組織病理学

組織病理学 · H2-070B

胎児性癌

Embryonal carcinoma

描出疾患
精巣腫瘍

🧠 全体像:は、未分化な原始上皮様細胞からなる侵襲性の高いである。純粋型よりの一成分として多く、若年成人に発生する。

病理

flowchart TD
    A["GCNIS"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Embryonal carcinoma'>胎児性癌</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='solid'>充実性</span>・腺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular'>管状</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='papillary architecture'>乳頭状構築</span>"]
    B --> D["出血・壊死"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphovascular invasion'>脈管侵襲</span>"]
    E --> F["早期<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphatic'>リンパ行性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hematogenous metastasis'>血行性転移</span>"]
所見
肉眼 不整で出血・壊死が目立つ 均一な灰白色で出血・壊死に乏しい
細胞 、好塩基性〜両染性細胞質 大型で均一、質
構築 、腺、 ・小葉状
間質 壊死・を伴いやすい とリンパ球
免疫 OCT3/4、、、12 OCT3/4、SALL4、KIT、D2-401

や成分を認めれば、純粋なではなくとして各成分を記載する。、精巣上体、精索、脈管への浸潤は病期評価に重要である。もも思春期後型であれば同じGCNISをとするため、周囲のGCNISの有無は組織型の決め手にはならず、思春期後型か思春期前型かの手掛かりになる3。

💡 で決め、では決めない。 はの93〜100%で陽性、では0〜6%にとどまり、逆にKIT()はの92%・の0%と、2つで鑑別がほぼ決まる1。一方は落とし穴で、AE1/AE3はたしかにの94%で陽性になるが、でも36%が陽性(CK7で41%、CAM 5.2で30%)になる。PLAP(胎盤型)も100%・76%と両方に出るためであることの傍証にとどまる。CK20とはどちらも陰性である2。

診断と治療

、β-、をの前後に測定し、画像と摘除標本で病期を決める。だけで組織型を確定しない。

として、病期Iでは、、画像、確実な追跡の可否に基づき、監視療法または補助的・・シスプラチン()療法を選ぶ。

💡 成分そのものが病期Iの再発危険因子である。 病期I1,226例を監視した研究では、精巣摘除単独後の5年再発率は30.6%で、・成分・浸潤が揃う群は50%、危険因子のない群は12%と大きく分かれた。再発の80%は1年以内に起こり、再発までの中央値は5か月である。それでも再発時に直ちに全身治療を行えば15年は99.1%に達するため、監視療法は高リスク例を含めても安全な方針とされる4。神経温存は、化学療法を避ける合理的理由がある場合など、経験のある施設での選択例に限って検討する。転移例ではシスプラチンを行い、マーカー正常化後のは切除を検討する。との違いはを参照する。

まとめ

  • 不整な腫瘤、出血・壊死、多彩な上皮様構築が特徴である。
  • 他の胚細胞成分があれば混合型として扱う。
  • の病期・に基づき治療する。

出典

  1. 1.D2-40 immunohistochemistry in the differential diagnosis of seminoma and embryonal carcinoma: a comparative immunohistochemical study with KIT (CD117) and CD30(Modern Pathology・2007)精巣胚細胞腫瘍40例の検討で、CD30は胎児性癌の93%に陽性・セミノーマでは0%、KIT(CD117)はセミノーマの92%に陽性・胎児性癌では0%であり、両者の組み合わせがセミノーマと胎児性癌の鑑別に有効であること、D2-40はセミノーマ全例で陽性となるが胎児性癌の29%にも巣状陽性を示すため鑑別能が限られることを確認した閲覧 2026-08-24
  2. 2.Cytokeratin expression in seminoma of the human testis(American Journal of Clinical Pathology・2000)セミノーマ64例と胎児性癌17例の免疫染色比較で、AE1/AE3は胎児性癌の94%・セミノーマの36%に、CK7は100%・41%に、CAM 5.2は88%・30%に陽性となりサイトケラチン陽性はセミノーマを否定しないこと、CD30は胎児性癌の100%・セミノーマの6%、PLAP(胎盤型アルカリホスファターゼ)はセミノーマの100%・胎児性癌の76%に陽性であったこと、CK20と高分子量ケラチンは全例陰性であったこと、サイトケラチン陽性セミノーマと陰性セミノーマで年齢・病期・腫瘍径・転帰に差がなかったことを確認した閲覧 2026-08-24
  3. 3.The World Health Organization 2016 classification of testicular germ cell tumours: a review and update from the International Society of Urological Pathology Testis Consultation Panel(Histopathology(Williamson SR, Delahunt B, Magi-Galluzzi C, et al., ISUP Testicular Tumour Panel)・2017)WHO 2016分類が精巣胚細胞腫瘍を発生機序で組み替え、共通の前駆病変をgerm cell neoplasia in situ(GCNIS)と名づけ、GCNIS由来の思春期後型腫瘍とGCNIS非由来の思春期前型腫瘍を区別したことを確認した閲覧 2026-08-24
  4. 4.Surveillance for stage I nonseminoma testicular cancer: outcomes and long-term follow-up in a population-based cohort(Journal of Clinical Oncology・2014)脈管侵襲のある高リスク例も含めて監視療法を行った病期I非セミノーマ1,226例で、精巣摘除単独後の5年再発率は30.6%であったこと、脈管侵襲・胎児性癌成分・精巣網浸潤が揃う群の再発リスクは50%、危険因子のない群は12%であったこと、再発の80%は摘除後1年以内に診断され再発までの中央値は5か月、5年を超える再発は全体の0.5%にとどまったこと、それでも15年疾患特異的生存率は99.1%であり、再発時に直ちに全身治療を行う前提なら監視療法は安全な方針であることを確認した閲覧 2026-08-24