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Disease Atlas · 眼科 · 先天性疾患

Leber先天黒内障

Leber congenital amaurosis

別名
LCAレーバー先天黒内障
臓器系
眼科小児
科目
Genetics
トピック
遺伝学 4.3:家系分析入門遺伝学 4.1:単一遺伝子遺伝
鑑別疾患
網膜色素変性
症状
眼振
検査値
網膜電図
元疾患
Senior-Løken症候群
適応薬
ボレチゲン ネパルボベク

🧠 全体像:Leber先天(LCA)は、遺伝性網膜変性のなかで発症が最も早く、障害が最も重い一群である。(RP)が「暗いところから見えにくくなり、数十年かけて視野が狭まっていく」進行性の経過をたどるのに対し、LCAは生後1年以内という早い段階で、すでに高度な視力障害として気づかれる——「進行して重症化する」のではなく「最初から重症」という点が、この2つの疾患の役割分担を理解する軸になる。は多岐にわたり、その一部はJoubert症候群・Senior-Løken症候群など腎・神経を巻き込むとも重なるため、眼だけの疾患として完結させない視点が要る。RPE65両アレル変異という特定の遺伝子型には、視覚回路そのものを修復する遺伝子治療という例外的な選択肢がある。

病態

LCAはまたはの機能に関わる遺伝子ので生じる、の高いである。RPE65CEP290GUCY2DCRB1など多数にまたがり、同じ遺伝子座の変異でも表現型の重症度に幅がある。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photoreceptor'>光受容体</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal pigment epithelium'>網膜色素上皮</span>関連遺伝子の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pathogenic variant'>病的バリアント</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photoreceptor'>視細胞</span>の機能・構造が生後早期から高度に障害"]
    B --> C["生後数か月以内の重度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='visual disturbance'>視覚障害</span>"]
    C --> D["眼振・瞳孔反応不良・指眼徴候"]
    C --> E["網膜電図が早期に消失〜記録不能"]
    A -.CEP290など一部の遺伝子.-> F["腎・中枢神経を含む<span class='jp-term jp-term-diagram' title='syndromic'>症候群性</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliopathy'>線毛病</span><br>(Joubert症候群・Senior-Løken症候群など)"]

CEP290は、LCA単独だけでなくJoubert症候群・・Senior-Løken症候群のいずれの原因にもなりうる1。「LCA=眼だけの遺伝病」という理解で止めず、によっては全身のの一部として現れることを念頭に置く。

臨床像

生後数か月以内の重度として発症し、次の所見の組み合わせで気づかれる2

所見 内容
眼振 徘徊様眼球運動または律動性眼振
瞳孔反応 鈍い〜ほぼ消失した
指眼徴候 指眼徴候(目を押す・擦る・押しつける仕草)。光を感じる仕組みが壊れているぶん、眼球を圧迫して生じる光の感覚()を求める代償行動とされる。ただしRPE65関連LCAに特異的な所見ではない3

💡 同じ「乳児期の重度」でも、原因によって網膜電図の経過は異なる。 進行性の病型では網膜電図が生後早期から著明に振幅低下し、最終的に記録不能となる一方、比較的静止性の病型では低振幅ながら反応が残ることがあり、この違いが定常性疾患(先天停在性など)との鑑別点になる2

網膜色素変性との役割分担

⚠️ LCAとRPを「同じ疾患の重症度違い」で済ませない。 両者はRPE65など)が重なることもあるが、臨床上は発症年齢と経過の型で区別する。

LCA (RP)
発症時期 生後1年以内 多くは小児期〜青年期
経過 最初から高度〜重度の →輪状進行性
網膜電図 早期から消失〜記録不能に近いことが多い 早期は杆体反応から低下し、進行とともに消失
気づかれ方 眼振・瞳孔反応不良・指眼徴候 という症状

症候群性の背景

⚠️ Senior-Løken症候群・Joubert症候群のとしてLCAが現れることがある。 Senior-Løken症候群の早期発症型は、乳児期の眼振・瞳孔反応不良・視力不良というLCA様の所見で気づかれ、によるは無症状のまま進行しうる。Joubert症候群でも網膜変性は先天盲からまで幅があり、先天盲型はLCAに相当する。乳児期にLCA様の所見をみたら、随伴する・呼吸パターン異常・多尿の有無を確認し、腎機能・頭部MRIによる評価を検討する視点が要る1

診断

網膜電図機能の消失〜著明な低下を確認し、の同定と組み合わせて診断する。乳児期の重度はLCA以外にも(風疹感染・などの)で生じうるため、家族歴・感染歴の聴取と合わせて評価する。

治療

RPE65の両アレルには、視覚回路そのものを修復する遺伝子治療という例外的な選択肢がある。 ボレチゲン ネパルボベクを用いて機能的なRPE65遺伝子を細胞へ送達する遺伝子治療で、生後12か月〜65歳の患者のうち、などで十分な生存が確認できる場合に適応となる3。それ以外のによるLCAには根治療法がなく、視覚リハビリテーション・低視力支援・遺伝が中心になる。

まとめ

  • LCAは遺伝性網膜変性のなかで発症が最も早く(生後1年以内)、最初から重度という点でRPと役割が分かれる。
  • 眼振・瞳孔反応不良・指眼徴候(目を押す仕草)が気づきの糸口で、網膜電図は早期に消失〜記録不能となることが多い。
  • CEP290など一部のはSenior-Løken症候群・Joubert症候群とも共通し、腎・神経の評価が必要になりうる。
  • RPE65両アレル変異にはボレチゲン ネパルボベクという遺伝子治療が承認されている。

出典

  1. 1.Leber Congenital Amaurosis / Early-Onset Severe Retinal Dystrophy Overview(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2025)Leber先天黒内障(LCA)が出生時または生後数か月以内の重度視覚障害として発症し、眼振・瞳孔反応不良・指眼徴候(poking, rubbing, and/or pressing of the eyes)を伴うこと(Clinical Characteristics節)、進行性の病型では網膜電図が非記録〜著明な振幅低下を示しこれが定常性疾患との鑑別点になること(Differential Diagnosis節の表2)、CEP290の病的バリアントがJoubert症候群・Bardet-Biedl症候群・ネフロン癆・Senior-Løken症候群のいずれの原因にもなりうること(表1)を確認した閲覧 2026-08-12
  2. 2.Autosomal Recessive RPE65-Related Retinal Degeneration(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2026)ボレチゲン ネパルボベクが生後12か月〜65歳でRPE65両アレル病的バリアントによる網膜変性表現型(Leber先天黒内障・早発重症網膜ジストロフィー・若年性網膜色素変性を含む)に承認されており、光干渉断層計などで生存光受容体が確認できる患者が適応となること(Table 4)、RPE65関連LCAでは視覚機能不良が乳児期に眼振・鈍い瞳孔反応を伴って現れること、指眼徴候はRPE65関連LCAに特異的な所見ではないこと(Clinical Description節)を確認した閲覧 2026-08-12
  3. 3.Nephronophthisis-Related Ciliopathies(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2023)CEP290(MKS4)の変異がネフロン癆・Senior-Løken症候群・Joubert症候群・Bardet-Biedl症候群・COACH症候群・Leber先天黒内障のいずれにも起こりうること、症候群性ネフロン癆関連線毛病がJoubert症候群・COACH症候群・Bardet-Biedl症候群・Jeune症候群・Meckel-Gruber症候群・Senior-Løken症候群を含み原因遺伝子が疾患群をまたいで重なり合うことを確認した(Syndromic NPH-RC節)閲覧 2026-08-12