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Symptoms · Published

白色瞳孔

Leukocoria

別名
白色瞳孔反射猫目amaurotic cat eye
臓器系
眼科小児
科目
PediatricsEmbryologyMedical Microbiology
トピック
小児科 2-33:新生児・遺伝学的スクリーニングと予防小児科 3-03:小児脳腫瘍と網膜芽細胞腫小児科 3-53:早産の合併症(BPD・ROP・NEC・IVH)発生学 19.4:眼:臨床微生物学 4/32:イヌ回虫・ネコ回虫
関連疾患
Coats病眼トキソカラ症弱視白内障未熟児合併症(気管支肺異形成症・未熟児網膜症・脳室内出血・新生児遷延性肺高血圧症)網膜芽細胞腫網膜剥離

🧠 全体像は診断名ではなく、瞳孔領におけるの異常所見にすぎない。同じ「瞳孔が白く光る」という見た目の裏に、命に関わる眼内悪性腫瘍から治療可能な光路遮断まで重症度の異なる病態が同居しており、臨床の仕事はがあることの確認では終わらず、原因ので切り分けることにある。

定義と用語の整理

所見 内容 臨床的な意味
(本ノートの主題) 瞳孔領が白〜黄白色に光る、の異常所見 網膜より前方または網膜そのものの病変を示唆し、原因検索が必須
の左右差・減弱 両眼を同時に観察したときの明るさ・色調が非対称、または一様に弱い ほど明白でなくても同じ紹介基準に含まれる早期の兆候
撮影角度・フラッシュの反射や周辺部の生理的な眼底反射による見かけ上の白色化 疾患を伴わない。下での再観察で消失すれば否定できる

⭐ 写真で「片眼だけ瞳孔が白く写る」という訴えが受診契機になることが多いが、フラッシュの位置・角度に依存するとの鑑別のため、複数枚・複数の角度で同じ所見が再現するかを確認する。

病態生理

の元になる網膜からの反射光がどこで遮られるかで2系統に分けると整理しやすい。

💡 この機序の違いが鑑別の最初のになる——で腫瘤性病変があればが主要な鑑別に残り、無ければなど非腫瘍性の光路遮断へ比重が移る。

⚠️ 見逃してはいけないもの

危険度の高い順に並べる。

  • ⚠️ の原因の中で唯一、放置すれば生命を失う疾患である。では初発徴候の60〜80%がである一方1に受診した患児層で見るとが最多(約60%)ではそれに次ぐ(約18%)という報告もある2は禁忌で、穿刺は腫瘍細胞の眼外播種を招く。
  • ⚠️ 先天 生命は脅かさないが、が確立する乳児期にが続くとが不可逆に固定するため、診断から手術までの時間が視機能を決める。
  • ⚠️ 早産・の既往がある児で、として顕在化した時点ではすでにまで進行していることが多く、通常のROPスクリーニング時期を過ぎてからの発見は手遅れになりうる。
  • ⚠️ 感染性・寄生虫性の病変で、乳幼児では・充血を欠いたままのみで受診することがあり、腫瘍性病変との鑑別が難しい。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["瞳孔が白く見える・写真で片眼の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='red reflex'>赤色反射</span>が写らない"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary gaze (position)'>正面視</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>下でも<br>再現するか"}
    B -->|"いいえ(撮影角度依存)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudoleukocoria'>偽白色瞳孔</span>として経過観察"]
    B -->|"はい"| D["緊急の小児眼科紹介"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='examination under anesthesia (fundus)'>麻酔下眼底検査</span>で<br>腫瘤性病変があるか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinoblastoma'>網膜芽細胞腫</span>を最優先に疑う"]
    E -->|"なし・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens'>水晶体</span>レベルの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='opacity (turbidity)'>混濁</span>"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital cataract'>先天白内障</span>として評価"]
    F --> H["眼球超音波+造影MRIで進展を評価"]
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='form deprivation amblyopia'>形態覚遮断弱視</span>を防ぐため<br>早期の手術適応を判断"]

⚠️ 画像診断でCTを第一選択にしない。 石灰化の描出には優れるが、小児のへの懸念から超音波と造影MRIへの置き換えが進んでおり、の診断・いずれでも最小限にとどめる1

対応の考え方

という所見そのものに対する治療は存在しない。臨床上の「対症療法」に相当するのは、原因を確定させるための緊急の小児眼科紹介そのものである。

  • AAPを中心とする関連学会は、から以後のすべての健康診査で検査を行い、明るい白色・黄色反射や左右差・減弱があれば小児眼科医へ紹介するよう推奨している3。この乳児健診でのスクリーニングが、を来す全体に対する事実上のにあたる。
  • 原因が確定した後の治療は、それぞれの原疾患(摘出術など)に委ねられ、という所見自体を標的にした介入は存在しない。

まとめ

  • は診断名ではなくの異常所見で、網膜より前方の光路遮断()と網膜自体の白色化()の2系統に機序で分けられる。
  • 撮影角度によるは、下での再現性を確認すれば除外できる。
  • 最優先で除外すべきはで生検は禁忌。次いでのための順に危険度が高い。
  • 鑑別はの確認→年齢・片眼/両眼→下の→超音波・MRIの順に進め、CTは第一選択にしない。
  • 自体への治療は無く、緊急の小児眼科紹介が実質的な対症療法であり、乳児健診のがその入口になる。

出典

  1. 1.Visual System Assessment in Infants, Children, and Young Adults by Pediatricians(American Academy of Pediatrics / American Academy of Ophthalmology・2016)新生児期から以後のすべての健康診査で赤色反射検査を行うべきこと、明るい白色・黄色反射や鈍い・消失した赤色反射、左右差があれば小児眼科医へ紹介すべきことを確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Leukocoria in children(Journal of Pediatric Ophthalmology & Strabismus・2008)白色瞳孔を主訴に受診した小児71例の検討で、原因は先天白内障が60%(片眼18%・両眼42%)と最多で、網膜芽細胞腫が18%(片眼11%・両眼7%)で続くことを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.Retinoblastoma(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)網膜芽細胞腫の初発徴候として白色瞳孔が60〜80%を占めること、CTは石灰化描出に優れるが小児の放射線被曝への懸念から超音波とMRIに置き換わってきていることを確認した。閲覧 2026-08-03