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Drug Atlas · C12 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

サレサイクリン

sarecycline

分類
Antibiotics / 抗菌薬
科目
Pharmacology
トピック
C12: Tetracyclines and glycylcyclines
承認適応
尋常性痤瘡
標的微生物
Propionibacterium(Cutibacterium acnes)
副作用
悪心下痢めまい光線過敏

🧠 全体像:サレサイクリンを理解する軸は「テトラサイクリン系なのに、あえて狭くした」というである。ドキシサイクリンやが腸内のグラム陰性桿菌まで幅広く叩いてしまうのに対し、サレサイクリンはC7位の側鎖構造の違いによりへの影響を抑えつつCutibacterium acnesには十分な活性を保つよう分子設計された、治療専用のテトラサイクリンである。「効きが弱い」のではなく、「狙って範囲を絞った」薬という理解が本質に近い。

薬効群の中での位置づけ

テトラサイクリン系のうち、サレサイクリンは治療のためにに狭めた薬である。

薬剤 スペクトラム 特徴
サレサイクリン (グラム陽性菌・C. acnes中心、腸内グラム陰性桿菌には弱い) 治療専用として開発。への影響が小さい
ドキシサイクリン 広域 以外にも多用途(ライム病、など)
テトラサイクリン 広域 古典的テトラサイクリン。食事による吸収低下が大きい
超広域( を含むより重篤な感染症向け

だけに使う」という適応の狭さと、「スペクトラムだけを絞る」という分子設計の狭さが対応している。 ドキシサイクリンなど従来のテトラサイクリン系を治療で長期に使うとを広く乱すが、サレサイクリンはC. acnesを含むグラム陽性菌への活性を保ちながら腸内のグラム陰性桿菌への影響を抑えるよう設計されており、米国FDAでも以外の感染症は適応外とされている1

機序

flowchart TD
    A["サレサイクリンが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteria'>細菌細胞</span>内へ移行"] --> B["リボソーム30Sサブユニットへ結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aminoacyl-tRNA'>アミノアシルtRNA</span>のA部位への結合を阻害"]
    C --> D["蛋白合成が停止し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteriostatic'>静菌的</span>に増殖を抑制"]
    A --> E["C7位の側鎖構造の違いにより<br>腸内グラム陰性桿菌への親和性が低い"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gut microbiota'>腸内細菌叢</span>への影響が従来のテトラサイクリン系より小さい"]
    D --> G["Cutibacterium acnesの増殖抑制"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory mediator'>炎症性メディエーター</span>産生も抑制(抗炎症作用)"]

💡 というは他のテトラサイクリン系と同じだが、「どの菌に届きやすいか」が違う。 C7位に導入された側鎖がグラム陰性桿菌への取り込みやを下げる一方、C. acnesを含むグラム陽性菌への活性は保たれるため、の主要な産生も同時に抑える抗炎症作用を発揮する2

適応

領域 使いどころ
9歳以上の非結節性・中等症〜重症の炎症性1

以外の感染症に対する有効性は評価されておらず、適応はに限られる1

用法・用量

体重に応じた固定用量を1日1回、食事の有無にかかわらず内服する:33〜54kgで60mg、55〜84kgで100mg、85〜136kgで150mg1。実際の・投与期間は施設のプロトコル・添付文書で確認する。全身性抗菌薬は可能な限り短期間(目安3〜4か月)にとどめ、を併用する3

禁忌・注意

  • テトラサイクリン系への過敏症では禁忌
  • 妊娠中・授乳中は使用しない
  • 8歳未満の小児、(第2・3三半期):歯牙の永続的な(黄〜灰〜褐色)、骨発育抑制が生じうるため使用を避ける1
  • を起こしうるため、日光曝露を避けるよう説明する
  • 抗菌薬関連腸炎(Clostridioides difficile関連下痢症を含む)のリスクに注意する

副作用

頻度 内容
高頻度(≥1%) 悪心
女性で報告 などの真菌感染
注意 めまい下痢(投与終了後2か月以上経ってから生じることもある)
まれ・重篤 抗菌薬関連腸炎、頭蓋内圧亢進

まとめ

  • テトラサイクリン系の(リボソーム30Sサブユニット結合)を機序とするが、C7位の側鎖により腸内グラム陰性桿菌への活性を抑えたという設計が最大の特徴。
  • 適応は9歳以上の非結節性・中等症〜重症の炎症性に限られ、他の感染症への有効性は評価されていない。
  • 体重別の固定用量(60/100/150mg)を1日1服する。
  • 8歳未満・妊娠中は歯牙・骨発育抑制のリスクから使用しない。
  • 全身性抗菌薬は短期間にとどめ、を併用するという原則はサレサイクリンにも当てはまる。

出典

  1. 1.Guidelines of care for the management of acne vulgaris(American Academy of Dermatology・2024)全身性抗菌薬は可能な限り短期間(目安3〜4か月)に限り外用療法を併用し、サレサイクリンは条件付きで推奨されることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.SEYSARA (sarecycline hydrochloride) tablet, coated — full prescribing information(U.S. FDA(DailyMed収載の添付文書)・2018)9歳以上の非結節性中等症〜重症の炎症性痤瘡病変が適応であること、体重別の固定用量(33〜54kgで60mg、55〜84kgで100mg、85〜136kgで150mgを1日1回)、8歳未満・妊娠中の使用で歯牙の永続的な変色や骨発育抑制が生じうること、最も頻度の高い有害事象が悪心(3.1%)であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Sarecycline: a narrow spectrum tetracycline for the treatment of moderate-to-severe acne vulgaris(PubMed収載論文・2019)サレサイクリンがミノサイクリン・ドキシサイクリンに比べ腸内のグラム陰性桿菌への活性が乏しい狭域スペクトラムを持つ一方、グラム陽性菌や*Cutibacterium acnes*には強い活性を保つことを確認した。閲覧 2026-08-10