Physiology

Physiology · 2.6

動脈血圧の測定。動脈血圧に影響する因子。

Measurement of arterial blood pressure. Factors influencing arterial blood pressure.

応用トピック
高血圧I―病因と診断高血圧II―治療と高血圧性心疾患小児・思春期の高血圧
症状
橈骨脈拍減弱

🧠 血圧に影響する因子は「入ってくる量(CO)」「出ていく抵抗」「容れ物の硬さ(コンプライアンス, compliance)」の3に集約される。 どのが変化したかによって、・脈圧・のどれが変わるかがきれいに分かれる——このが臨床解釈(高齢者の血圧変化など)に直結する。

動脈血圧の測定

上腕で測定する血圧はの圧を表し、大動脈そのものの圧とは異なる。

方法 内容
カテーテル挿入。では大動脈に比べP_sysが高く、P_diaが低い→P_pulseは大きくなる
auscultatory method) カフをP_sysより高く加圧後、ゆっくり減圧。最初の拍動音(Korotkoff音, Korotkoff sound)=(通常120mmHg)、音の減弱・消失=(通常80mmHg)

大動脈圧プロファイルの基準値

指標
P_sys(systolic pressure) 120 mmHg
P_dia(diastolic pressure) 80 mmHg
脈圧 P_pulse(pulse pressure、= P_sys − P_dia) 40 mmHg
P_mean(mean arterial pressure) 93 mmHg
Pmean=1×Psys+2×Pdia3=93 mmHgP_{mean} = \frac{1 \times P_{sys} + 2 \times P_{dia}}{3} = 93\ \text{mmHg}

💡 が「1:2」の重み付けになるのは、の約2/3を拡張期が占めるから。 心拍数が上がると収縮期より拡張期の短縮が大きいため、P_sysとP_dia が近づき、結果としてP_meanは上昇する(HR↑→P_mean↑)。

動脈血圧に影響する因子

血圧を決めるは、物理的(血液量・コンプライアンス)と生理的(CO・TPR)に大別できる。

flowchart TD
  A["動脈血圧"]
  A --> B["物理的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Parameter'>パラメータ</span>"]
  A --> C["生理的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Parameter'>パラメータ</span>"]
  B --> B1["血液量:多いほど血圧↑"]
  B --> B2["コンプライアンス(V/P):高いほど同じ血液量での圧上昇は小さい"]
  C --> C1["心拍出量 CO = SV×HR:系に入る量"]
  C --> C2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total peripheral resistance, TPR'>総末梢血管抵抗</span> TPR:系から出ていく際の抵抗"]

各因子が変化したときの圧パターン

変化した因子 P_sys P_dia P_pulse P_mean
CO↑(SV↑またはHR↑) ↑↑ ↑(拡大)
TPR↑ 変化なし ↑↑
コンプライアンス↓(動脈硬化 arteriosclerosis・加齢) ↑↑ 変化なし
血液量↑ SV↑を介してCO↑と同じ経路
粘度↑(↑) 変化なし TPR↑と同じ経路でR↑

3つの変化パターンの見分け方が重要。 CO↑はP_sysとP_dia両方を上げるがP_sysの方が大きく上がるため脈圧も広がる。TPR↑はP_sysとP_dia を同じだけ上げるため脈圧は変化しない。コンプライアンス↓(動脈硬化)はP_sysを上げP_dia を下げるため脈圧が大きく広がるが、はほぼ変化しない。加齢による血圧変化は主にこの3パターン目()で説明される。

その他の因子

因子 機序・効果
体位で変化。1 cmH₂O ≈ 0.7 mmHg。立位では下肢の圧が上昇するが、臥位では動脈・静脈とも同程度に影響を受け両者の自体は変わらない
性別(ホルモン) エストロゲン→TPR↓→血圧低め。テストステロン=血管収縮作用→TPR↑→血圧高め
気候 温暖環境→皮膚細動脈拡張→TPR↓→血圧低下
睡眠・情動 血圧に影響(自律神経を介する)
運動 CO↑、同時に骨格筋の血管拡張でTPR↓(2-11-circulation-of-the-skeletal-muscle-circulatory-effects-of-physical-exercise参照)

まとめ

  • 血圧測定はKorotkoff音(収縮期=出現、拡張期=消失)によるが標準。P_mean = (P_sys + 2×P_dia)/3。
  • CO↑は脈圧を拡大させながら全体を上げ、TPR↑は脈圧を変えずに全体を上げ、コンプライアンス↓(加齢)は脈圧だけを広げは変えない——この3パターンの区別が要点。
  • ・性ホルモン・気候・運動なども血圧に影響し、いずれもCO・TPR・コンプライアンスのいずれかを介して作用する。