組織病理学

組織病理学 · H2-069A

慢性腎盂腎炎

Chronic pyelonephritis

描出疾患
急性腎盂腎炎・腎膿瘍

🧠 全体像:は、尿路閉塞またはを背景に、変形を伴う不均一な尿細管間質瘢痕を形成する病態である。現在は病因に応じ、・閉塞性腎障害として整理する。

進展

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vesicoureteral reflux (VUR)'>膀胱尿管逆流</span>または尿路閉塞"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary stasis'>尿停滞</span>・腎内逆流"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recurrent infection'>反復感染</span>・尿細管間質傷害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular atrophy and interstitial fibrosis'>尿細管萎縮・間質線維化</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gross (motor)'>粗大</span>で不均一な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cortical scarring'>皮質瘢痕</span>"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal calyx'>腎杯</span>鈍化・変形"]
    D --> G["高血圧・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic kidney disease, CKD'>慢性腎臓病</span>"]

病理

所見 意義
な に対応する不均一な実質収縮
鈍化・変形 を支持
腎盂壁肥厚・線維化 反復する慢性傷害
甲状腺様変化 萎縮尿細管内の好酸性円柱
・慢性炎症 尿細管間質の慢性傷害
二次性 減少後の変化

、結石、腫瘍などの閉塞原因を検索する。では小児期の、腎内逆流、先天性腎実質形成異常が重要で、瘢痕をすべて感染後変化と断定しない。逆流に伴う腎障害は、の逆流と膀胱内圧動態による腎(最重症型が)と、感染後に生じる後天性瘢痕とで機序が別であり、低圧の無菌性逆流そのものはを起こさないとされる1。一方、を伴うは新たなのリスクを高める2。

💡 逆流のグレードが瘢痕リスクを決める。 発熱性・有症状尿路感染の後にグレード1〜4のと診断された2〜71か月児607例の無作為化試験(RIVUR)では、2年の追跡終了時にを認めたのは児の10%・の5%で(登録前からの瘢痕を含む。新たに瘢痕が生じたのは58例中40例)、グレード4のは逆流のないに比べ新規瘢痕のが24.2(95%信頼区間6.4〜91.2)だった。登録前に2回目の尿路感染を起こしていた児でも2.85と高い2。

尿細管の濃縮障害により早期には多尿・夜間尿を来し、進行するとに至る。高血圧を合併することも多い。

鑑別と管理

病態 主な形態
不均一瘢痕、変形、甲状腺様変化
細小動脈硬化と比較的均一な萎縮
、、結節性硬化

は培養に基づき治療し、閉塞を解除する。瘢痕だけを理由に抗菌薬を継続しない。RIVUR試験ではST合剤のを2年続けても新規は6%対7%とと差がなく、予防投与はリスクを下げなかった2。血圧、蛋白尿、腎機能を管理する。糖尿病性病変は、進行後の共通形態はを参照する。

はから腎を保護するものではなく、虚血性腎障害とレニン依存性高血圧を起こしうる。

と既存瘢痕の区別を含む正準ノートはを参照する。

まとめ

  • 不均一瘢痕と対応する変形が重要である。
  • 逆流型と閉塞型を病因から区別する。
  • 感染、閉塞、高血圧、を個別に管理する。

出典

  1. 1.Vesicoureteral reflux associated renal damage: congenital reflux nephropathy and acquired renal scarring(The Journal of Urology・2010)膀胱尿管逆流に伴う腎障害には先天性(congenital reflux nephropathy)と後天性(感染後の腎瘢痕)があり病態機序が異なること、先天性障害の最重症型が腎異形成で、胎生期の逆流と膀胱内圧動態による腎発生の障害が機序として想定されること、後天性障害は細菌側・宿主側因子と炎症反応の相互作用によること、逆流例で急性腎盂腎炎と腎瘢痕の危険因子となるのは逆流グレードの高さ・排尿機能障害・腎盂腎炎の反復・抗菌薬開始の遅れであること、低圧の無菌性逆流は逆流性腎症の原因にならないことを確認した閲覧 2026-08-24
  2. 2.Renal Scarring in the Randomized Intervention for Children with Vesicoureteral Reflux (RIVUR) Trial(Clinical Journal of the American Society of Nephrology・2016)発熱性・有症状尿路感染後にグレード1〜4の膀胱尿管逆流と診断された2〜71か月児607例の無作為化試験で、2年の追跡終了時の腎瘢痕は599例中58例(10%)・1,197腎単位中63単位(5%)で、これは登録前からの瘢痕を含み、うち新規瘢痕は40例・43腎単位であったこと(PMC4702233の全文で確認)、新規腎瘢痕の割合はST合剤予防投与群6%とプラセボ群7%で差がなく予防投与は腎瘢痕リスクを下げなかったこと、腎瘢痕は登録前に2回目の尿路感染を起こした児(オッズ比2.85、95%信頼区間1.38〜5.92)と高グレード逆流(同2.79、1.56〜5.0)で有意に多く、グレード4の腎単位では逆流のない腎単位に比べ新規瘢痕のオッズ比が24.2(6.4〜91.2)に達したことを確認した閲覧 2026-09-24