腫瘍学

腫瘍学 · II-33

中枢神経系腫瘍の放射線療法

Radiotherapy of central nervous system tumours

前提:病態
抗がん薬II(DNA標的細胞傷害性薬)
前提:正常
中枢神経・神経解剖:脳室と脳脊髄液中枢神経・神経解剖:大脳
疾患
髄芽腫放射線壊死
画像所見
偽性進行

🧠 全体像:CNS腫瘍の放射線療法は、腫瘍型、分子分類、切除範囲、播種リスクで局所照射かかを選ぶ。長期生存が見込まれるほど、・内分泌・成長・血管への晩期影響を抑える設計が重要になる。

神経膠腫

病態 RTの原則
変異低グレード 肉眼的全摘後の低リスク例では経過観察も可。高リスク例はRT単独ではなくRT+(TMZまたはPCV)を行う
(変異・、grade 2/3) 局所RT+PCVが標準。はPCVに耐えられない場合の代替で、先行使用を支持する高水準の証拠はない
星細胞腫(変異、1p/19q非)grade 3 局所RT+補助
glioblastoma, -wildtype 最大安全切除後、局所分割RT+に続けて6か月の維持
再発 既、再発体積、間隔、全身状態により、手術、薬物療法を選択

⭐ grade 3の変異腫瘍で「TMZまたはPCV」と一括りにしない。があればPCV、なければTMZが第一の組み合わせである。1

MRIでGTV・CTVを定義し、IMRT/VMATなどで正常脳、海馬、視神経、脳幹への線量を抑える。は選択例で腫瘍範囲や再発鑑別を補助する。

上衣腫

  • 小児のでは、量にかかわらず術後に局所照射を行う。 「完全切除できたから照射不要」とはしない。分子群は予後を分けるが、分子群ごとに照射を省略・変更する運用を標準化する段階にはまだない。2
  • 成人では、とのgrade IIに照射を行う。脊髄は全摘が基本で、例に照射する。2
  • 多くはへの局所照射で、脳脊髄液播種が確認された場合にを検討する。
  • 「high-riskなら一律CSI」という整理は過度に単純化されている。

髄芽腫

flowchart TD
  A["最大安全切除+脳脊髄<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>/髄液で病期評価"] --> B["分子群・年齢・残存・播種でリスク分類"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='craniospinal irradiation (CSI)'>全脳脊髄照射</span>(CSI)<br>線量はリスク別:平均リスクは減量CSI、高リスクは強化"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior fossa'>後頭蓋窩</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor bed boost'>腫瘍床ブースト</span>"]
  D --> E["リスク別化学療法"]

CSIは全例同じ線量ではない。平均リスクでは減量CSI++化学療法が標準で、高リスクでは線量・分割・化学療法を強化する。3

乳幼児では神経のためRT回避・延期戦略を用いることがある。は正常組織の低減に有利で、小児では光子線に比べ神経認知・内分泌の合併症が少ないと報告されている(無作為化試験はない)。3

髄膜腫

  • 小型で無症候性なら画像監視が可能。
  • 残存、再発、高grade、手術困難例では分割RTまたはを用いる。
  • 腫瘍径、視神経・脳幹との距離、浮腫、病理gradeで単回SRSかかを選ぶ。

有害事象

急性には脱毛、頭痛、悪心、浮腫、晩期には神経、、聴覚障害、、血管障害、がある。副腎皮質ステロイドは症候性浮腫に必要最小限で用いる。

まとめ

  • RTはと切除範囲に基づき化学療法と統合する。
  • CSIはの柱だが、では播種がなければ通常局所照射である。
  • 精密照射で正常脳への線量を減らし、長期毒性を見越して計画する。

出典

  1. 1.Therapy for Diffuse Astrocytic and Oligodendroglial Tumors in Adults: ASCO-SNO Guideline(2022)乏突起膠腫(IDH変異・1p/19q共欠失、grade 2/3)にはRT+PCVを提示しTMZはPCV不耐時の代替であること、IDH変異星細胞腫grade 3にはRT+補助TMZを提示すること、grade 2星細胞腫にはRT+補助化学療法(TMZまたはPCV)を提示すること、IDH野生型膠芽腫にはRT同時併用TMZ後に6か月の維持TMZを行うことを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.EANO guidelines for the diagnosis and treatment of ependymal tumors(2018)小児の頭蓋内上衣腫(WHO grade II/III)では残存腫瘍量にかかわらず術後に局所照射を行うこと、成人では退形成性上衣腫と不完全切除のgrade II上衣腫に照射を行うこと、脊髄上衣腫では全摘が基本で不完全切除例に照射することを確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Brain tumors: Medulloblastoma, ATRT, ependymoma(2021)平均リスク髄芽腫では減量した全脳脊髄照射+腫瘍床ブースト+化学療法が標準で、高リスク例では線量・分割の強化が検討されていること、陽子線治療が光子線に比べ神経認知・内分泌の合併症が少ないことを確認した。閲覧 2026-08-13