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Disease Atlas · 呼吸器 · 先天性疾患

先天性横隔膜弛緩症

Eventration of the diaphragm

別名
Diaphragmatic eventration横隔膜弛緩症
臓器系
呼吸器小児
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
発生学 11.4:体腔:臨床
鑑別疾患
横隔膜機能不全(横隔神経麻痺)先天性横隔膜ヘルニア
合併症
成長不良
症状
呼吸困難頻呼吸咳嗽

🧠 全体像:は、横隔膜に穴が開くのではなく、頸部体節由来の筋前駆細胞の遊走・筋性化が先天的に不十分なために筋層が薄い線維弾性組織へ置き換わり、に押されて半横隔膜が異常に高く挙上する病態である1。⚠️ との最大の違いは「」の有無にある——弛緩症では容と腹腔内容は依然として横隔膜(と胸膜の層)で隔てられているのに対し、では後外側の真の欠損孔を通って腹部臓器が直接へ脱出する2。多くは無症候性で偶発的に発見されるが、⭐ の重度呼吸窮迫や、両側性での高い死亡率を来しうる病態でもある34。

病因

先天性では頸部体節由来の筋前駆細胞が横隔膜(胸膜腹膜ヒダ)へ遊走し筋性化する過程が不十分となり、が菲薄な線維弾性組織に置き換わることで生じると考えられている1。片側性は先天性の筋形成不全または腱の菲薄化により、腱の一部が上方へ膨隆する形で生じる2。

💡 横隔膜を形成する複数の構成要素(胸膜腹膜ヒダ・筋前駆細胞・)のどこに発生不全が生じるかで、・弛緩症・欠損という異なる病態に分かれる。 いずれも「横隔膜の完成」という単一のの部分的な破綻である。

疫学

片側性のはmost commonly anteromediallyに生じ、ほぼ常に右側に多い2。3施設・33例の小児外科症例シリーズ(手術適応となった症候性例に限る)でも右側性22例・左側性11例と右側に偏っていた3。

臨床像

⚠️ 片側性か両側性か、部分性か全体性かで臨床像が大きく異なる。

  • 無症候性(片側・部分性に多い):などで偶発的に発見されることが多い2。
  • 症候性:呼吸困難・頻呼吸・を来しうる2。33例の症例シリーズでは全例が咳嗽・呼吸窮迫・発熱のいずれかの呼吸器症状を呈し、新生児3例は重度の呼吸窮迫で受診、年長児は反復性・急性の肺感染症とを呈した3。
  • 両側性:ほぼ一様に乳児期にで発症し、死亡率が高い4。

⚠️ 年長児・成人での遅発性の弛緩症は急性を合併しうる。 腹痛・嘔吐や画像上の異常な横隔膜所見を伴う場合はこれを疑い、壊死・穿孔を防ぐため緊急の外科的整復を要する4。

画像所見と鑑別

⭐ 画像では半横隔膜前方部の挙上に対し、後方の起始部は正常位置を保つのが特徴である。 これは、後方の起始部を含め半横隔膜全体が挙上する()とは異なる所見である2。診断には検査(sniffテストなど)・・・・超音波が用いられる3。

💡 「が保たれているか」がとの鑑別の核心である。 弛緩症では容と腹腔内容は依然として胸膜の層で隔てられているが、では真の欠損孔を通って腹部臓器が直接に露出する2。

治療

無症候例は経過観察でよいが、症候性であれば外科的術(プリケーション、tucking or folding and suturing)を行う2。⭐ は致死的にもなりうる重要な病態であり、と術が治療の第一選択である——33例の症例シリーズでは20例が、12例が開腹で術を受け(1例は胸腹合併切開)、2例が術後早期に心肺合併症で死亡した3。

まとめ

出典

  1. 1.Video assisted thoracoscopic plication of the left hemidiaphragm in symptomatic eventration in adulthood(Journal of Thoracic Disease・2012)既存id・claimを再利用(topics/embryology-y1/11-4-clinical.mdの出典と同一)。横隔膜弛緩症では筋性部が菲薄化する一方、付着と解剖学的連続性は保たれることを確認した。閲覧 2026-08-22
  2. 2.9.18. Diaphragmatic Eventration(Diseases of the Chest, Breast, Heart and Vessels 2019-2022: Diagnostic and Interventional Imaging(Springer / NCBI Bookshelf)・2019)全文を確認した。片側性の横隔膜弛緩症が先天性の筋形成不全または腱の菲薄化により生じ腱の一部が上方へ膨隆する状態であること、"most commonly anteromedially"に生じほぼ常に右側に多いこと、真のヘルニアと異なり胸腔内容と腹腔内容は依然として胸膜の層で隔てられていること、多くは無症候性で偶発的に発見されるが症状がある場合は呼吸困難・頻呼吸・反復性肺炎を来しうること、画像では半横隔膜前方部の挙上に対し後方の起始部は正常位置を保つのが特徴であること、これは横隔膜の対麻痺・麻痺(後方の起始部を含め半横隔膜全体が挙上する)とは異なる所見であること、症候性であれば外科的縫縮術(tucking or folding and suturing)が行われることを確認した。閲覧 2026-09-07
  3. 3.Congenital eventration of the diaphragm in children: 25 years' experience in three pediatric surgery centers(European Journal of Pediatric Surgery・2003)抄録を確認した。1974〜1999年の3施設・33例(男児18・女児15、生後3日〜12歳)の後方視的検討で、全例が咳嗽・呼吸窮迫・発熱のいずれかの呼吸器症状を呈したこと、新生児3例は重度の呼吸窮迫で受診し年長児は反復性・急性の肺感染症と成長不良を呈したこと、右側性が22例・左側性が11例であったこと、診断には透視検査・上部消化管造影・胸部単純X線・CT・超音波が用いられたこと、20例が開胸、12例が開腹で縫縮術を受け1例が胸腹合併切開であったこと、2例が術後早期に心肺合併症で死亡し残りは年次経過観察で生存したこと、横隔膜弛緩症は致死的にもなりうる重要な病態であり早期診断と縫縮術が治療の第一選択であることを確認した(本シリーズは手術適応となった症候性例に限られる)。閲覧 2026-09-07
  4. 4.Bilateral eventration of the diaphragm with perforated gastric volvulus in an adolescent(Journal of Pediatric Surgery・2000)抄録を確認した。両側性の先天性横隔膜弛緩症はほぼ一様に乳児期に呼吸障害で発症し死亡率が高いこと、年長児・成人での遅発性の横隔膜弛緩症は急性胃軸捻転を合併しうること、胃軸捻転は壊死・穿孔を防ぐため緊急手術を要することを確認した。閲覧 2026-09-07