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Drug Atlas · B12 Steroids / ステロイド

プレドニゾン

prednisone

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬Steroids / ステロイド
科目
Pharmacology
トピック
B12: Glucocorticoids for oral and parenteral use
承認適応
ホジキンリンパ腫(MOPPレジメンの構成薬。現在は歴史的)
副作用
不眠
影響検査値
血糖

🧠 全体像:は、それ自体には活性が無いであり、肝の11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素1型(11β-HSD1)による酸化的還元を受けて初めてであるへ変換される。この一段階を挟むという一点だけが、力価も適応もほぼ同じとの違いであり、肝機能が保たれていれば臨床的にはとほぼ等価に扱えるが、があると変換能が落ちて効果が読めなくなるため活性型を直接投与すべき場面が出てくる。もう一つの学習ポイントは、MOPP・CHOPのような英語圏の化学療法レジメン名の“P”はを指すという語源で、文献・日本の実臨床で(プレドニン)に置き換えられていることが多いのと対照的である。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 活性の有無 位置づけ
不活性の(肝で11β-HSD1により活性化) 米国など海外で経口として広く使われる。日本国内では流通しておらず、同等の場面ではが使われる
そのもの 日本の経口の標準。の効果はこの分子を介して発現する
活性型(短時間作用) 副腎不全の生理的補充
活性型(中間作用) 高用量IV
活性型(長時間作用) 脳浮腫・

⭐ とは「同じ薬」に近い。 力価・適応はほぼ重なり、経口1回量も等価(1:1)として扱われる。両者を分けて覚える価値があるのは、である(=肝で活性化される)という一点と、それに伴う時の使い分けだけである。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prednisone'>プレドニゾン</span>(経口、それ自体は不活性)"] --> B["肝の11β-HSD1(11β-ヒドロキシステロイド<br>脱水素酵素1型)による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reductive activation'>還元的活性化</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prednisolone'>プレドニゾロン</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucocorticoid receptor (GR)'>糖質コルチコイド受容体</span>(GR)へ結合"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear translocation'>核内移行</span>→抗炎症遺伝子の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcriptional activation'>転写促進</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='annexin A1'>アネキシンA1</span>など)"]
    D --> F["NF-κB・AP-1経路の転写抑制<br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory cytokine'>炎症性サイトカイン</span>産生↓"]
    D --> G["リンパ球で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='caspase pathway'>カスパーゼ経路</span>を活性化<br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apoptosis induction'>アポトーシス誘導</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antitumor effect'>抗腫瘍効果</span>)"]
    H["重度の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liver dysfunction'>肝機能障害</span>"] -.->|"変換能低下:活性型濃度が軽度障害群の約53%に低下"| B

💡 11β-HSD1は肝以外にも脂肪・肺・下垂体などに分布するが、の活性化は主に肝で起こる。 逆方向の反応(→、による不活化)は主に腎に分布し、をから保護する別の酵素が担う(同じ酵素ファミリーだが役割が逆)。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 経口。ピーク血中濃度到達は服用後0.5〜3時間
活性化 肝の11β-HSD1で酸化的にへ変換されて初めて活性を持つ()1
時の変動 重度のでは活性化が進みにくく、血中濃度が軽度障害群の約53%まで低下し、逆に未変換の自体の血中濃度は74%高くなる1

適応

領域 使いどころ
内分泌 (生理量の補充)、、2
疾患・ 関節リウマチ、など多数の疾患で第一選択のの一つ2
血液腫瘍(英語圏レジメンの歴史的構成薬) MOPP(Mechlorethamine・Oncovin=・Procarbazine・Prednisone)など、英語でされた化学療法レジメンの“P”はを指す。の一次治療として使われたが、現在はABVDに置き換わり歴史的な位置づけになっている
アレルギー・皮膚・眼科・呼吸器・血液・浮腫性疾患ほか 添付文書はこのほか多数の適応区分を挙げる(喘息、、、など)2

⚠️ 「MOPPのPは」だが、文献・日本の実臨床では同じ位置に(PSL)が置かれることが多い。 これはそのものが日本国内で流通していないためで、薬理学的には等価(1:1、が同じ)に扱われることが根拠になっている。レジメン名の由来(英語の頭文字)と、実際にどの薬剤が投与されるか(国・施設のプロトコル)は分けて覚える。

用法・用量

との換算比は1:1 として扱われる(力価がほぼ等しいため)。自己免疫・炎症性疾患では体重あたり0.5〜1 mg/kg/日程度から開始し、反応をみてすることが多い。3〜4週未満の短期投与は通常不要で、長期投与のは原疾患が制御されてから開始し、/換算4〜6 mg/日の生理量付近まで減らした段階で症状や朝の血清コルチゾールを評価する3。

MOPPレジメンでは1日量40 mg/m²をDay 1〜14に投与し、8サイクル中サイクル1・4のみに組み込む(サイクル2・3・5〜8には含めない)という変則的なスケジュールが取られていた——現在このレジメンが一次治療として使われることはほぼ無く、歴史的な用法である。実際の用量・スケジュールは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:全身性、既知の過敏症2
  • :添付文書は「をに使用すべきではない」と明記する2
  • ワクチン:免疫抑制量投与中は生ワクチン・の接種が禁忌。は接種可能だが反応が減弱しうる2
  • ⚠️ がある患者では、ではなくを直接投与することが推奨される。 は肝で活性化されて初めて効くのため、重度のでは活性化が不十分になり効果が読みにくくなる。を直接投与すればこの変換ステップを迂回できる1
  • ⚠️ 長期使用後の急な中止はを招きうる。 原疾患が制御され不要になってからし、生理量付近では副腎不全症状を監視する3
  • 血糖上昇に注意。糖尿病の既往がある患者では特に悪化しやすい

副作用

頻度 内容
高頻度 血糖上昇、不眠、気分の変動、・体重増加
注意 骨密度低下、易感染性、消化性潰瘍、・緑内障、
重篤・まれ 、(急な中止時)

まとめ

  • はそれ自体には活性が無いで、肝の11β-HSD1によりへ変換されて初めて作用を発揮する。
  • とは力価・適応がほぼ等価(換算比1:1)で、違いは「かどうか」の一点にほぼ集約される。
  • がある患者では変換能が落ちる(重度障害で活性型濃度が軽度障害群の約53%)ため、を直接使うことが推奨される。
  • MOPPなど英語圏の化学療法レジメン名の“P”はを指す(Mechlorethamine・Oncovin・Procarbazine・Prednisone)。文献・実臨床では同じ位置にが置かれることが多く、レジメン名の語源と実際の投与薬剤は別に覚える。
  • 禁忌は全身性と過敏症のみ。には使用しない。免疫抑制量では生ワクチンが禁忌。
  • 副作用プロファイルはと同じ(・不眠・骨密度低下・易感染性など)。

出典

  1. 1.Impaired conversion of prednisone to prednisolone in patients with liver cirrhosis(Gut・1980)肝硬変患者14例にプレドニゾンまたはプレドニゾロンを経口投与して比較した試験で、肝機能障害が高度な群では軽度な群に比べ血中プレドニゾロン濃度が53%にとどまり(p<0.05)、逆に血中プレドニゾン(未変換のまま残る量)は74%高かったこと(p=0.05)、血中プレドニゾロン濃度と肝機能(ガラクトース消失能)に有意な相関(r=0.64、p<0.03)があったことを確認した。糖質コルチコイド活性を持つのはプレドニゾロンだけであるため、著者らは「肝機能障害のある患者の治療にはプレドニゾンよりプレドニゾロンを優先すべきである」と結論している。閲覧 2026-09-16
  2. 2.Prednisone Tablets, USP: Prescribing Information(U.S. National Library of Medicine DailyMed(Actavis Pharma, Inc. / Watson Pharma Private Ltd.。ANDA080356)・2023)全文を取得して確認した。CONTRAINDICATIONSは逐語で「Prednisone tablets are contraindicated in systemic fungal infections and known hypersensitivity to components.」の2項目のみであること。免疫抑制量投与中の患者への生ワクチン・弱毒生ワクチンの接種は禁忌だが、不活化ワクチンは接種してよく反応が減弱しうるにとどまること。脳マラリアについては「Corticosteroids should not be used in cerebral malaria.」と明記していること。効能・効果は内分泌疾患(副腎皮質機能不全・先天性副腎過形成・悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症等)・リウマチ性疾患・膠原病・皮膚疾患・アレルギー性疾患・眼科疾患・呼吸器疾患・血液疾患・腫瘍性疾患・浮腫性疾患・消化器疾患など多岐にわたること。改訂日は2023年6月7日であること。閲覧 2026-09-16
  3. 3.European Society of Endocrinology and Endocrine Society Joint Clinical Guideline: Diagnosis and Therapy of Glucocorticoid-Induced Adrenal Insufficiency(European Society of Endocrinology / Endocrine Society・2024)3〜4週未満の短期投与では通常漸減不要であることと、長期投与時の漸減開始条件・生理量付近での評価閲覧 2026-08-02