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Drug Atlas · B22 Antitussives & mucolytics / 鎮咳去痰薬 · 必修

エチルモルヒネ

ethylmorphine

分類
Antitussives & mucolytics / 鎮咳去痰薬
商品名(EU)
Cocillana-Etyfin
科目
Pulmonology and Thoracic Surgery
トピック
Cough
副作用
便秘悪心嘔吐めまい幻覚

🧠 全体像:エチルモルヒネ(別名ジオニン)は、の3位メトキシ基をエトキシ基に置き換えただけのの近縁であり、薬理学的な立ち位置もとほぼ重なる——弱いμオピオイド作動薬としてを抑制し、CYP2D6でされて初めて強い活性を持つモルヒネが生じる的な性質を持つ。したがって、で問題になるCYP2D6でのモルヒネ過量やオピオイド関連の依存・呼吸抑制のリスクは、エチルモルヒネにもそのまま当てはまる。多くの国でに指定されており、現在の臨床での位置づけは系と同様に限定的である。

薬効群の中での位置づけ

中枢性・の中では、と構造・代謝経路がもっとも近い薬剤である。

薬剤 化学構造上の位置づけ 活性化の経路 特記事項
モルヒネの3位をメチル化 CYP2D6によるO-でモルヒネへ CYP2D6で小児の術後死亡例があり使用制限
エチルモルヒネ(ジオニン) モルヒネの3位をエチル化 CYP2D6によるでモルヒネへ と同型の代謝リスクを共有。医療用麻薬に指定
ノスカピン 由来だが を介さない 非麻薬性

⚠️ 「で起きる問題は、エチルモルヒネでもほぼそのまま起こりうる」と考えるのが安全である。 両者とも前駆体としてCYP2D6依存性の活性化を受けるため、CYP2D6では通常量でもモルヒネ濃度が過度に上昇しうる。この理由から、エチルモルヒネはのある小児や・を予定する小児には禁忌とされている——の制限と同じ論理である。

機序

flowchart TD
    A["エチルモルヒネを内服"] --> B["弱い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mu-opioid receptor'>μオピオイド受容体</span>作動として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medullary cough center'>延髄咳中枢</span>を直接抑制"]
    A --> C["肝CYP2D6で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='O-deethylation'>O-脱エチル化</span>"]
    C --> D["モルヒネへ変換(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>)"]
    D --> E["モルヒネが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mu-opioid receptor'>μオピオイド受容体</span>を強く作動"]
    B --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cough reflex'>咳反射</span>の閾値上昇(鎮咳)"]
    E --> F
    E --> G["便秘・呼吸抑制・依存など通常のオピオイド副作用"]

💡 と同じ「的活性化」の型に当てはまる。 エチルモルヒネ自体にも弱いオピオイド作動性はあるが、臨床的に意味のある鎮咳・鎮痛効果の多くはCYP2D6で生成されるモルヒネに依存すると考えられている。そのため、CYP2D6のによって同じ用量でも効果と副作用の強さが大きく変動する——このは試験でも、モルヒネ・モルヒネ-6-の尿中回収量に9倍という大きなばらつきとして確認されている1。

適応

領域 使いどころ
呼吸器 持続するの対症療法(他の非麻薬性で効果不十分な場合に限られることが多い)2

用法・用量

対象 用量(内服液としての代表例)
成人 1回5〜10mLを1日3〜4回
小児(年齢により減量) 2歳未満は非推奨。年齢帯ごとに1回1〜3.5mL程度に減量

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤成分への過敏症、呼吸抑制
  • CYP2D6:通常量でもモルヒネ濃度が過度に上昇し、過量のリスクがある
  • のある小児、・を予定する小児(0〜18歳):術後のオピオイド関連死亡例が問題となったと同型のリスクがあるため禁忌
  • 他のCNS抑制薬(ベンゾジアゼピン、、他のオピオイド、鎮静性抗ヒスタミン薬など)・アルコールとの併用:鎮静・呼吸抑制・昏睡・死亡のリスクが増す
  • (など)との併用:オピオイドによる低下が薬剤の吸収を遅らせ、効果が減弱しうる2
  • 多くの国でに指定されており、処方・保管・廃棄に麻薬管理上のがかかる
  • 耐性・・が生じうる

副作用

頻度 内容
高頻度 便秘、悪心、嘔吐、
時々 めまい、
頻度不明・重篤 、、アナフィラキシー、(過量時の)呼吸抑制

歴史的な位置づけ

エチルモルヒネは「ジオニン」の名で、かつて眼科領域でも・角膜潰瘍後のに対しを促しを助ける目的で点眼薬として用いられた歴史がある。現在の眼科診療ではこの用途はほぼ廃れており、としての位置づけも、と同様に全体への慎重な姿勢の中で縮小傾向にある。

まとめ

  • の3位メトキシ基をエトキシ基に置き換えた近縁ので、CYP2D6によるでモルヒネへ変換される的な性質を持つ。
  • と同じ理由で、CYP2D6と、のある小児・予定の小児には禁忌である。
  • 医療用麻薬に指定されており、依存・耐性・呼吸抑制などオピオイド共通のリスクを持つ。
  • 他のCNS抑制薬・アルコールとのに準じる注意、の効果減弱という相互作用にも留意する。
  • かつて眼科で点眼薬(ジオニン)として使われた歴史があるが、現在この用途はほぼ廃れている。

出典

  1. 1.Biotransformation and pharmacokinetics of ethylmorphine after a single oral dose(British Journal of Clinical Pharmacology・1995)健康成人10例にエチルモルヒネ含有鎮咳薬を単回経口投与した薬物動態試験。尿中回収率(48時間)は中央値77%で、主代謝物はエチルモルヒネ-6-グルクロン酸抱合体。活性代謝物であるモルヒネ・モルヒネ-6-グルクロン酸抱合体の尿中回収量には個人差が9倍あり、CYP2D6遺伝子型(poor metabolizer 2例を同定)だけでは説明しきれない他の代謝経路の関与も示唆された。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Cocillana-Etyfin (oral lösning) — FASS Vårdpersonal(FASS(スウェーデン医薬品集、Läkemedelsindustriföreningen)・2026)1mLあたりエチルモルヒネ塩酸塩2.5mgを含む乾性咳嗽用の医療用麻薬(narkotikaklassat)内服液。適応は持続する乾性咳嗽。成人量は1回5〜10mLを1日3〜4回、小児は年齢別に減量(2歳未満は非推奨)。禁忌に呼吸抑制、成分過敏症に加え、**CYP2D6超高速代謝者**と、閉塞性睡眠時無呼吸のある小児・扁桃摘出術/アデノイド切除術を予定する小児(0〜18歳)を明記している。他のCNS抑制薬・アルコールとの併用で鎮静・呼吸抑制・昏睡・死亡のリスクが増すこと、P2Y12阻害薬は消化管運動低下により効果減弱しうることも注意している。副作用は便秘・悪心・嘔吐・胆道機能異常が高頻度、めまい・異常感情(dysphoria)が時々、幻覚・血管性浮腫・アナフィラキシーが頻度不明。閲覧 2026-09-29