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Disease Atlas · 血液 · 病態

赤芽球癆

Pure red cell aplasia

別名
PRCA純赤血球癆
臓器系
血液
科目
Pathology
トピック
病理学 C/2:赤芽球産生低下による貧血
鑑別疾患
再生不良性貧血
原因薬剤
タクロリムス
原因微生物
ヒトパルボウイルスB19
検査値
網赤血球
原因となる疾患
胸腺腫
適応薬
シクロスポリン

🧠 全体像:(PRCA)は、の前駆細胞(赤芽球)だけが選択的に消失し、貧血が進行する病態である。核心は「だけが止まる」という選択性にある——が白血球・血小板まで巻き込むであるのに対し、PRCAは白血球・血小板系は保たれたまま骨髄の赤芽球だけがほぼ消失する。原因は先天性(Diamond-Blackfan貧血)と後天性(自己免疫疾患・・・薬剤性)に分かれ、多くがという共通点を持つため、原因除去に加えて免疫抑制療法が治療の柱になる。

病態

PRCAは、・著明な減少・骨髄における赤芽球の減少または欠如(骨髄中1%未満)を特徴とする病態である。白血球系・血小板系の前駆細胞は保たれる点が、を来すとの根本的な違いになる1。

⭐ 先天性の代表はDiamond-Blackfan貧血である。後天性PRCAの原因は多岐にわたり、自己免疫疾患(、関節リウマチ)、(強い関連)、(最も頻度の高いウイルス性原因)、(、大顆粒リンパ球性白血病)、そして薬剤性が挙げられる1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythroid progenitor cell'>赤芽球系前駆細胞</span>への選択的な傷害"] --> B["骨髄中の赤芽球が<br>ほぼ消失(1%未満)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reticulocytopenia'>網赤血球減少</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='normocytic normochromic anemia'>正球性正色素性貧血</span>"]
    E["白血球系・血小板系は保たれる"] -.-> D
    F["原因: <span class='jp-term jp-term-diagram' title='thymoma'>胸腺腫</span>/自己免疫疾患/<br>パルボウイルスB19/薬剤性/先天性"] --> A

💡 なぜ薬剤性PRCAが起こるのか。 フェニトイン・リファンピシンによるPRCAはIgG介在性の免疫機序が想定されている1。なお、これらの薬剤は機序を介して小児の一過性(TEC)を引き起こすことも知られており、その場合は薬剤への曝露が続いている間だけに対する抗体が検出される1。薬剤性PRCAで最も多く関連するのは遺伝子組換え製剤(抗抗体を誘導する)だが、フェニトイン・リファンピシン・でも報告があり、などのも、頻度は非常に低いものの原因薬剤として報告されている2。

診断

血清値は貧血に対して通常高値を示す(腎不全に伴う相対的欠乏とは対照的な所見)1。確定診断はで、赤芽球が骨髄の1%未満に減少・消失している一方、・は保たれていることを確認する1。原因検索として、の有無(胸部CT)、(血清学的検査・)、自己免疫疾患のスクリーニング、薬剤歴の確認を行う。

治療

原因の除去が第一選択である。合併例では、薬剤性が疑われる場合は原因薬剤の中止で改善しうる1。⚠️ が原因として疑われる場合も同様に、原因薬剤の中止または他のへの変更が検討される2。

原因が除去できない、またはが主体の場合は免疫抑制療法を行う。はが報告により75%に達するとされ、副腎皮質ステロイド・リツキシマブも用いられる1。⚠️ ただしステロイド治療は減量・中止後のが80%に達するとされ、寛解の持続は保証されない1。パルボウイルスB19関連PRCAには()が有効で、93%の患者で改善が得られたとする報告があるが、42%は4.3か月以内にする1。⭐ 貧血が高度な場合は輸血による支持療法を併用する。

まとめ

  • は骨髄の赤芽球だけが選択的に減少・消失する病態で、白血球・血小板系は保たれる点がとの違い。
  • 先天性はDiamond-Blackfan貧血。後天性の原因は自己免疫疾患・・・薬剤性など多岐にわたる。
  • 多くは。フェニトイン・リファンピシンによるPRCAはIgG介在性の機序が想定され、これらの薬剤は小児の一過性(TEC)では機序も知られる。製剤が最多だが、などのでも稀に報告される。
  • 治療は原因除去(、原因薬剤中止)+免疫抑制療法(75%だが、ステロイド中止後のは80%)。パルボウイルスB19関連例にはが有効(93%)だが、42%が4.3か月以内にする。

出典

  1. 1.Pure Red Cell Aplasia(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)赤芽球癆(PRCA)は正球性正色素性貧血・網赤血球減少・骨髄における赤芽球の著明な減少または欠如(骨髄有核細胞中1%未満)を特徴とし、白血球系・血小板系は保たれる病態であること。先天性の代表はDiamond-Blackfan貧血であること。後天性の原因は自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス・関節リウマチ)、胸腺腫(強い関連)、パルボウイルスB19感染(最も頻度の高いウイルス性原因)、リンパ増殖性疾患(慢性リンパ性白血病・大顆粒リンパ球性白血病)、薬剤性(遺伝子組換えエリスロポエチン製剤が最も多く関連し、フェニトイン・リファンピシン・サルファ薬なども報告される)と多岐にわたること。フェニトイン・リファンピシンによるPRCAはIgG介在性の機序が想定されている("The mechanism appears to be IgG-mediated in patients receiving diphenylhydantoin and rifampin.")。なお、これらの薬剤はハプテン機序を介して小児の一過性赤芽球癆(TEC)を引き起こすことも知られ、その場合は薬剤への曝露が続いている間だけ抗体が検出される(原文はTECの節に記載されており、成人の薬剤性PRCA全般の機序ではない)。血清エリスロポエチン値は貧血に対し通常高値を示すこと。治療は原因の除去(胸腺摘出、原因薬剤の中止)に加え、シクロスポリンなどの免疫抑制療法(奏効率は報告により75%に達するが、ステロイド中止後の再燃率は80%に達する)、副腎皮質ステロイド、リツキシマブ、免疫グロブリン大量静注療法(パルボウイルスB19関連例の93%で改善するが、42%が4.3か月以内に再燃する)が用いられること。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Post renal transplant pure red cell aplasia—is tacrolimus a culprit?(Clinical Kidney Journal・2016)タクロリムスを含むカルシニューリン阻害薬は、腎移植後の赤芽球癆の原因になりうる稀な薬剤であること。同論文は輸血を要する慢性貧血を呈しタクロリムスが原因と考えられた腎移植後3例を報告し、文献レビューでもタクロリムスが原因薬剤として疑われた報告は非常に少数にとどまること。閲覧 2026-09-05