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Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬

ミコナゾール

miconazole

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(日本)
フロリードゲル経口用
商品名(EU)
Daktarin
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
承認適応
カンジダ症
標的微生物
Candida albicans
相互作用
クロルプロパミド

🧠 全体像:は・と同じ外用抗真菌薬だが、日本では口腔・に対する経口ゲル製剤が存在する点で他と一線を画す。この製剤は消化管から一定量が吸収されるため、外用薬でありながら全身性の薬物相互作用を起こす——なかでもCYP2C9阻害によるスルホニルウレア系の作用増強(重篤な低血糖)と、ワルファリンとの(出血・上昇)の2つが臨床的に重要である。「はが乏しい」という他の(・)で学ぶ原則が、経口ゲル製剤には当てはまらないという点が本剤の学習の核心になる。

他の外用イミダゾール系との違い

項目 ・
主な剤形 ・中心。全身吸収はごくわずか ・に加え、口腔・に対する経口ゲル製剤がある
全身性の相互作用 基本的に問題にならない 経口ゲル製剤は問題になる(CYP2C9・CYP3A阻害)
適応の中心 ・ ・(経口ゲル)1

⭐ 同じ系統・同じ機序(CYP51阻害による合成阻害)の薬でも、剤形が変われば安全上の注意点はまったく別物になる。 を覚えるときは「外用薬だから全身性の心配はない」という兄弟薬の原則を持ち込まず、経口ゲルという剤形固有のリスクとして独立に扱う。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miconazole'>ミコナゾール</span>経口ゲルを口腔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral/esophageal mucosa'>食道粘膜</span>に塗布・嚥下"] --> B["消化管から一定量が全身吸収される"]
    B --> C["肝でCYP2C9・CYP3Aを強力に阻害<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Azoles'>アゾール系</span>の中でCYP2C9阻害が最強)"]
    C --> D["CYP2C9で代謝される<br>スルホニルウレア系<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucose-lowering agent'>血糖降下薬</span>の血中濃度が上昇"]
    D --> E["作用が増強し重篤な低血糖"]
    C --> F["CYP2C9で代謝される<br>ワルファリンの血中濃度が上昇"]
    F --> G["作用が増強し重篤な出血・著しい<span class='jp-term jp-term-diagram' title='international normalized ratio'>INR</span>上昇(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contraindicated combination'>併用禁忌</span>)"]

💡 なぜだけが問題になりやすいのか。 in vitroの比較研究では、・・・・を含む主要のなかで、がCYP2C9・CYP2C19の阻害がもっとも強い(水酸化に対するIC50が最低値)ことが示されている2。・3A5への阻害も・と並んで強い2。スルホニルウレア系・ワルファリンはいずれもCYP2C9で代謝されるため、このが2つの重大な相互作用に直結する。

適応・用法

カンジダ症のうち、経口ゲル製剤の適応は・である。成人量は1日200〜400 mg(ゲル10〜20 g)を4回(毎食後および就寝前)に分けて塗布・嚥下し、投与期間は原則として14日間である1。実際の用量・投与期間は病変の範囲・治療反応で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • :ワルファリン。 添付文書は「ワルファリンの作用が増強し、重篤な出血あるいは著しい上昇があらわれる」と明記する1
  • ⚠️ などスルホニルウレア系(グリベンクラミド等)との併用で作用が増強することがある。 機序は本剤のCYP2C9阻害によるスルホニルウレア薬の代謝抑制で、重篤な低血糖に至りうる1。の添付文書自身も「経口との併用で重篤な低血糖に至った」相互作用を挙げている一方、静注・外用・腟用製剤で同じことが起きるかは明記していない——経口ゲル製剤に限った注意ではなく、側の記載でも経口が名指しされている点が両ノートで対応する
  • 本剤はCYP3A・CYP2C9と親和性を有するため、これらで代謝される薬剤全般の代謝を阻害し血中濃度を上昇させうる1。個々の薬剤の詳細は各薬剤ノートに譲る
  • 過敏症の既往がある場合は使用を避ける

副作用

口腔内の刺激感・などの局所症状が中心。重篤な有害事象としては、前述のワルファリン・スルホニルウレア系との相互作用による出血・低血糖が臨床上もっとも注意すべきものである。

まとめ

  • は外用抗真菌薬だが、日本では口腔・に対する経口ゲル製剤がある点が他の外用(・)と異なる。
  • 経口ゲル製剤は消化管から吸収され、CYP2C9・CYP3A阻害という全身性の相互作用を持つ——の中でもCYP2C9・CYP2C19阻害がもっとも強いことがin vitro研究で示されている。
  • ワルファリンとの併用は禁忌(出血・上昇)。スルホニルウレア系(等)とは重篤な低血糖のリスクで注意が必要。
  • 「はが乏しい」という他のの原則を、経口ゲル製剤には当てはめない。

出典

  1. 1.フロリードゲル経口用2% 添付文書(2021年6月改訂・第1版)(持田製薬株式会社/医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2021)フロリードゲル経口用2%(2021年6月改訂・第1版)の効能・効果は「カンジダ属による下記感染症:口腔カンジダ症、食道カンジダ症」であり、用法・用量は成人1日200〜400mg(ミコナゾールゲル10〜20g)を4回(毎食後および就寝前)に分けて塗布・嚥下し、投与期間は原則として14日間であること、併用禁忌にワルファリンが挙げられ「ワルファリンの作用が増強し、重篤な出血あるいは著しいINR上昇があらわれる」と記載されていること、相互作用の項で本剤が「CYP3A及びCYP2C9と親和性を有するため」これらの酵素で代謝される薬剤の代謝を阻害し、グリベンクラミドなど経口血糖降下剤(スルホニルウレア系)については「これらの薬剤の作用を増強することがある」と注意喚起されていることを確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Drug interactions between nine antifungal agents and drugs metabolized by human cytochromes P450(Current Drug Metabolism(Niwa T, Imagawa Y, Yamazaki H)・2014)フルコナゾール・イトラコナゾール・ケトコナゾール・ミコナゾール・ポサコナゾール・ボリコナゾールの6アゾール系抗真菌薬をレビューしたin vitro研究のまとめとして、ミコナゾールが検討したP450すべてに対する強力な阻害薬であり、なかでもCYP2C9・CYP2C19の阻害がアゾール系の中で最も強いこと(トルブタミド6位水酸化に対するIC50がミコナゾール2.0 µMでボリコナゾール8.4 µM・フルコナゾール30.3 µMより低値、S-メフェニトイン4'水酸化に対するIC50もミコナゾール0.33 µMで最低値)、CYP3A4・3A5に対してもイトラコナゾール・ケトコナゾールと並んで他のアゾール系より強い阻害作用を示したことを確認した。閲覧 2026-09-08