麻酔・集中治療

麻酔・集中治療 · A-07

閉塞性ショック

Obstructive shock: symptoms, diagnostics and therapy

前提:病態
循環性ショックの定義と分類
前提:正常
心臓と心膜静脈循環
疾患
拘束型心筋症循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)

🧠 全体像:は心臓外の機械的障害で心充満または血液が妨げられる病態であり、高リスク肺塞栓、心タンポナーデ、をベッドサイドで見分け、画像確定を待たずに閉塞解除を行う場面がある。

病態と原因

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrathoracic pressure'>胸腔内圧</span>上昇・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrapericardial pressure'>心嚢内圧</span>上昇・肺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular occlusion'>血管閉塞</span>"] --> B["右心への流入または右室<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejection'>駆出</span>を阻害"]
    B --> C["左室前負荷低下"]
    C --> D["心拍出量低下"]
    D --> E["低血圧・臓器低灌流"]

急性の三大原因は次のとおりである。

  1. 心タンポナーデ

三大原因は急性期の実用的整理であり、の全原因を尽くすものではない。やも充満障害を起こすが、多くは慢性病態であり、急性の典型的三大原因とは区別する。1

鑑別

所見 高リスクPE 心タンポナーデ
病歴 突然の呼吸困難、胸痛、リスク 、悪性腫瘍、外傷・処置 外傷、、肺疾患
頸静脈 怒張 怒張 怒張し得る
肺 低酸素、所見は乏しいことも 通常両側換気音あり 片側、胸郭運動低下
心エコー ・機能低下、左室 、右房・右室虚脱、 心臓所見は非特異的
他原因除外に有用 胸水を伴うことあり 消失、、
決定的治療 抗凝固と緊急再灌流 心嚢ドレナージ 即時減圧と

低血圧、頻脈、、、低酸素、意識障害、乏尿、乳酸上昇を評価する。三徴がそろうのを待ってはいけない。

初期アプローチ

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstructive shock'>閉塞性ショック</span>を疑う"] --> B["気道・呼吸・循環を支持"]
    B --> C["心臓・肺・IVCを含む多臓器<span class='jp-term jp-term-diagram' title='point-of-care ultrasound'>POCUS</span>"]
    C --> D{"原因"}
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tension pneumothorax'>緊張性気胸</span>"| E["直ちに胸腔減圧"]
    D -->|"心タンポナーデ"| F["緊急心嚢ドレナージ"]
    D -->|"高リスクPE"| G["抗凝固・緊急再灌流"]
    D -->|"不明"| H["蘇生継続・追加画像・専門科招集"]

心臓・肺・IVCを含む多臓器を、と統合して迅速鑑別に用いる。2 輸液は原因解除までの一時的な前負荷支持に限り、小量ずつ反応をみる。は、心室中隔偏位、ガス交換を悪化させる。低血圧にはを用い得るが、閉塞解除の代用にはならない。

緊張性気胸

は臨床診断である。ショック、片側換気低下、胸郭所見、急激な悪化から疑えば、X線やを待たず直ちに減圧する。

  • 施設手順に従い、十分な長さの針・カテーテルまたは指による胸腔開放でする。
  • 続いて確実なを留置する。
  • は静脈還流低下を増悪させるため、減圧を遅らせない。

心タンポナーデ

上昇によってが障害される。心エコーで、右房・右室の拡張期虚脱、下大静脈拡張、呼吸性流速変動を確認するが、血行動態との統合が必要である。

  • または外科的でする。
  • 血液貯留、、では外科的処置が優先される。
  • 少量輸液やはドレナージまでの橋渡しである。
  • 挿管・は静脈還流を急減させ得るため、可能ならドレナージ準備後に行う。

高リスク肺塞栓症

心停止、、持続性低血圧を伴うPEは高リスクである。不安定患者ではが最初の重要検査となり、所見と高い臨床疑いがあれば緊急治療へ進む。

  • 禁忌がなければが標準的な再灌流治療である。
  • 血栓溶解禁忌または不成功では、外科的またはを施設能力に応じて選ぶ。
  • 出血禁忌がなければ抗凝固を開始する。
  • ではを避け、で冠・全身灌流を支える。選択例ではVA-を再灌流への橋渡しに用いる。

まとめ

  • の三大原因は、高リスクPE、心タンポナーデ、である。
  • ベッドサイド心は迅速鑑別に有用だが、では臨床診断で直ちに減圧する。
  • 心タンポナーデは心嚢ドレナージ、高リスクPEは抗凝固と緊急再灌流が決定的治療である。
  • 輸液・は原因解除までの橋渡しで、はを悪化させ得る。
  • 画像確定を待つ利益と、閉塞解除が遅れる害を常に比較する。

出典

  1. 1.Obstructive Shock, from Diagnosis to Treatment(Reviews in Cardiovascular Medicine・2022)閉塞性ショックの機序、主要原因、POCUSを含む診断と原因解除を中心とする治療の整理閲覧 2026-08-20
  2. 2.Diagnostic accuracy of point-of-care ultrasound for shock: a systematic review and meta-analysis(Critical Care・2023)POCUSはショック病型の鑑別に有用で、とくに閉塞性ショックで高い特異度を示したこと閲覧 2026-08-20