO) / Infectious Diseases Society of America (IDSA)・2018)低リスクの外来管理にはMASCCスコア21点以上に加え良好な全身状態・肝腎機能の保持・好中球減少期間7日未満などの臨床基準を満たす必要があること、造血幹細胞移植や急性白血病の寛解導入化学療法を受けている患者にはMASCCスコアを用いないこと、外来管理には信頼できる介護者・24時間の連絡手段や交通手段といった社会的条件も要件になることを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Prediction of serious complications in patients with seemingly stable febrile neutropenia: validation of the Clinical Index of Stable Febrile Neutropenia in a prospective cohort of patients from the FINITE study(Journal of Clinical Oncology・2015)CISNEスコアがMASCCスコアと異なり、臨床的に安定した固形腫瘍患者を対象に、全身状態・慢性閉塞性肺疾患・慢性心血管疾患・粘膜炎・単球数・ストレス性高血糖という異なる項目立てで層別化する、対象患者層と項目構成が別のツールであることを確認した。閲覧 2026-08-04
  4. 4.Risk stratification in children with cancer and febrile neutropenia: A national, prospective, multicentre validation of nine clinical decision rules(EClinicalMedicine・2020)小児のがん・発熱性好中球減少症では、MASCCスコアとは別に開発された複数の臨床予測ルール(9種類)が多施設前向きに検証されており、いずれも感度と低リスク判定率の間にトレードオフを残す発展途上の段階にあることを確認した。閲覧 2026-08-04