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CISNEスコア

CISNE score

臓器系
腫瘍感染症
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 L-64:血液・腫瘍救急:発熱性好中球減少症、腫瘍崩壊症候群、上大静脈症候群
構成:症状
口内炎
構成:検査値
高血糖

🧠 全体像は、のうちすでに「見かけ上は安定している」と判断された固形腫瘍患者に限定して使う、特異度重視の層別化ツールである。は血液腫瘍も含む多様なFN患者を広く対象に感度を優先して低リスク群を拾うのに対し、CISNEはその設計上、見かけ上安定した患者ではMASCCの感度が36%まで落ち込むという弱点1を補うために、全身状態・COPD・というMASCCとは全く別の6項目で再層別化する。同じ「」という目的を共有していても、対象患者層と採点項目が異なる別のツールであり、単純に置き換えられない2

目的と適用場面

内容
目的 すでに「臨床的に安定した」と判断された患者の中から、重篤な合併症の真の低リスク群をさらに絞り込む
対象 固形腫瘍の患者で、・敗血性ショック・低血圧・広範な・その他の急性無い患者1
使う場面 初期評価で・臓器障害なしをすでに確認したあと、外来管理の候補をさらに絞り込む場面
評価しないもの 血行動態が安定しているかどうかの一次判定(それはCISNEを使う前提条件であって採点項目ではない)、の特定、血液腫瘍患者の層別化

💡 CISNEは「安定して見える患者の中に紛れている高リスク患者」を見つけるためのである。 MASCCが「不安定な患者を見逃さない」感度重視の設計なのに対し、CISNEは「安定して見える患者を対象にしぼった上で、その中の高リスク者を精度よく拾う」特異度重視の設計になっている3

構成要素と配点

⭐ 6項目・合計0〜8点。全項目が該当すれば加点される単純な二択で、MASCCのような相互排他の択一項目は無い4

項目 基準
2以上 歩行・身の回りの動作は自力で可能だが就労は不能。日中の50%以上は起きて過ごせる、以上の段階 2
値121 mg/dL以上(糖尿病の既往がある患者は250 mg/dL以上)1 2
COPD 活動性のがある 1
慢性の心血管疾患の既往がある 1
グレード2以上 NCI-基準でグレード2以上の1 1
200/mm3未満 好中球減少と同じ時点で測定した絶対 1

💡 項目名は原著の予測因子そのままではない。 原著のが同定したのは「」(4.45)と「」(6.47)で、点数化された版ではそれぞれ「COPD」「」という広い呼び名に整理されている1。とくにの枠で寄与が最も大きいのは、原著で6項目中最高のを示したである。

⚠️ 低血圧はCISNEの採点項目に入らない。 MASCCでは低血圧の不在が5点の加点項目だが、CISNEでは低血圧があること自体が適用除外(「臨床的に安定した」の定義から外れる)になるため、そもそも点数化の対象にならない。

解釈とカットオフ

合計点 リスク 重篤合併症の目安 対応の目安
0点 低リスク 約1% 外来管理の候補として検討できる
1〜2点 約6% 入院のうえでの観察・再評価を優先する
3点以上 高リスク 約36% 入院し積極的な管理を行う

💡 区分そのものは確立しているが4はいずれも導出・検証コホートでの目安であり、外部検証コホートによって数値は変動する3

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 血液腫瘍・後・中の患者には使わない。 CISNEは固形腫瘍の「臨床的に安定した」患者を対象に開発されたであり、これらの患者集団は原著の対象から除外されている1

⚠️ すでに不安定な患者の初期評価には使わない。 ・敗血性ショック・低血圧・広範ながある時点でCISNEの適用対象から外れる。CISNEは「不安定かどうか」を判定するではなく、「安定していると確認できたあと」に使うである1

⚠️ 対象を固形腫瘍の安定患者に絞って開発されたぶん、より多様な集団への外挿性は低い。 外部検証コホートの一つでは特異度97%・感度12%という、施設・集団によって性能が大きくばらつく報告もある3

⚠️ グレードは評価者の判定に左右される。 6項目のうち最も配点が大きい(2点)を含め、評価者間でばらつきうる項目に依存する。

まとめ

  • は、すでに「臨床的に安定した」と確認された固形腫瘍の患者を対象に、重篤合併症の真の低リスク群をさらに絞り込むための特異度重視のツールである。
  • 2以上・(各2点)、COPD・グレード2以上・200/mm3未満(各1点)の6項目、合計0〜8点。
  • 0点で低リスク(約1%)、1〜2点で(約6%)、3点以上で高リスクに層別化する。
  • とは対象患者層(血液腫瘍を含むか否か)と項目構成がまったく異なり、単純に置き換えられない。低血圧はCISNEでは採点項目ではなく適用の前提条件になっている。
  • 血液腫瘍・後・中の患者や、すでに不安定と判断された患者には使わない。外部検証コホート間で性能のばらつきが大きい点にも注意する。

出典

  1. 1.Prognostic evaluation of febrile neutropenia in apparently stable adult cancer patients(British Journal of Cancer・2011)CISNEスコアの母体となった原著が、対象を「臨床的に安定した」固形腫瘍の発熱性好中球減少症患者(急性臓器障害・敗血性ショック・低血圧・広範な感染巣・その他の急性併存疾患が無い患者、発熱は38℃以上が1時間以上持続、好中球減少は絶対好中球数500/mm3以下または1,000/mm3以下でそこまで低下する見込み)と定義したこと、この集団ではMASCCスコアの感度が36%(特異度94%・陽性的中率32%・陰性的中率94.9%)と低いことを指摘したこと、ECOG PS 2以上(オッズ比2.40)・慢性気管支炎(4.45)・慢性心不全(6.47)・NCI基準の口内炎グレード2以上(2.59)・単球数200/mm3未満(2.29)・ストレス性高血糖(3.06、非糖尿病患者で121 mg/dL以上、糖尿病の既往がある患者で250 mg/dL以上)の6項目を重篤合併症の独立予測因子として多変量解析で同定したことを確認した。なお本論文は独立予測因子とオッズ比を示すにとどまり、点数配分・合計点の範囲・リスク区分の呈示は行っていない。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Prediction of serious complications in patients with seemingly stable febrile neutropenia: validation of the Clinical Index of Stable Febrile Neutropenia in a prospective cohort of patients from the FINITE study(Journal of Clinical Oncology・2015)CISNEスコアがMASCCスコアと異なり、臨床的に安定した固形腫瘍患者を対象に、全身状態・慢性閉塞性肺疾患・慢性心血管疾患・粘膜炎・単球数・ストレス性高血糖という異なる項目立てで層別化する、対象患者層と項目構成が別のツールであることをFINITE研究による前向き検証で確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Multinational association for supportive care in cancer (MASCC) versus clinical index of stable febrile neutropenia (CISNE): evaluation of predictive performance and clinical utility in patients with febrile neutropenia(European Journal of Medical Research・2025)0点を低リスク・1〜2点を中間リスク・3点以上を高リスクとする区分と、導出・検証研究における重篤合併症発生率が低リスク群で約1%・中間リスク群で約6%・高リスク群で約36%であること、MASCCが多様な発熱性好中球減少症コホートで感度を最大化する設計であるのに対しCISNEは臨床的に安定した固形腫瘍患者を対象に開発され特異度が高いこと、一方でCISNEは対象を固形腫瘍の安定患者に絞って開発されたぶん、より多様な集団への外挿性は低く、外部検証コホートの一つ(Ahn等)では特異度97%・感度12%という報告もあり施設間で性能がばらつくことを確認した。なお本論文はCISNEの6項目目を「糖尿病」と記述しており、原著の「ストレス性高血糖」および項目ごとの配点・合計点の範囲は本論文からは取れない。閲覧 2026-08-10
  4. 4.Evaluation of the clinical Index of Stable febrile neutropenia risk stratification system for management of febrile neutropenia in gynecologic oncology patients(Gynecologic Oncology Reports・2021)CISNEの6項目と項目ごとの配点(ECOG PS 2以上=2点、ストレス性高血糖=2点、治療中のCOPD=1点、心血管疾患の既往=1点、NCI基準の粘膜炎グレード2以上=1点、単球数200/µL未満=1点)、およびリスク区分(0点=低リスク/1〜2点=中間リスク/3点以上=高リスク)を確認した。配点の合計から最大8点となる。閲覧 2026-08-10