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Symptoms · Published

血精液症

Hematospermia

別名
精液血症
臓器系
生殖・産婦人科
科目
PathologyUrology
トピック
病理学 C/80:精巣・精巣上体の炎症性病変/停留精巣/精巣萎縮泌尿器科学 N-06:前立腺癌の頻度・症状・診断
関連疾患
住血吸虫症

🧠 全体像:は「見た目の派手さ」と「深刻さ」が一致しない代表的な症状で、患者・パートナーの不安は強いが、大多数は数週間〜数か月で自然軽快する良性の経過をたどる1。評価の分かれ目は年齢(40歳を境に方針が変わる)と持続・再発の有無であり、この2点さえ押さえれば過不足のない検査で足りる。

定義と用語の整理

は精液に肉眼的に血液が混じる状態を指し、血尿(尿に血が混じる)とは別の現象である。患者は両者を混同して訴えることがあるため、排尿時か時かを明確に区別してする。

機序で分けた原因

分類 代表例 頻度・特徴
炎症・感染性 前立腺炎、、尿道炎、。細菌・クラミジア・・・寄生虫が関与 最多(文献レビューで39〜55%)1
医原性 後 生検後のは6〜13%(調査では1.2%)で、通常は自然に軽快する一過性の所見1
腫瘍性 良性(、、)、悪性(前立腺癌、、) 40歳以上での持続・再発例で除外すべき対象12
結石・・閉塞性 、、 —
血管性 血管腫、、 —
全身性 重症高血圧、(等)、肝硬変、 先天性は稀——周囲の括約筋・による能のためとされている2
感染症(渡航歴) (MGS)——流行地への渡航・居住歴があれば疑う ・に・前立腺病変を伴う3
特発性 徹底的な評価後も原因不明 約30〜70%1

💡 を受けていないか、流行地への渡航歴がないかは、原因を機序で絞り込むうえでの初手になる。

⚠️ 評価を急ぐべき状況

  • 40歳以上——悪性腫瘍の頻度は文献レビューで3.5%と低いが、前立腺癌患者の0.5%にがみられ、のある患者は年齢・補正後も前立腺癌リスクが1.73倍高いという報告がある12
  • 持続性・再発性の、または血尿の合併
  • 前立腺癌の既往
  • の既往・抗凝固薬(ワルファリン等)内服

40歳未満の単発エピソードでは、これらが無ければ基本検査(・・尿検査)による評価で十分であり、過剰な画像検査は避ける2。

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemospermia'>血精液症</span>"] --> B{"40歳以上、または持続・再発、<br>血尿合併、前立腺癌既往があるか"}
    B -->|"いいえ(40歳未満・単発)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medical interview (history-taking)'>問診</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physical examination'>身体診察</span>・尿検査で経過観察"]
    B -->|"はい"| D["血算・凝固能・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prostate-specific antigen'>PSA</span>・尿検査/培養・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='semen analysis'>精液分析</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transrectal ultrasonography (TRUS)'>経直腸的超音波</span>(TRUS)"]
    E -->|"異常あり"| F["原因病変に応じた精査・治療"]
    E -->|"正常だが症状持続"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flexible cystoscopy'>軟性膀胱鏡</span>を追加"]

まとめ

  • の大多数は炎症・感染性の良性疾患による自然軽快型で、数週間〜1〜24か月で軽快することが多い。
  • 評価の分かれ目は年齢(40歳)と持続・再発の有無。40歳未満の単発エピソードは基本検査で足りる。
  • 40歳以上、持続・再発、血尿合併、前立腺癌既往のいずれかがあれば、TRUSを第一選択とした画像評価に進む。
  • は医原性の最頻原因で、通常は一過性。渡航歴があればも鑑別に入れる。
  • 先天性によるは、周囲の能のためか稀である。

出典

  1. 1.Hematospermia: etiology, diagnosis, and treatment(Reproductive Medicine and Biology・2011)血精液症が全泌尿器科症状の約1%を占め患者と配偶者に強い不安をもたらすこと、病因が炎症・感染性(39〜55%)・腫瘍性(良性/悪性)・結石/囊胞/閉塞性・医原性(前立腺生検が最多で6〜13%、大規模調査では1.2%)・血管性・全身性(重症高血圧、凝固障害、肝硬変)・外傷性・特発性に分類されること、40歳以上では悪性腫瘍の頻度が文献レビューで931例中33例(3.5%)と低いが有意であり前立腺由来が最多であること、Hanらの前立腺スクリーニング研究で血精液症のある患者は年齢・PSA・直腸診で補正後も前立腺癌リスクが1.73倍高かったこと、40歳未満の単発エピソードは基本検査で十分だが40歳以上・持続性/再発性・随伴症状がある場合は悪性腫瘍除外が必要であること、評価に問診(出血の期間・量、性機能・排尿状態)・身体診察・血算・凝固能・尿検査/培養・性感染症検査・精液分析・PSA(40歳以上)を用い画像は経直腸的超音波(TRUS)を第一選択としTRUSが正常でも症状が続く場合にMRIを追加すること、大多数は炎症・感染性病因により数週間〜1〜24か月で自然軽快し特発性血精液症150例の5〜23年間の追跡でも重篤な疾患の発症例が無かったことを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Etiologic classification, evaluation, and management of hematospermia(Translational Andrology and Urology・2017)血精液症が30〜40歳台に多く自然寛解する例が多いこと、40歳以上で高リスク因子(再発症状、血尿の合併、前立腺癌既往)がある患者には泌尿器科医による詳細な精査が必須であること、前立腺癌患者の0.5%に血精液症がみられ精嚢の腺癌や転移性黒色腫の報告もあること、先天性凝固障害(von Willebrand病、プロトロンビン欠乏症)による血精液症が稀である背景に射精管周囲の括約筋・会陰筋による圧迫止血能があると考察されていること、TRUSが最も広く使われ安全・安価で検出率が高く症状が1か月以上続く場合に推奨されること、TRUSで説明がつかない場合や精嚢アミロイドーシスなど特定病態が疑われる場合にMRIまたは軟性膀胱鏡を追加することを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Schistosomiasis (fact sheet)(World Health Organization・2026)上記ファクトシートで、男性性器住血吸虫症(MGS)が射精時痛・血精液症と精嚢・前立腺の病変を来すと記述されていること。閲覧 2026-09-05