Dermatology

Dermatology · 1-12

ハンセン病とリーシュマニア症の臨床病型・治療

Leprosy and Leishmaniasis Clinical Forms and Treatment

前提:病態
ヒト結核の起因菌、らい菌リーシュマニア
前提:正常
Tリンパ球と細胞性免疫応答
疾患
ハンセン病リーシュマニア症

🧠 全体像は皮膚病変の知覚低下と末梢神経障害を軸に診断し、で神経を防ぐ1は皮膚型・・内臓型でと治療が異なり、菌種ではなく原虫種、感染地域、宿主、病変部位を統合して治療を選ぶ2

ハンセン病

などによる慢性抗酸菌感染で、低温部位を好み、皮膚、末梢神経、上気道粘膜、眼、精巣を侵し得る。は長く、感染から発症まで数年を要することが多い1

診断の三徴候

次の少なくとも1つを確認する1

  1. 淡色または紅色皮疹に明らかな知覚低下がある。
  2. 末梢神経が肥厚し、その支配領域に知覚低下または筋力低下がある。
  3. または組織で抗酸菌を認める。

免疫反応によるスペクトラム

病型 免疫・菌量 典型像
細胞性免疫が強く菌量が少ない 少数で境界明瞭な〜紅色局面、辺縁隆起、中央萎縮、発汗・毛・知覚の消失、非対称神経肥厚
中間で不安定 の中間。斑、丘疹、局面と不均一な知覚低下
細胞性免疫が弱く菌量が多い 左右対称の多数の斑・丘疹・結節、びまん性浸潤、毛脱落、、耳朶肥厚、広範な神経障害
早期で分類困難 少数の淡色〜紅色斑と軽い知覚変化。自然軽快または他病型へ進展

⚠️ 病変が無痛であること自体より、温痛覚・触覚の低下とが重要である。神経障害、眼障害、手足の外傷・潰瘍を系統的に評価する。

WHO治療分類と多剤併用療法

治療分類 目安 WHO推奨の基本
通常5個以下の皮疹で、神経障害やスメア陽性を伴わない リファンピシンを6か月
6個以上の皮疹、神経障害、またはスメア陽性 同じ3剤を12か月

地域の指針により治療期間と薬剤構成は異なる1。日本学会の2013年指針では、はリファンピシン+を6か月とし、治療前の菌指数が3を超える高菌量は3剤を2年間投与する。3

単剤を5年、またはリファンピシンとを数年間〜無期限に投与する旧来の処方は、耐性と毒性の点から用いない。治療開始後に炎症が悪化するは再発とは限らない。

反応 特徴 対応の原則
1型反応 既存皮疹・神経の・筋力低下 多剤療法を継続し、神経障害では速やかに副腎皮質ステロイドなどを専門管理
2型反応/らい性 発熱、有痛性結節、全身臓器炎症 重症度に応じステロイド、、厳格管理下のなど

リーシュマニア症

により媒介される。20種を超える原虫がヒト疾患を起こし、同じでも地域により原因種と薬剤反応が異なる2

三つの臨床型

病型 臨床像 診断・危険性
刺咬部の丘疹・結節が無痛性潰瘍へ進み、深い瘢痕を残し得る 病変組織の鏡検・培養・PCR。顔面・関節部・多発・大病変は複雑例
皮膚病変から数年後にも鼻・口腔・咽頭の炎症、鼻閉、潰瘍、組織破壊 主に中南米のと関連。気道・を来し、全身治療が必要
長期発熱、体重減少、肝脾腫、。皮膚色調変化を伴い得る 未治療では致死的。迅速な寄生虫学的/血清学的診断と全身治療が必要

旧世界の皮膚型ではL. tropicaなど、新世界の粘膜病変リスクではL. braziliensisを含む、内臓型ではL. donovani・L. infantumが重要である。ただし、を単一種だけに固定しない。

治療選択

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leishmaniasis'>リーシュマニア症</span>を寄生虫学的に確認"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Clinical Types'>臨床型</span>"}
    B --> C["単純な皮膚型"]
    B --> D["複雑な皮膚型または粘膜リスク"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal'>粘膜型</span>・内臓型"]
    C --> F["自然治癒観察または局所治療を選択"]
    D --> G["原虫種・地域に応じ全身治療"]
    E --> H["専門施設で速やかな全身治療"]
  • 自然治癒傾向があり粘膜病変リスクの低い単純皮膚病変は、合意の上で経過観察または・温熱療法・病変内治療などを選べる。
  • 多発、大型、顔面・関節部、免疫不全、粘膜病変リスクのある皮膚型は全身治療を考える。
  • 全身薬にはなどがあるが、原虫種、地域、妊娠、併存症で選択と用量が変わる2
  • と内臓型は専門施設で治療し、酸単剤を全例へに用いない。

まとめ

  • では皮疹の知覚低下、神経肥厚、抗酸菌のいずれかを確認する。
  • WHO標準はPB 6か月、MB 12か月のリファンピシン・3剤併用である。
  • は皮膚・粘膜・内臓型に分け、原虫種と感染地域を含めて治療を選ぶ。
  • と内臓型、の急性神経障害は機能障害を防ぐため緊急性が高い。

出典

  1. 1.Leprosy: A Review of Epidemiology, Clinical Diagnosis, and Management(2022)ハンセン病が主に皮膚と末梢神経を侵し、宿主免疫に応じた臨床スペクトラムを示すこと、および早期診断と多剤併用療法が長期障害の予防に重要であることを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Diagnosis and Treatment of Leishmaniasis: Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America and the American Society of Tropical Medicine and Hygiene(2016)リーシュマニア症を皮膚型・粘膜型・内臓型に分け、原虫種、感染地域、宿主、病変部位を統合して診断と治療を個別化する原則を確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Guidelines for the treatment of Hansen's disease in Japan (third edition)(2013)日本ハンセン病学会の2013年指針では、少菌型をリファンピシンとダプソンで6か月治療し、治療前BIが3を超える高菌量多菌型では3剤を2年間投与することを裏付ける。閲覧 2026-08-13