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Symptoms · Published

斜視

Strabismus

臓器系
眼科小児
科目
NeurologyNeurology and Neurosurgery
トピック
神経内科 G2-02:眼球運動・注視の障害神経内科 03:脳神経の診察(Cranial nerves I〜XII)
関連疾患
Saethre-Chotzen症候群眼嚢虫症弱視先天停在性夜盲

🧠 全体像:を診るときにまず切り分けるべきは「本当に眼が動いていないのか、動いているように見えるだけか」ではなく、両眼が常にずれているか、ときどきずれるか、そして視線方向によって、ずれの角度が変わるかどうかである。この2軸——恒常性/間欠性と、/——が、原因を屈折・感覚・・機械的制限のどこに求めるかを決めるになる。乳幼児期のはという不可逆の帰結と地続きであり、成人の急性発症はやという別の緊急性を帯びる——同じ「目が寄る/外れる」という訴えが、年齢によってまったく違う診療の速度を要求する。

定義と用語の整理

とは、両眼が同じ視覚対象に同時に向かっていない状態を指す。正常なに対し、偏位の性質で2つに分けて考える。

用語 何を指すか
が働いている間は正位を保ち、遮閉などでを外したときだけ潜在的な偏位が顕れる
両眼開放下でも常に偏位が表れるのずれ

偏位の方向は、内寄り・外寄り・上方・下方・回旋という向きで表記する1。

⭐ かかが、原因を絞り込む最初のである。 はどの視線方向でも偏位角がほぼ一定で、のようなのに多い。は視線方向によって偏位が変化し、やの機械的制限を強く示唆する1。

発症時期でも区別する——乳児型(生後6か月以内に発症)と後天型で、原因分布も対応も異なる1。

病態生理

の原因は機序で群にまとめると整理しやすい。

群 機序 代表例
屈折性 未矯正の中等度以上のに対する過剰ながを連動させる
片眼の視覚入力が乏しく対象を失った眼が偏位する 、
眼球運動を支配する脳神経の麻痺・麻痺性 ・・
機械的制限 そのもの・眼窩組織のが眼球運動を物理的に妨げる (成人ので最多)1
・症候性 双眼視を統合する神経系の未成熟、に伴う頻度上昇 、1

💡 とは独立した原因ではなく、しばしば同じ患者に重なる。 、特に中等度以上のはの主原因であり、のある小児の19〜50%にが合併するとされる2。

一般人口でのは2〜5%、米国の小児では約3〜4%とされ、早産・で発症リスクが高く、罹患した親を持つ小児は2〜4倍のリスクを負う1。

⚠️ 見逃してはいけないこと

危険度の高い順に並べる。

  • ⚠️ 成人の急性発症は、やを疑って評価する。 急性の、頭痛・嘔吐を伴う症状、や、の偏位、の併存があれば、直ちに画像評価を含めた精査に進む1。小児と異なり成人はのが育っていないため、突然のはほぼ必ずという症状を伴う。
  • ⚠️ 片眼のが先行してからが現れる順序は、や眼内の器質的疾患を疑う手がかりになる。 ではが2番目に多い初発徴候であり、()を伴っていないか眼底・を確認する。
  • ⚠️ の機会損失。 はのうちに介入しなければ治療抵抗性が増していく。「そのうち治る」で経過観察を続けることが最大の落とし穴になる。
  • ⚠️ を機械的制限として見逃さない。 成人発症ので最も頻度が高く、のやはで機械性の関与を確認する対象になる1。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Strabismus'>斜視</span>を疑う偏位・訴え"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cover test'>遮閉試験</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alternate cover test'>交代遮閉試験</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='oblique lie'>斜位</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Strabismus'>斜視</span>か確認"]
    B --> C["視線方向を変えて<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='conjugate'>共同性</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incomitant'>非共同性</span>か評価"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conjugate'>共同性</span><br>(角度が一定)"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refraction test'>屈折検査</span>:<br>中等度以上の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperopia'>遠視</span>があるか"]
    D -->|"あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='accommodative esotropia'>調節性内斜視</span>を疑う"]
    D -->|"なし"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sensory'>感覚性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='developmental'>発達性</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Strabismus'>斜視</span>を再評価"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incomitant'>非共同性</span><br>(視線方向で変化)"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='forced duction test'>強制牽引試験</span>で<br>機械的制限の有無を確認"]
    G -->|"制限あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid eye disease'>甲状腺眼症</span>など<br>機械的原因を疑う"]
    G -->|"制限なし"| I["脳神経III/IV/VI麻痺を疑い<br>成人発症なら画像評価を検討"]

と、AC/A比(正常3〜5:1)の測定だけで、多くはこの段階で絞り込める1。

対応の考え方

保存的治療をまず尽くし、残る偏位に手術を検討するという段階を踏む。

  • が第一段階。 では完全な矯正だけで整列することが多い1。
  • 治療を並行する。 遮閉やによるで視力の左右差を縮める。
  • 手術適応は角度で目安が決まる。 15以上・20以上が手術検討の目安で、先天性では生後12〜24か月が理想的な手術時期とされる。術後目標は10以内、理想的には4以下の偏位である1。
  • 成人の予後は原因疾患の可逆性で決まる。 高度なの回復は難しいことが多いが、の改善や整容的な改善は達成できる1。

まとめ

  • は恒常性/間欠性、/の2軸で整理すると原因が絞り込みやすい。は、は・機械的制限を示唆する。
  • 屈折性()・・・機械的制限・/症候性の5群に分けて考える。とはしばしば重なり、のある小児の19〜50%にが合併する。
  • 成人の急性発症、+症状、・は直ちに評価すべき所見である。片眼が先行するではを含む器質的疾患を疑う。
  • 診断は・・AC/A比測定・を組み合わせる。
  • 治療は・治療を先行させ、15以上・20以上を目安に手術を検討する。

出典

  1. 1.Strabismus(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)斜視を正位(orthophoria)に対する偏位と定義し潜在性(heterophoria)と顕性(heterotropia)に分けること、方向による分類(eso/exo/hyper/hypo、回旋成分)、共同性(comitant:視線方向によらず偏位角一定)と非共同性(incomitant:視線方向で偏位が変化)の区別、乳児型(生後6か月以内)と後天型の区別、原因として未矯正遠視(調節性内斜視)・感覚性(先天白内障などによる視覚入力低下)・脳神経III/IV/VI麻痺・甲状腺眼症(成人の制限性斜視で最多)・ダウン症候群や脳性麻痺などの全身疾患を挙げること、一般人口での有病率が2〜5%で米国小児では約3〜4%であること、早産・低出生体重児で高リスクであり罹患親を持つ小児は発症リスクが2〜4倍であること、成人の急性発症斜視・急性複視・頭痛や嘔吐を伴う場合・眼球突出や上眼瞼後退・急速進行性の偏位・視神経乳頭浮腫の併存は直ちに評価が必要な所見であること、Hirschberg法が瞳孔1mm相当の角膜反射偏位を約7度(14プリズム度)として偏位を推定する簡易法であること、遮閉試験(cover test・交代遮閉試験)が真の斜視を検出する基準的検査であること、AC/A比の正常値が3〜5:1であること、強制牽引試験が眼球運動制限の機械性・神経性の鑑別に用いられ手術前に必須であること、内斜視15プリズム度以上・外斜視20プリズム度以上を手術適応の目安とすること、先天性内斜視の理想的な手術時期が生後12〜24か月であること、術後目標が10プリズム度以内(理想的には4プリズム度以下)の偏位であることを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Amblyopia Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology・2023)弱視のある小児の19〜50%に斜視が合併すること、斜視性弱視が片眼を優位に使い続けることで生じる抑制性の視力低下であることを確認した。閲覧 2026-09-05