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Disease Atlas · 眼科 · 疾患

円錐角膜

Keratoconus

臓器系
眼科
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)Microscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
組織学 17.1:感覚器:眼発生学 19.3:眼:水晶体・角膜・脈絡膜・強膜・硝子体
鑑別疾患
水疱性角膜症
関連疾患
Leber先天黒内障Ehlers-Danlos症候群Down症候群骨形成不全症
症状
屈折異常視力低下羞明眼痛
画像所見
角膜トポグラフィー

🧠 全体像:は、のコラーゲン構造が弱くなることで角膜中央〜傍中心部が薄くなりながら前方へ円錐状に突出していく、進行性の両眼性角膜疾患である。・が「メガネで矯正できない不規則」に変わっていくことが臨床上の入口であり、⭐ 進行を止める(クロスリンキング)」段階と「変形した形を矯正する(コンタクトレンズ・)」段階を区別することが診療の骨格になる。が「内皮が尽きた終着点」であるのに対し、は実質のコラーゲンそのものが弱いという別の入口から角膜の透明性を脅かす。

病態

はコラーゲン含有量が正常より少なく、実質内でのと再構成が起こることで、角膜の力学的強度が保てなくなる。従来は「非炎症性」の変性疾患とされてきたが、⚠️ 最近の研究は潜在的な炎症成分の関与を示唆しており、純粋な変性疾患という理解は見直されつつある1。

弱くなった実質はに耐えられず、中央〜傍中心部が菲薄化しながら前方へ円錐状に突出する。この形状変化が不規則を生み、はの球面・では矯正しきれなくなっていく。

💡 「目を擦る」というが病気を進める。 を持つ角膜に持続的な機械的外傷(目を擦る習慣、ハードコンタクトレンズの装用)が加わることが、発症・増悪の一因と考えられている1。で目を擦る習慣を確認し、指導することが数少ない介入可能な増悪因子である。

疫学と遺伝

  • 一般人口のは10万人あたり50〜230人(最近のメタ分析では138人)。サウジアラビアの青年では10万人あたり4,790人と著しく高い。黒人・ラテン系は白人と比べが50%高い1。
  • 思春期〜成人早期に発症し、多くは40代までに進行が停止する1。
  • ⚠️ 診断時に41%が一眼性疾患として報告されるが、最終的には両眼に及ぶ。 「今のところ片眼だけ」を安心材料にしない1。
  • 親族に患者がいると発症リスクが15〜67倍になる。90%はな、残りはで、疾患と考えられている1。

⭐ 他疾患との合併を必ずする。

関連疾患 合併率など
0.5〜15%
15歳以上で最大30%
患者の58%にを合併
・・ 結合組織の脆弱性を共有1

・喘息・との関連も示されており、痒みによる目の擦りすぎが背景にあると考えられる1。

症状・診察所見

初期は無症状〜軽度の(・の進行)だが、不規則が強まるとでの矯正が効かなくなりをする。

⭐ 所見は進行度によって現れる順序が違う。

所見 内容 出現時期
Vogt線条 の垂直方向の応力線。軽い圧迫で消退する 初期の微細な所見
Fleischer輪 由来の鉄が沈着した褐色の輪。コバルトブルーで見やすい 初期の微細な所見
Munson徴候 下方視で下眼瞼が「V」字型に突出する 進行例
Rizzuti徴候 側方から光を当てると鼻側が円錐状角膜に集光して輝く 進行例
Scissoring reflex (レチノスコピー)で2本の光帯が鋏のように交差して動く 不規則の指標

角膜トポグラフィー(角膜形状解析)は、これらの所見がまだ明らかでない最も早期の変化を検出できる1。

⚠️ 急性角膜水腫

⚠️ の患者に突然の強い眼痛・・が起きたら急性角膜水腫を疑う。 患者の約3%に発症し、平均発症年齢は25歳である。がし内皮機能が破綻することで、が実質・上皮へ流入して急激な浮腫を起こす1。

💡 の浮腫がのな低下の結果であるのに対し、急性角膜水腫はの急性の破裂による浮腫という違いがある。どちらも実質・という共通の見た目に至るが、機序とが異なる。

治療——「進行を止める」と「形を矯正する」の二本立て

⭐ クロスリンキング(CXL)は視力を良くする治療ではなく、進行を止める治療である。

段階 内容
軽度 での矯正
中等度 ハードコンタクトレンズ(患者の90%が使用)。は費用が高い一方で安定性・視力成績・快適性に優れる2
進行例 角膜クロスリンキング(CXL):中央6〜7mmの上皮を除去し、リボフラビン点眼後にUV-A(紫外線A波)を照射してのコラーゲンを架橋する。400μm未満、活動性の、急性角膜水腫は禁忌
:軽度〜中等度の形状矯正に用いる
高度・矯正不能 (10〜15%が最終的に必要)1

⚠️ CXLの適応は「進行性かつ角膜が透明で400μm以上」である2。CXLは最高を1〜2段階改善し最大角膜(Kmax)を1〜2下げるが、視力を直接改善する治療ではなく進行を停止させる治療である2。

経過観察の頻度は年齢とリスクで変える。20歳未満・妊娠中などの高リスク患者は3か月ごと、30歳代の患者は6か月ごとにトポグラフィー・ー()で進行の有無を追う2。

が必要になった場合、が破裂していなければ前部(DALK)が内皮拒絶のリスクを避けられる。(PK)は有効だが拒絶リスクがあり、成功率は90%を超えるものの1年以内の拒絶は20〜35%に及び、移植眼の約50%はなお矯正用レンズを要する12。

鑑別

疾患 決め手
のな低下によるが主体。のような進行性の形状突出は伴わない
菲薄化が下方周辺部に限局し、突出は菲薄部の上方に生じる
後角膜拡張 LASIKなど角膜後に類似の拡張が生じる。で区別する
後部 前面のカーブは正常で後面のみが円錐状に変形する非進行性の状態

まとめ

  • はのコラーゲン構造が弱くなり、中央〜傍中心部が菲薄化しながら前方へ円錐状に突出する進行性の両眼性疾患である。
  • 思春期〜成人早期に発症し40代までに進行停止する。診断時41%は一眼性だが最終的に両眼に及ぶ。・・・などとの合併をする。
  • 所見はVogt線条・Fleischer輪(初期)→Munson徴候・Rizzuti徴候()の順で現れ、角膜トポグラフィーはそれより早く変化を検出する。
  • ⚠️ 急性角膜水腫(約3%、平均25歳)はによる急性浮腫で、突然の眼痛・・を来す。
  • 治療は→ハードコンタクトレンズ→角膜クロスリンキング(進行停止が目的、400μm未満は禁忌)→Intacs→(10〜15%)の順に進む。DALKは内皮拒絶を避けられ、PKは拒絶リスクと引き換えに視力改善が得られる。

出典

  1. 1.Keratoconus(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)円錐角膜が進行性の両眼性角膜拡張性疾患で円錐状の角膜勾配化・不規則な実質菲薄化・著しい視力低下を特徴とすること、従来は非炎症性とされたが最近の研究で潜在的な炎症成分の関与が示唆されていること、一般人口の有病率が10万人あたり50〜230人(最近のメタ分析では138人)でサウジアラビアの青年では10万人あたり4,790人と高いこと、黒人・ラテン系で白人より有病率が50%高いこと、思春期〜成人早期に発症し40代までに進行が停止する傾向にあること、診断時に41%が一眼性疾患として報告されるが最終的には両眼に及ぶこと、一親等親族に患者がいると発症リスクが15〜67倍になり90%が浸透率不完全な常染色体優性遺伝で残りは常染色体劣性であること、Down症候群(0.5〜15%)・Leber先天黒内障(15歳以上で最大30%)・僧帽弁逸脱(58%に合併)・Ehlers-Danlos症候群・骨形成不全症・Noonan症候群との関連があること、アトピー疾患・喘息・花粉症との関連および持続的な目を擦る習慣が発症・増悪に関与しうること、細隙灯所見としてMunson徴候(下方視での下眼瞼のV字型陥凹)・Vogt線条(Descemet膜の垂直方向の応力線で軽い圧迫で消退)・Fleischer輪(涙液由来の鉄がコバルトブルーフィルターで見える褐色の輪)・Rizzuti徴候・網膜鏡検査でのscissoring reflexがあること、角膜トポグラフィーは細隙灯所見が明らかになる前の早期変化を検出できること、急性角膜水腫が患者の約3%に発症し平均発症年齢25歳でDescemet膜断裂と内皮機能不全により実質・上皮に房水が流入し突然の疼痛を伴う視力低下と羞明を来すこと、治療が眼鏡・ハードコンタクトレンズ(患者の90%が使用)・強膜レンズから始まり角膜クロスリンキング(CXL、中央6〜7mmの上皮を除去しリボフラビン点眼後にUV-A照射する術式で角膜厚400μm未満・活動性ヘルペス角膜炎の既往・急性水腫は禁忌)・角膜内リング(Intacs)へ進み最終的に10〜15%が角膜移植を要すること、全層角膜移植の成功率が90%超で1年以内のグラフト拒絶が20〜35%であること、鑑別診断に周辺部角膜変性(pellucid marginal degeneration)・後部円錐角膜・Terrien辺縁変性・屈折矯正手術後角膜拡張・感染性角膜炎が挙がることを確認した。閲覧 2026-09-06
  2. 2.Diagnosis and Management of Keratoconus(American Academy of Ophthalmology (EyeNet Magazine)・2020)進行性円錐角膜で角膜が透明かつ角膜厚が400μm以上ある例に角膜クロスリンキング(CXL)が推奨されること、CXLが最高矯正視力を1〜2段階改善し最大角膜屈折力(Kmax)を1〜2ジオプトリー低下させること、20歳未満や妊娠中などの高リスク患者は3か月ごと、30歳代の患者は6か月ごとの経過観察が推奨されること、軽度はコンタクトレンズ(ソフトレンズ)、進行例ではハードガス透過性レンズが必要になり強膜レンズは費用が高い一方で安定性・視力成績・快適性に優れること、角膜移植では深層前部層状角膜移植(DALK)がDescemet膜が破裂していない例に用いられ内皮拒絶のリスクを下げる一方、全層角膜移植(PK)は有効だが拒絶リスクがあり移植眼の約50%が矯正用レンズを要することを確認した。閲覧 2026-09-06