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発作性夜間呼吸困難
Paroxysmal nocturnal dyspnea
- 臓器系
- 循環器
- 科目
- Pathophysiology
- トピック
- 病態生理 I-3:心不全の原因と症状
- 関連疾患
- 拡張型心筋症僧帽弁狭窄症肺水腫慢性心不全
🧠 全体像:発作性夜間呼吸困難PND発作性夜間呼吸困難(PND)PND(発作性夜間呼吸困難)は「夜間・臥位で悪化する」という点で起坐呼吸orthopnea起坐呼吸(orthopnea)orthopnea(起坐呼吸)と同じ現象圏に見えるが、発症のタイミングと解除にかかる時間が違う。呼吸困難は心不全を示唆する所見として一文で触れるにとどめているので、ここでは臥位でなぜ悪化するのかという機序と、起坐呼吸orthopnea起坐呼吸(orthopnea)orthopnea(起坐呼吸)との区別に絞る。
なぜ夜間・臥位で悪化するか
日中の立位・坐位sitting position坐位(sitting position)sitting position(坐位)では重力gravity重力(gravity)gravity(重力)の影響で水分が下肢に貯留する(浮腫)。臥位になると、この下肢に貯留していた水分が中心循環へ戻り、静脈還流が増える。同時に、日中に間質へ漏れ出ていた体液も再吸収されて血管内へ戻る。左心が既に前負荷の増加分を代償できない状態(心不全)だと、この還流増加を処理しきれず、肺静脈圧pulmonary venous pressure肺静脈圧(pulmonary venous pressure)pulmonary venous pressure(肺静脈圧)・肺毛細血管圧pulmonary capillary pressure肺毛細血管圧(pulmonary capillary pressure)pulmonary capillary pressure(肺毛細血管圧)が急に上昇して間質性・肺胞性alveolar肺胞性(alveolar)alveolar(肺胞性)の肺水腫が進み、呼吸困難として顕在化する。
💡 同じ「夜間の体液再分布redistribution再分布(redistribution)redistribution(再分布)」は腎からの症状としても現れる。下肢に溜まった水分が夜間に中心循環へ戻ると腎血流renal blood flow腎血流(renal blood flow)renal blood flow(腎血流)が増え、尿産生も増える(夜間多尿nocturnal polyuria夜間多尿(nocturnal polyuria)nocturnal polyuria(夜間多尿))。PNDと夜間多尿nocturnal polyuria夜間多尿(nocturnal polyuria)nocturnal polyuria(夜間多尿)は、同じ再分布redistribution再分布(redistribution)redistribution(再分布)現象が呼吸器側・腎側それぞれに表れたものという関係にある。
睡眠中は覚醒時より換気応答ventilatory response換気応答(ventilatory response)ventilatory response(換気応答)が鈍く、うっ血がある程度進むまで自覚awareness (subjective)自覚(awareness (subjective))awareness (subjective)(自覚)されにくい。そのため発作は入眠直後ではなく、入眠して1〜2時間ほど経ってから、呼吸困難で目を覚ますという経過をとる。
起坐呼吸との違い
| 発作性夜間呼吸困難paroxysmal nocturnal dyspnea発作性夜間呼吸困難(paroxysmal nocturnal dyspnea)paroxysmal nocturnal dyspnea(発作性夜間呼吸困難) | 起坐呼吸orthopnea起坐呼吸(orthopnea)orthopnea(起坐呼吸) | |
|---|---|---|
| 出現のタイミング | 入眠後1〜2時間ほどしてから、突然目が覚めて生じる | 臥位を取った直後に生じる |
| 患者の対応 | 起き上がる、窓を開ける、外気を求めるなど強い反応を伴う | あらかじめ枕を重ねる、上体を起こして眠るなど、臥位そのものを避ける |
| 解除にかかる時間 | 起き上がってから軽快するまで数十分かかることがある | 起座するとおおむね数分で軽快する |
⭐ 「臥位を避けるように行動しているか」を聞けば起坐呼吸orthopnea起坐呼吸(orthopnea)orthopnea(起坐呼吸)は病歴だけで拾える。PNDは眠っているあいだに起こるため、本人は「気づいたら目が覚めて苦しかった」としか語れないことが多い。
⚠️ 新規に出現した、または頻度・強さが増したPNDは、心不全が代償を失いつつある徴候として扱う。 「毎晩ではないから様子を見る」では済まさず、体重増加・下腿浮腫leg edema下腿浮腫(leg edema)leg edema(下腿浮腫)・労作時呼吸困難effort dyspnea労作時呼吸困難(effort dyspnea)effort dyspnea(労作時呼吸困難)の悪化と合わせて治療調整の要否を評価する。
まとめ
- PNDは、臥位による静脈還流の増加と間質液interstitial fluid間質液(interstitial fluid)interstitial fluid(間質液)の再吸収が前負荷を急増させ、代償できない左心がうっ血を起こすことで生じる。
- 睡眠中は換気応答ventilatory response換気応答(ventilatory response)ventilatory response(換気応答)が鈍いため、発作は入眠直後ではなく1〜2時間後に生じる。
- 起坐呼吸orthopnea起坐呼吸(orthopnea)orthopnea(起坐呼吸)は臥位を取った直後に生じ数分で軽快するのに対し、PNDは眠ってから起こり軽快に時間がかかる。