Obstetrics

Obstetrics · 36

分娩中の胎児機能不全の検出

Detection of fetal distress during labor

前提:正常
心血管系:胎児循環循環の神経体液性・反射性調節:圧受容器反射と化学受容器反射

🧠 全体像は子宮収縮のたびに子宮胎盤血流が一時的に減る。胎児心拍をまたはで監視し、波形を母体状態、収縮頻度、分娩進行と一緒に読む。「胎児仮死」と即断するのではなく、原因を是正し、改善しない異常波形では速やかに分娩する。

用語

」は曖昧なため、または非良好胎児状態と表現し、異常所見を具体的に記載する。CTGは酸血症の可能性を評価するスクリーニングであり、単一波形だけで神経障害を確定しない。

監視方法の選択

間欠的聴診

低リスク分娩では、または携帯ドプラを用いる。収縮直後を含め十分な時間聴取し、母体脈拍と区別する。

  • 頻度はに従う。一般に第1期は15〜30分ごと、第2期は5〜15分ごとを目安とする。
  • 、リズム、収縮後徐脈の有無を記録する。
  • 、新規リスク、オキシトシン使用、、出血、発熱、胎便などが出現したら連続CTGへ切り替える。

連続CTGの主な適応

  • 糖尿病、異常ドプラ
  • 、既往帝王切開
  • ・オキシトシン増強
  • 母体発熱、感染疑い、性器出血
  • 胎便、で異常

低リスク例への連続CTGは介入・帝王切開を増やす可能性があるため、リスク評価と本人への説明に基づき選ぶ。

外測法と内測法

方法 測定 条件・注意
外測胎児心拍 腹壁ドプラ 非侵襲的、未破水でも可能 母体心拍との混同、体動で途切れる
外測陣痛 トコダイナモメータ 収縮頻度・持続を測る 収縮強度を正確には測れない
直接胎児ECG 心拍を精密に測る 破水とが必要。感染・頭皮損傷リスク
内圧 収縮強度を測る 破水が必要。感染、胎盤・子宮損傷リスク

は母体HIV、活動性性器HSV、HBV/HCVなど血液媒介感染、胎児などでは原則避ける。は外測不良や収縮強度評価が臨床判断を変える場合に限る。

CTGの基本波形

基線と細変動

  • 正常:110〜160 bpm
  • 徐脈:10分以上110 bpm未満
  • 頻脈:10分以上160 bpm超
  • 中等度(6〜25 bpm)は、その時点の重い代謝性酸血症の可能性が低いことを示す。
  • 最小・消失細変動は胎児睡眠、薬剤、早産、低酸素・酸血症で起こり、を合わせて読む。

一過性頻脈

32週以降は15 bpm以上・15秒以上、32週未満は10 bpm以上・10秒以上の上昇である。存在すれば良好だが、ほかが正常なCTGで加速がないことだけを異常としない。

一過性徐脈

形と収縮との関係 主な機序 解釈
緩徐で収縮を鏡像化し、最下点は収縮頂点付近 児頭圧迫 通常良性
遅発 緩徐で、最下点が収縮頂点より遅れる 子宮胎盤酸素交換低下 反復・細変動低下を伴うほど懸念
変動 で形・タイミングが変わる 臍帯圧迫 単発は多い。反復、深い・長い、回復遅延は懸念
遷延 15 bpm以上低下し2分以上10分未満 多様:低血圧、、剥離など 3分以上なら緊急評価。10分以上は変化

低酸素」「は常に酸血症」とは言えない。反復性は20分間の収縮の50%以上に出現することを指し、深さだけでなく持続、回復、細変動、上昇、臨床リスクを統合する。

子宮収縮の評価

は30分平均で10分間に5回を超える収縮である。オキシトシン使用の有無にかかわらず、胎児心拍変化を伴うかを記載する。

異常波形への初期対応

flowchart TD
  A["異常CTGを認識"] --> B["母体脈拍と胎児心拍を確認・応援要請"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='umbilical cord prolapse'>臍帯脱出</span>・胎盤早期剥離・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uterine rupture'>子宮破裂</span>を除外"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral position'>側臥位</span>など体位変更・仰臥位を避ける"]
  D --> E["オキシトシン減量または中止"]
  E --> F["低血圧・発熱・低酸素・頻収縮を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cause-specific treatment'>原因別治療</span>"]
  F --> G{"速やかに改善するか"}
  G -->|"はい"| H["連続監視・原因再評価"]
  G -->|"いいえ"| I["緊急分娩を準備・経腟または帝王切開"]
  • 母体を動かすかにし、仰臥位を避ける。
  • オキシトシンを減量・中止する。
  • 後などの母体低血圧にはを適切に用いる。低血圧や敗血症がなければ、CTG異常だけに大量輸液を行わない。
  • 頻収縮が続けばなどのを検討する。
  • 母体が正飽和度なら、胎児蘇生目的のルーチン酸素投与を行わない。母体低酸素血症には投与する。
  • 急性徐脈・では、、母体低血圧を直ちに検索する。

分娩判断

  • NICHDカテゴリーIIIまたは病的波形が是正処置で改善しなければ、速やかな分娩を行う。
  • が低く、安全なが直ちに可能なら吸引・を選べる。
  • それ以外は緊急帝王切開を行う。
  • 「異常波形なら全例30分以内」という固定ルールではなく、急性イベント、波形持続、分娩進行、施設能力に基づき、必要な症例ではさらに早く娩出する。

胎便と母体発熱

  • 胎便は成熟・でもみられ、単独で低酸素を確定しない。濃厚胎便、異常CTG、感染リスクを統合する。
  • 分娩時発熱は関連発熱、脱水などを鑑別し、母体頻脈・胎児頻脈・・羊水臭を確認する。
  • 胎便または感染リスクがあればチームへ事前連絡する。

補助検査

胎児頭皮刺激・血液採取

デジタル頭皮刺激後の加速は酸血症の可能性が低い所見である。頭皮血pHまたは乳酸測定は、採取不能・遅延・エビデンスの限界があり、利用は国・施設で異なる。明らかな急性イベントや重篤波形で分娩を遅らせない。

胎児パルスオキシメトリ

破水後にセンサーを胎児頬へ当てる方法が研究されたが、周産期転帰改善が示されず、ルーチン使用しない。

まとめ

  • 低リスク分娩は、高リスク・新規異常・オキシトシン使用時は連続CTGを選ぶ。
  • は児頭圧迫、遅発は子宮胎盤酸素交換低下、変動は臍帯圧迫を示唆するが、単一波形だけで酸血症を断定しない。
  • 異常CTGでは急性イベントを除外し、体位、オキシトシン中止、低血圧・頻収縮などの原因治療を行う。
  • 飽和度の母体へルーチン酸素を投与せず、改善しない重篤波形では固定時間ルールに頼らず速やかに分娩する。